巨人は戦っていた。
目の前にいる異形の怪物と。
青く光り輝く巨人の体は黒く濁った異形の怪物すら輝かせている様に見えた。
四つ足の怪物と取っ組み合いで押さえ付けようとするも巨人はなかなかマウントが取れなかった。
怪物の腹に蹴りを一発いれ、距離を取った。
怪物は大きな声を上げ喚いてみせた。
その内に巨人は剣を成形しようとした瞬間、異形の怪物は尻尾を振り回し、左肩に思い切りヒットした。
デアッ!とうめき声を漏らした巨人は肩膝をついた。そしてハァハァ・・・。と苦しそうに呼吸してるかの如く左肩を抑えていた。
(巨人はもしかして人間の時に受けてる傷をそのまま反映させて戦っているのか・・・?)
俺の予想は当たっていた。が、今はどうすることも出来ないのが現状だった。
ハァァァ!と巨人は覇気を捻出し、右腕から剣を形成した。
奇声と共に降りかかって来た尻尾を剣で受け止め、それを一刀両断した。
切れた尻尾の先端から血が溢れだし、緑の木々を真っ赤に染め上げた。
苦しみ悶える怪獣に巨人は容赦なかった。剣は怪獣の右腕を、左腕を、そして腹を引き裂いた。
そして距離をとり、手の先から光線を放ち、怪獣の存在ごと消去した。
何もなくなった地表にはいつも通りの緑があった。そして淳の姿も。
「大丈夫か?」
俺が寄り添っていくも、淳はそれよりも早く倒れた。
「おい!おい!」
俺のそんな声も届くはずはなかった。
「普通の病院に送るわけにもいかない・・・。どうすれば・・・・。」
俺は悩んだ。が、一つの結論にたどり着いた。
「あの研究所に送り届ければ・・・・。」
俺はとりあえず淳を研究所に送り届ける事にした。
「あいつらなら・・・。なんとかしてくれるかもしれない・・・。」
そんな思いを胸に俺は淳をバイクに乗せ参道へと走らせていった。
「おい!お前ら!何やってんだよ!」
俺は飛び出して羽交い締めしてる奴らに聞く。
だが遅かった。羽交い絞めされた淳の正面にいた長身の少年の拳が淳の頬に襲いかかった。バキッ!という鈍い音が夜に響いた。
「何?ですか。これは教育ですよ?ねぇ?みんな。」
そこにいた長身の少年、部長の大原が周りにいる聞き、剣道部員みんなが頷く。俺も近づいてから大原だとわかった。
「これが教育だと!バカ言え!なんだって教育が人を殴るんだよ!その羽交い締めはなんなんだよ!」
俺は怒りをあらわにして怒号をあげる。こんなもの、教育でもなんでもない!
「だから今教育と申したでしょう?」
大原は凛と答えてみせた。だがこの回答は俺の質問に答えていない。というか会話が噛み合っていない。
「ね?淳くん?」
大原は羽交い締めされていた淳に聞く。
「こ、これは教育です。」
淳は頭を上げて答えた。頬が腫れている。何発も殴られたのだろう。
そういうことでね、と大原は切り上げる。
「みなさん、帰りましょう。本日の教育はここまでです。」
部員達は羽交い締めされていた淳を解放しみんなしてそこからそそくさとそこから離れていった。
「おい、大丈夫か?」
俺はフラフラになって地面にのめり込むように座り込む淳に寄り添い、声をかける。
「え、ええ。僕は大丈夫です。」
淳を立ち上げ、
「あれは紛れもなくいじめだ。学校の先生なりに早く伝えるんだ。」
俺は淳に言うが、
「いえ、そういう訳にもいきません。いじめなんてものを言えば部活動は活動停止にならざるをえません。」
俺はそんな淳の健気な発言に反論しようとしたが
「あの教育は部長以外はみんなやりたくてやってるんじゃないんです。」
淳は答える。それに、と淳は付け加える。
「僕には父も母もいません。そして生きがいもありません。強いていうならこの剣道がそれに近いものなんです。」
淳のそんな答えに俺にはその感情がよくわからなかった。
左肩を痛みを隠すようにしつつ、右手で抑える淳の姿を見ても答えは出なかった。ズリ足になりながらも淳は歩いていく。
「送ってくよ。」
俺は淳が見てられなかった。本当なら慰めてやりたかったが俺にはそれが出来なかった。だが俺に一つできることがあるとすればそれはただただ淳を無事にあの研究所に送り届けることだった。
俺のバイクの荷台部分に淳を乗せて出発する。
「あの森でいいか?」
「はい、お願いします。」
バイクは走り始める。
「そろそろもう一度研究所に顔を出して下さい。僕からあなたがメンバーの一人として参加するという事を伝えましたがまだ色々聞いて欲しい事があるんです。」
こんな時でもそんな事務的な事を言う淳に俺は耐えられなかった。
「わかったよ。俺だって仕事で忙しいんだ。その内行くから、命だけは保証してくれとだけ伝えてくれよ。」
俺はそんな軽口に近い返しをしてしまった。この返しが正しかったかどうかは俺にもわからない。
かなり山の方まで送っていき、そこで二人は別れた。
確かに怪我はしていたが三日もすれば治る。俺はそう思っている。
山から降りている時に俺は少しだけ後ろを向いた。
ふと振り返るとそこにはあの青い巨人がいた。
「また敵が現れたのか・・・。」
敵は巨人の背に隠れて見えない。敵と戦う巨人は何を思うのだろうか。苦しみを味わってまだ時間は経ってないのに彼は何故戦うのだろうか。そう思いながら無意識に巨人の方へ近づいていく俺がいた。
俺は飛び出して羽交い締めしてる奴らに聞く。
だが遅かった。羽交い絞めされた淳の正面にいた長身の少年の拳が淳の頬に襲いかかった。バキッ!という鈍い音が夜に響いた。
「何?ですか。これは教育ですよ?ねぇ?みんな。」
そこにいた長身の少年、部長の大原が周りにいる聞き、剣道部員みんなが頷く。俺も近づいてから大原だとわかった。
「これが教育だと!バカ言え!なんだって教育が人を殴るんだよ!その羽交い締めはなんなんだよ!」
俺は怒りをあらわにして怒号をあげる。こんなもの、教育でもなんでもない!
「だから今教育と申したでしょう?」
大原は凛と答えてみせた。だがこの回答は俺の質問に答えていない。というか会話が噛み合っていない。
「ね?淳くん?」
大原は羽交い締めされていた淳に聞く。
「こ、これは教育です。」
淳は頭を上げて答えた。頬が腫れている。何発も殴られたのだろう。
そういうことでね、と大原は切り上げる。
「みなさん、帰りましょう。本日の教育はここまでです。」
部員達は羽交い締めされていた淳を解放しみんなしてそこからそそくさとそこから離れていった。
「おい、大丈夫か?」
俺はフラフラになって地面にのめり込むように座り込む淳に寄り添い、声をかける。
「え、ええ。僕は大丈夫です。」
淳を立ち上げ、
「あれは紛れもなくいじめだ。学校の先生なりに早く伝えるんだ。」
俺は淳に言うが、
「いえ、そういう訳にもいきません。いじめなんてものを言えば部活動は活動停止にならざるをえません。」
俺はそんな淳の健気な発言に反論しようとしたが
「あの教育は部長以外はみんなやりたくてやってるんじゃないんです。」
淳は答える。それに、と淳は付け加える。
「僕には父も母もいません。そして生きがいもありません。強いていうならこの剣道がそれに近いものなんです。」
淳のそんな答えに俺にはその感情がよくわからなかった。
左肩を痛みを隠すようにしつつ、右手で抑える淳の姿を見ても答えは出なかった。ズリ足になりながらも淳は歩いていく。
「送ってくよ。」
俺は淳が見てられなかった。本当なら慰めてやりたかったが俺にはそれが出来なかった。だが俺に一つできることがあるとすればそれはただただ淳を無事にあの研究所に送り届けることだった。
俺のバイクの荷台部分に淳を乗せて出発する。
「あの森でいいか?」
「はい、お願いします。」
バイクは走り始める。
「そろそろもう一度研究所に顔を出して下さい。僕からあなたがメンバーの一人として参加するという事を伝えましたがまだ色々聞いて欲しい事があるんです。」
こんな時でもそんな事務的な事を言う淳に俺は耐えられなかった。
「わかったよ。俺だって仕事で忙しいんだ。その内行くから、命だけは保証してくれとだけ伝えてくれよ。」
俺はそんな軽口に近い返しをしてしまった。この返しが正しかったかどうかは俺にもわからない。
かなり山の方まで送っていき、そこで二人は別れた。
確かに怪我はしていたが三日もすれば治る。俺はそう思っている。
山から降りている時に俺は少しだけ後ろを向いた。
ふと振り返るとそこにはあの青い巨人がいた。
「また敵が現れたのか・・・。」
敵は巨人の背に隠れて見えない。敵と戦う巨人は何を思うのだろうか。苦しみを味わってまだ時間は経ってないのに彼は何故戦うのだろうか。そう思いながら無意識に巨人の方へ近づいていく俺がいた。
学校へ着いた。
大田中学校と名がついたこの学校は全校生徒の数が800を超えるマンモス学校であった。
「じゃ、ここでいいな。」
俺は学校の駐車場に着くとバイクから淳を降ろし、互いに違う目的のために学校の校舎に入っていった。
俺は校長室に通され、
「いやぁ~お待ちしておりました。隆さん!私は校長の岡崎です。どうぞ、よろしく。」
少しごますりをするような校長、岡崎に出会った。渡された名刺には校長の文字がデカデカと書かれていた。
「私は大久保隆です。今日1日この学校を取材させて貰います。」
俺も名刺を渡した。
「では校内を案内させて貰います。」
校長に連れられ、校内を歩く。
「ここがウチの学校で1番有名な場所であろう剣道部ですね。」
校長の自慢っぽい声と共に案内された道場に入ると部員たちが大声を張り上げ、竹刀を振るっていた。
「エエーイ!」
気合の入った言葉が道場を駆け巡る。
俺は圧巻されていた。剣道なんてものはもっぱら興味がなく、プロでもないため、上手い下手なんてものはわからなかったが、気合の入った声と竹刀を振るう姿は生徒も様になっており、いつの間にか圧倒されてしまったのだ。
「さすがは全国クラスの部活動ですね。」
俺は圧倒されたあまりそんな普遍的な言葉しか言えなかった。
「いえいえ、これは生徒たちの努力の賜物ですよ。私はせいぜい微力ながらこうやってここに来ることしか・・・。」
校長も鼻がたかそうだった。
忘れないうちに俺は担いでいたカメラで風景を撮影する。動きが激しい為、なかなか躍動感のある写真がとれており、俺自身も鼻が高かった。
練習やめ!と道場のどこからか号令がかかり、全部員が俺の方を向く。
全部員が脱兎のごとく道場の中央に集まっていき、瞬く間に全部員が集まっていった。その姿まるで軍人を思わせるような隊列であった。
キレイに3列程に並んだ隊列から防具越しからも熱線を感じる。
「気を付け!礼!」
隊列の1列目の真ん中にいた高身長な少年が元気良く挨拶をかけ、礼をすると、それに並んでいた生徒たちも礼をした。そしてまた解散し、自分の持ち場へと戻っていった。
「挨拶をしていた彼は?」
俺は校長に質問する。
「彼は部長の大原秀樹君ですね。去年の大きな大会でも彼の尽力があって全国大会に進んだと聞いています。」
「そうですかぁ~。」
「そしてもう1人、うちの学校の若きホープ、結城淳君です。」
指をさした方向には俺の知っている少年が練習に励んでいた。
「彼はですね、小学校からにて剣道をしており、ジュニア大会で優秀な成績を収めておるのですよ。」
校長は最後にふぉふぉふぉと自慢を隠しきれない漏れた笑いをしてみせた。それほどまでに生徒のことを愛しているみたいだ。
そんなにすごかったのか・・・。と俺は淳を見直した。
(そういやあの青い巨人も剣を使っていたような・・・・。)
「今日の取材はここまでとさせていただきます。」
俺はその言葉を最後に校長と別れた。
剣道部の取材の後も色々な部活を見回り、もう夕暮れとなっていた。
「今日は色々とありがとうございました。これでいい記事が書けるってもんだ!」
俺はかなり上機嫌だった。
下校時間にはとっくに過ぎており、生徒はおらずこの学校に現在いるのは教師と俺だけだった。
駐車スペースに置いてあった自分のバイクにまたがり、キーを入れる。轟音を響かせ、唸るエンジン。ヘルメットを被り、学校を出た。
少し違った道から通ろうと思い、人影の少ない道を曲がった。
そこには小さな公園があり、そこに制服を着た少年が数人ほどいた。その制服は大田中学校のものであることはひと目でわかった。
俺は少し気になって乗っていたバイクを降り、その小さな公園の入口に生えているちょっとした茂みから覗き込むように見ていた。
「よ~し、やれ。」
先ほどいた剣道部の部長、大原秀樹君が何か指示を出していた。辺りが暗くてよく見えないが1人の少年を数人で囲んでいるように見えた。
俺はもう少し寄ってみる。
その目の前には何者かによって羽交い絞めにされていた淳がいた。
大田中学校と名がついたこの学校は全校生徒の数が800を超えるマンモス学校であった。
「じゃ、ここでいいな。」
俺は学校の駐車場に着くとバイクから淳を降ろし、互いに違う目的のために学校の校舎に入っていった。
俺は校長室に通され、
「いやぁ~お待ちしておりました。隆さん!私は校長の岡崎です。どうぞ、よろしく。」
少しごますりをするような校長、岡崎に出会った。渡された名刺には校長の文字がデカデカと書かれていた。
「私は大久保隆です。今日1日この学校を取材させて貰います。」
俺も名刺を渡した。
「では校内を案内させて貰います。」
校長に連れられ、校内を歩く。
「ここがウチの学校で1番有名な場所であろう剣道部ですね。」
校長の自慢っぽい声と共に案内された道場に入ると部員たちが大声を張り上げ、竹刀を振るっていた。
「エエーイ!」
気合の入った言葉が道場を駆け巡る。
俺は圧巻されていた。剣道なんてものはもっぱら興味がなく、プロでもないため、上手い下手なんてものはわからなかったが、気合の入った声と竹刀を振るう姿は生徒も様になっており、いつの間にか圧倒されてしまったのだ。
「さすがは全国クラスの部活動ですね。」
俺は圧倒されたあまりそんな普遍的な言葉しか言えなかった。
「いえいえ、これは生徒たちの努力の賜物ですよ。私はせいぜい微力ながらこうやってここに来ることしか・・・。」
校長も鼻がたかそうだった。
忘れないうちに俺は担いでいたカメラで風景を撮影する。動きが激しい為、なかなか躍動感のある写真がとれており、俺自身も鼻が高かった。
練習やめ!と道場のどこからか号令がかかり、全部員が俺の方を向く。
全部員が脱兎のごとく道場の中央に集まっていき、瞬く間に全部員が集まっていった。その姿まるで軍人を思わせるような隊列であった。
キレイに3列程に並んだ隊列から防具越しからも熱線を感じる。
「気を付け!礼!」
隊列の1列目の真ん中にいた高身長な少年が元気良く挨拶をかけ、礼をすると、それに並んでいた生徒たちも礼をした。そしてまた解散し、自分の持ち場へと戻っていった。
「挨拶をしていた彼は?」
俺は校長に質問する。
「彼は部長の大原秀樹君ですね。去年の大きな大会でも彼の尽力があって全国大会に進んだと聞いています。」
「そうですかぁ~。」
「そしてもう1人、うちの学校の若きホープ、結城淳君です。」
指をさした方向には俺の知っている少年が練習に励んでいた。
「彼はですね、小学校からにて剣道をしており、ジュニア大会で優秀な成績を収めておるのですよ。」
校長は最後にふぉふぉふぉと自慢を隠しきれない漏れた笑いをしてみせた。それほどまでに生徒のことを愛しているみたいだ。
そんなにすごかったのか・・・。と俺は淳を見直した。
(そういやあの青い巨人も剣を使っていたような・・・・。)
「今日の取材はここまでとさせていただきます。」
俺はその言葉を最後に校長と別れた。
剣道部の取材の後も色々な部活を見回り、もう夕暮れとなっていた。
「今日は色々とありがとうございました。これでいい記事が書けるってもんだ!」
俺はかなり上機嫌だった。
下校時間にはとっくに過ぎており、生徒はおらずこの学校に現在いるのは教師と俺だけだった。
駐車スペースに置いてあった自分のバイクにまたがり、キーを入れる。轟音を響かせ、唸るエンジン。ヘルメットを被り、学校を出た。
少し違った道から通ろうと思い、人影の少ない道を曲がった。
そこには小さな公園があり、そこに制服を着た少年が数人ほどいた。その制服は大田中学校のものであることはひと目でわかった。
俺は少し気になって乗っていたバイクを降り、その小さな公園の入口に生えているちょっとした茂みから覗き込むように見ていた。
「よ~し、やれ。」
先ほどいた剣道部の部長、大原秀樹君が何か指示を出していた。辺りが暗くてよく見えないが1人の少年を数人で囲んでいるように見えた。
俺はもう少し寄ってみる。
その目の前には何者かによって羽交い絞めにされていた淳がいた。