最も感動的で肉感的なジャズ
Pharoah Sanders 「LIVE」
初めて聞いたとき、魂のふるえを聞いた。ファラオのサウンドはまさしくファラオの声であり、その声は時代を超越した、全能の獣の雄叫びだ。
とにかく熱い。ワンフレーズでぐいぐい引っ張っていく。ワンフレーズでライブ会場の温度を確実に5.5度は上げている。

ここではさらに、共演者達がまた素晴らしい華を添える。ピアノのジョン・ヒックスはリリカルに知的に水のようなプレイを見せる。この水が、ファラオのサキソフォンと時に反発し時に迎合する様は、大自然の調和を示す。

そしてグルーヴィーにサウンドのリズムの要となっているのが、ベースのウォルター・ブッカーだ。メロウな曲では、深く激しい曲では躍動的に唸るこのベースは圧巻。まるで巨大な樹木のように、そこに立ちはだかる。

ドラムはイドリス・ムハマッド。70年代にはJazzFunkを代表するドラマーとして、バーナード・パーディ等と並び称される。この人のドラムはとにかく人間くさい。ルー・ドナルドソンのライブ盤でも、とにかく人間くさいソロを叩いていた。ここでも彼は、人の抱えた矛盾と多くの煩悩を表現しる。彼のドラム表現は、ここではファラオに浄化され、やがて歓喜に至るまでに昇華されるのである。

魂のジャズと言える内容であるが、なぜかそこにはコルトレーンの持ち合わせる様な、悲しい孤独感は存在しない。どこか優しさを感じる内容である。
多くの方が、恐らく気の利いたクラブやラウンジで一度は聞いた事がある名盤中の名盤である。是非、ロックやブルース、ファンクなどがお好きな、ジャズ初心者の方にも購入をお勧めする。アーティスト: Pharoah Sanders
タイトル: Live