沖縄県を訪問した一川保夫防衛相は17日、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)知事と会談し、米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の移設先として日米が合意した名護市辺野古に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書を年内に提出する方針を表明した。アセスの最終段階となる評価書提出を伝えることで、辺野古沿岸部の埋め立て実現に向けた「決意」を示した格好だが、仲井真氏は民主党政権の迷走に対する不信感をあらわにした。普天間問題は評価書が提出される年末にかけ、再び緊張が高まりそうだ。(峯匡孝)
野田佳彦首相も17日の内閣記者会とのインタビューで「しっかり結論を出していかないといけない」と進展に意欲を示した。
これに対し、仲井真氏は一川氏との会談で、鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外」発言とその不履行、菅直人前首相の無為無策に振り回されたことを踏まえ「民主党に対する県民の怒りは解消されていない」と反発した。一川氏はこの後、稲嶺進名護市長との会談でも政府方針を説明したが、稲嶺氏は移設案を白紙に戻すよう求めた。
アセス評価書に対する知事の意見を踏まえ、政府は評価書を修正し、公告・縦覧する。来年6月をめどに県に移設先の名護市辺野古沿岸の埋め立て申請を行う方針だが、仲井真氏が認めなければ着工できない。
一川氏は17日夕、那覇市内で記者会見し「これからわれわれの説明の仕方では十分にかみ合った議論が展開できるのではないかという印象を持った」と期待感をにじませたが、県外移設を求める県側の意志は固い。野田政権は「ひたすら理解を求めるしかない」(防衛省幹部)状況だ。
膠着(こうちゃく)状態が続くと、住宅密集地に隣接する「世界一危険な基地」ともいわれる普天間の固定化という最悪の事態も想定される。
県側との合意形成に展望が見込めない中で、一川氏が沖縄入りした理由の一つには、今月下旬にパネッタ米国防長官が来日することがある。
米側はオバマ大統領が9月の首相との会談で、普天間問題の「進展」を求めるなど日本側の対応に不信感を募らせている。
11、12両日の川端達夫沖縄担当相、今回の一川氏、18日からの玄葉光一郎外相と関係3閣僚が「訪沖そろい踏み」(政府関係者)をしたのは、移設実現に向けた政府の取り組みを米側に示すパフォーマンスの色彩も濃いようだ。
【用語解説】普天間移設のアセスメント
環境影響評価法や条例に基づく手続きで、環境に影響を及ぼす恐れがある大規模事業で実施。通常3年ほどかかる。普天間飛行場の代替施設を沖縄県名護市辺野古に建設する計画について、防衛省は自民党政権下の平成19年8月、調査方法などを記載した「方法書」を沖縄県に送り手続きに入ったが、鳩山政権が県外移設を模索し手続きの最終段階となる「評価書」作成も中断。今年6月、辺野古に滑走路2本をV字形に建設することで日米合意したことを受け、評価書の作成を再開していた。