知っててほしい!動き始めに負荷がかかるという事実
前回の記事で親子関係が整い、子どもの「聞く耳」が開くところまでステップが進みました。
こちらの声が子どもに届くようになっているため、伝えたことにスッと取り組む素直な行動が見られる段階です。
ここで、いきなり欲張らない!という注意事項をまず初めにお伝えしておきます
なぜなら私たち大人も含めて、人は何かをしようと取りかかる「動き始め」に大きなパワーを必要とするからです。
もちろんワクワクするような楽しいことであれば、そんな負荷を感じる余地はないかもしれません。
ところが、自分の意思・タイミングに関係なく突然言われる指示に対して同じような心持ちで動き始められるでしょうか?
「ええー?今すぐじゃないとダメ?」
「また、アレか・・・」
と感じた瞬間、動こうとしながらも「はいはい、まあ、やるけどさあ」と、文字通り、重い腰を上げるような気持ちを抱くことは想像に難くありませんよね?
まるで、車を走らせ始めた時に時速30~40kmまで加速するくらい、アクセルを踏み込む必要があるのです。
子どもの行動力を上げたい!と考えたら、まず、この負荷について理解することから始めましょう。
だからこそ、何かすごいことをさせようと張り切って、欲張った挑戦を促すと子どもはやりたがらないのです。
行動力を上げる最初の段階では、日常生活の中のことに限定して指示を出して動ける状態にしていきます
どうなる?行動力が下がることのリスク
続いて、「もし、子どもの行動力が下がったとしたら」ということを考えていきましょう。
逆説的に理解することで、より良い関わり方ができるのでお伝えしますが、もし、子どもの行動を促す答えをすぐ知りたい!という方は、次の見出しまで飛んでくださいね
ここでは、脳は行動することで育つ、ということをお話します。
発達に特性のある子どもを育てる際、私たちは「脳に未熟な部分があるから、それが困りごとになっている」と捉えると、子どもにとってより良い支援を進めていくことができます。
そして、その未熟な部分を育てるには行動することが重要なんです。
行動するのは、家の中でも外でも問題ありません。
子どもだけでなく、私たち大人の脳だって今も成長を続けていますから、ご自身に置き換えると分かりやすいかもしれません。
家で、いつもの時間に、いつものテレビ番組を観ている
家で、いつもは観ないテレビ番組だけど、面白そうなので観ている
テレビで観て興味をもった場所に出かけた
初めて行った場所で素敵な発見があり、感動した
これら4つを自分事として想像してみてください。
どの行動をしたときに一番、脳に刺激が届いているでしょうか?
1⃣自分の意思・判断の度合い
2⃣環境変化・状況変化の度合い
3⃣心が動く度合い
それぞれの観点で比較すると、初めての場所に行こうと考え、計画し、そこで初めて目にするもの、耳にする情報に出会い、それによって心が大きく動かされている状態は、とても刺激的なはずです。
気持ちが高揚して、楽しい気分になっているかもしれませんね
そのような刺激が届くことによって、脳は成長を続けていきます。
※いつもの時間に、いつもの見慣れた番組を観ていても脳への刺激はありますので、決してダメな訳ではありません。あくまでも、刺激の量や質の比較として捉えてくださいね。
単純に知っている情報が増える、ということにとどまらず、理解力が伸びたり、既に知っている情報と新しい情報がリンクして新たな記憶が作られたり、楽しい記憶が増えたりすることによって世界が広がっていきますよね
これが、脳にとって良い状態なんです
より行動力を必要とすることを実施した時に、成長がグンと加速するということを理解してください。
逆に何も行動しなかった場合は・・・これらの良い刺激を得られず、成長の機会を失うことにつながっていきます。
ですから、小さな行動でも良いので「行動する」ということに大きな意味があるのです。
子どもが動きやすい声のかけ方
では、子どもがスッと動き始めるために必要な関わり方を見ていきましょう
親子関係の土台作りで「親子の心理的安全性」について触れました。
それを踏まえて「3つのS」を実践すると効果的です。
Smile|笑顔で
Slow|ゆっくりと間をとって
Sweet|優しい声で
この3つを心がけて、お子さんに指示を出してください。
すると、お子さんが開いてくれた耳に、より一層、届きやすくなります
これらのうち、「Smile(笑顔)」と「Sweet(優しい声)」については文字通りの解釈で理解いただけると思います。
残る1つ「Slow(ゆっくりと間をとって)」について解説しておきます。
この逆は何かと言うと「早口で矢継ぎ早に」話しかけている状態です。
子どもが言葉を聞いて頭で理解するのに必要な処理速度は、大人ほど早くありません。
しっかりと、理解が追いつくようにゆっくり話しかける必要があります。
また、あれもこれもと複数の情報を与えても同様に子どもの頭で処理が追いつきません。
できれば指示は1回に1つから始めていただくのが望ましいと考えています。
短い言葉で伝えて理解しやすい状態をつくっていきましょう。
いかがでしたか?
ぜひ、この3Sを日常生活の中で使ってみてください。
「ご飯の前だから、テーブルの上のものを一緒に片付けちゃう?」
「シャカシャカ歯磨きをしようか」
「この荷物を持ってくれると嬉しいな」
お子さんの年齢やタイプにもよりますが、こんな言葉を笑顔や優しい声と共に言われたら、動きたくなっちゃいませんか?
このように身近なことで実績を積み重ねて行動力を上げていくと、その行動の幅が少しずつ大きくなっていき、苦手なことにもチャレンジしてみよう、という前向きな心が育っていきます。
発達科学コミュニケーションのレクチャーでは、お子さんへの指示の出し方について、さらに具体的な方法を教えています。
それにより、お子さんの特性に合わせた対応を選びやすくなり、私たちがやりやすい効果的な方法を身につけることが可能になります。
方法論が分かってしまえば、仮に、お子さんがスッと動いてくれなかったとしても、その原因が分かるため自分で軌道修正することができるようになりますので、育てづらさを感じることが減っていくのです。
冒頭でお伝えしたように、いきなり欲張ったチャレンジをさせるのはハードルが高くてうまくいきません。
親子関係を整える
親の言葉でスッと動き始められるようになる
この2点を丁寧に取り組むことで、お子さんの育てづらさは軽くなっていきます。
そして、お子さんの行動力を育むことができます。
その先に「できなかったことが、できるようになって大喜びをしている」お子さんの姿を見ることができるのです。
息子は泳げるようになったことを心の底から喜んでおり、自信に満ちた表情を見せています
お読みいただき、ありがとうございました
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発達科学コミュニケーショントレーナー
中村莉彩子 Risako Nakamura