インドの国宝級ミュージシャンによる、日本独自企画の大名盤
Zakir Hussain 他「インド古典パーカッション-超絶のリズム」
時に日本は、とんでもない企画モノをひねり出す。とかく外国人とか、洋楽とか、ワールドミュージックとかそういう大雑把でいい加減なくくりで、レッテルを貼ってしまう日本人ではあるがその反面、柔軟な発想で日本でしか有り得ないような、音源作成やライブステージを企画する。

時は1988年。ジャパンマネーが強い頃だ。なんでもその年インド祭なんて企画があったらしい。その折、例のごとく柔軟(というかそのものズバリな王道)な発想で、
「いっそのことインドのトップミュージシャンをみんな呼んでしまおう!」
となったようだ。ここで白羽の矢が立ったのが。。。

ザキール・フセイン(タブラ奏者:北インドの座って叩く2つで一組の太鼓。ヤギの皮で作られている。)、ヴィナーヤクラム(ガダム奏者:南インドの壺型の楽器というか、演奏用の壺。)、クリシュナン・ヴィッシュヴェーシュワル・プラサード(ムリダンガム奏者:南インドの筒型の太鼓。左右に打面が来るように寝かして使う。)、ゴーヴィンダラーオ・ハリシャンカル(カンジーラ:南インドのタンバリンの様な楽器。蜥蜴『トカゲ』の皮が張られている。)の以上インドパーカッショニストの四天王である。どうやら、この四人の共演はインド本国でも、未だに実現されていないようで、世界中のタブラ奏者が日本のこのアルバムを求めて止まないそうだ。

さて内容であるが、もはや人間の領域では無い。これが人間の手によって、演奏されているとはとうてい思えない。ブルース・リーなんかの動きと一緒で、まるで有り得ない動きをしているのが、音から聞いて取れる。勿論変拍子なのは当たり前なんですが、そのリズムにのってそれを崩して、あらゆるパターンを示しながら、展開していく。あまりに完璧な、整合性が取られているので、完全な自由ではなく、あくまでパターンを組み替える形でのインプロヴィゼーションだと思うのだが、それにしたってこれだけのアンサンブルを自在に組み合わせていくのは、はっきり言って至難の業である。

まあ聴いて貰えると解るのだが、とにかくフレーズが細かい。連譜フレーズがガンガン出てくる。簡単に説明すると、一拍を3で割るのが3連譜5で割るのが5連譜。ちなみに彼らの場合6や9が普通に出てくる。恐らくそれ以上もあるかもしれないが。。。しかも、タブラには音階があるのだ。つまりタブラだけでリズムとメロディを表現していると言える。シンプルな楽器になればなるほど、奥が深いのは古今東西言えること。ある意味このアンサンブルは、究極のシンプル楽器による海より深い演奏といえる。

曲目については、基本的には南インドの曲にザキールフセインが、客演している感じのようです。とにかく、パーカッションものの中でも1、2を争う出来のもので有ることは間違いないので、リズム楽器のを操る方、もしくは好きな方には是非聴いてもらいたい。ジャケ写は、ガッカリするくらい悪いのだが(まるで教則本のオマケCD)、内容はとにかく良い。

最後に。充分ヒーリング効果も有るので、夜寝るときに小さい音で流しながら。。。Decoyはこのアルバム聴きながら寝た夜に、大日如来のイメージを感じました。このアルバムには間違いなく宇宙が存在する。

アーティスト: 民族音楽, ザキール・フセイン, T.H.ビナーヤクラム, ゴービンダラーオ・ハリシャンカル, クリシュナン・ビシュベーシュワル・プラサ
タイトル: インド古典パーカッション 超絶のリズム