【46】
蓮の部屋でやっとついたねと言ったあと背伸びして口をつけようとしたら顔を逸らされてしまった。「蓮?」『ごめん、気分じゃないんだ』どうしたの?氷を飲み込んだように、喉の奥が冷たくなった。『花、俺、』…なに?ドキドキするうつむいていた蓮が次に顔を上げたとき、その目から、涙がこぼれ落ちた。『ほかの女の子とした』「えっ?」私は口を開けたまま止まった。彼を責める理由はないしそうできる資格もない。『怒らないの?』何も言えない『なんで。』「蓮が、苦しそうだから」『怒ってよ。』え?さーっと、波が引くように頭の中が冷たくなる。蓮の言いたいことが、わかったような気がしたから。『なんで怒らないの?俺が何してもかまわないの!?』「違うよ。」涙でいっぱいの目を見ることができない『ねぇ花、怒ってよ。ほかの人を見たらいやだって』どうして『怒れない?自分もやってるから?俺のこと責める資格ないとか思ってんの?』…あ「蓮」冷たくなった指先が震えた。『俺も年下で、花にとってはガキなのかもしんないけど。高校生だろ、あいつ』「蓮!」駆け寄ろうとしたら、頬をはたかれて、倒れた。左の頬がじんじんと痺れるように痛い床に手をついて、震える自分の指先を見つめたら、涙が。腕を伝って落ちていくのが見えた。『どうしたいんだよ、花は』