【65】
「森川さん」ももが電話口で、それだけ言って押し黙った。『うん。元気か?』「元気なわけないでしょう」『なぁもも、本当のことを言うよ。』「待って森川さん、それは。あたしが聞きたくないようなことだよね?」『そうかもしれないな。』「だったらいい、聞かないから」『もも、ちょっと待て』「切らないよ、だって。やっと繋がったんだから。ずっと繋がらなくて…」彼女からの連絡を無視していた。「でもやだ、いいの。あたし騙されててもなんでもいいのあたしのこと好きじゃなくてもいいから」「また、会いたいの」『そうじゃねえよ』『もう会わないから。』「えっ?」ももが向こう側で、喉に何かをつまらせたような声をあげた。『もう飽きた。だから会わない。もう連絡してくんな』……そのあとは何も言わずに、電話が切れた