オラァ!
羽交い締めにされている淳を剣道部の部長大原は高く蹴りあげる。
「なんだってお前はそんな生意気になれるんだぁ?あぁ?」
大原に髪の毛を捕まれ、額があらわになる。だが淳は死体の如く、無口だった。
「何も答えないのか!」
大原の言葉に淳は何も返さなかった。いや、返せなかった。意見が無いのだ。どうでもいい。早くこのくだらない事が終わればそれでよかった。
ドドドッ!周りの木々が揺れる。いきなりだった。
「な、なんだぁ?」
大原が声を上げるなか、砂と草が隆起し、地震のような感覚に襲われる。少なくとも地震の類だと思っていた。
瞬間、地響きとと共に空き地の砂が溢れ帰り恐竜の角のようなものが現れる。
「UB・・・・!」
淳は驚愕する。
頭、胴体、足の順番に現れたUB。自分の身長の何十倍もするその黄土色の巨体は今、我が物顔でこの街を闊歩しようとしていた!
形式だけの挨拶かもしれんが校長に挨拶をし、校長室の外に出る俺。校長室でもらったコーヒーは少し苦かったというのが正直な感想だった。
キャー!耳をつんざくような黄色い声が俺の鼓膜に響く。声の発生場所は外からだとすぐに分別ついた。
「一体どうしたってんだ。」
急いで窓に近づく。
そこには空き地のようなところに大きな黄土色の物体があった。
俺が今いる場所が4階だから25m位。そこに頭のようなものがあった。赤い目をしていてくちばしよような物があり、手にあたりそうな部分にはよくしなるムチのようなものを装備しているように見えた。
「UB・・・・?」
俺は疑問に持つ。が、気にしてる暇は無かった。そして間違いなかった。
階段を急いで駆け下りて校舎の門を出る。
校舎から見えた方向へ足を止めることなく走る。
街はパニックと化しており、人が盛り上がるようにして逃げ惑う。声にならない声が空気を押しつぶす。
助けてくれ!
そんな声が一番聞こえたが俺はそれに構うことなく走る。人を掻き分けて、人を押しのけて。それが残酷な事かもしれないということは俺が1番わかっていた。
少しずつUBが近くなる。目の前の距離から考えるに多分空き地にいるのだろう。
逃げる人に逆行し、空き地へと辿り着く。
そこには剣道着を着た少年達がいた。
「剣道部のやつら!なんで離れていない!」
胸ポケットから前に拓哉からもらった特性の銃を取り出し、UBに連射しながら救出するために走る。
「なんで早く逃げない!」
俺はそばにいた剣道着の生徒に話しかける。
「だって!だってよぉ!あの怪物が!裕太を!裕太を!」
少年は声が震えていた。
「裕太?」
俺は少年が指さす方向を見る。UBが口をモゴモゴさせている。鋭い牙からうっすら見えるそこから靴が見えた。
「食われちまった・・・・」
少年は震えた声で続けた。
「もうダメだ!みんな死ぬしかない!」
少年は頭を抱えて目を閉じる。
「バカ野郎!俺たちが今を諦めてどうする!」
少年は俺の声に目を開ける。
「いいな!最後まで諦めるなよ!」
少年を立ち上がらせ、少年はふらつきながらも走っていった。
「あいつは・・・・淳はどこなんだ。」
目の前のUBに目をくれる事無く探す。今はあいつしか戦える人間がいないからだ。
空き地の奥にまた1人少年がいた。淳だ。
「淳!早く巨人になってくれ!このままじゃみんな死んじまう!」
俺は叫ぶ。パニックの中、声が届いているか分からなかったが淳はひょうひょうとそこに立っているだけだった。
「聞こえなかったのか?」
だがそんなもの関係無かった。目の前にUBがいる。それだけだ。
雑草を掻き分けて走って淳によっていく俺。少し木やら何やらのせいで切り傷ができていた。
「なんで巨人にならないんだ!」
俺が寄っていった時、淳の目は濁った川のような虚ろな目をしていた。
俺は翌日になり、学校に訪問するというアポも取り付け学校へ向かう途中、いつもの公園のベンチに座り、携帯を開いて今日の仕事の内容を確認していた。
「ちょっと横、失礼していいかしら?」
携帯とにらめっこしていた俺は顔を上げる。
「す、すいません。」
と言い、俺は顔を上げることなく横にずれる。
「こちらこそすいません。お仕事か何かの邪魔をしてしまい。」
ブラウンの長い髪にカールが魅力的な女性だった。それでいて彼女の声は優しかったのだ。
「いや、俺はただ確認してただけなんで。」
俺は携帯をポケットにしまい、向き合う。
俺は少し緊張していた。彼女のブラウンの綺麗な髪もそうだが曇りのない瞳に吸い込まれそうにもなっていた。
「お仕事は何をしてらっしゃるのですか?」
彼女は聞いてきた。だが少しその間に不自然な違和感もあったように思える。
「そ、そうですよね。す、すいません。自己紹介も無しに。」
俺は少し緊張でもしていたのか言葉がどもってしまう。そして彼女は俺のその言葉に何かを気づいたすぐに訂正を加えた。
「私は黒柳風香と申します。」
風香と名乗った女性はペコリと頭を下げる。
「え、ああ、俺は大久保隆。ここいらの地方の新聞社に務めてるただのしがない新聞記者です。」
俺はペコリと頭を下げ返す。
「お仕事は何を?」
俺は先ほどの質問に答えて貰って無かったので聞き返す。しつこいとか思われてないだろうか。
「すいません、まだこっちに帰ってきてすぐで職業と呼べるものは無いんですよね。」
ん?と俺は彼女の言葉に疑問に思う。
「私、長い期間海外で仕事をしてまして日本に戻ってくるときに会社も辞めたんです。」
「ついでに会社も辞めたんですか・・・・。」
彼女の言葉は意味としてはかなり重いものだったのだろうが、軽やかな口調で話した。
「ええ。海外は楽しかったけれどやっぱり自分の故郷こそが1番のオアシスなんですよね。」
えへへ。と風香は少し照れて笑って見せる。
「ということはここいらにご実家が?」
俺はまた疑問を投げかける。
「いえ、厳密にはもっと向こうの山を越えたところなんですが、弟がここらで働いてるという事を聞いたんで・・・・。会えたら会っておこうかな。と思いまして。」
「へぇ~。そうなんですか。ちなみにどのようなご職業で弟さんは働いてらっしゃるのですか?」
俺のこの質問に風香は少し戸惑いを隠しきれなかった。
「すいません、記者なものですから次から次へと質問してしまい・・・・。職業病とでも思ってくれませんか?」
困っている風香の顔を見た俺は照れ笑いしながら頭を掻く。
「職業病ですね。分かりました。」
クスッと風香も笑った。
「すいませんが私はそろそろ行かなくては。」
風香は立ち上がり手持ちのバッグを持つ。
「あとこの周辺で花屋さんは無いですか?」
「花屋さんならあそこの通りをまっすぐ行ったところにありますよ。」
俺は風香の質問に即答し、風香はありがとう。とだけ返してどこかへと行ってしまった。
「美しい人だったなぁ」
俺は飲みかけのコーヒーを飲み干して自分の仕事へ向かうようにした。
学校に着く。建物自体はイメージする学校とほぼ変わらなく良くも悪くも「普通」の学校だった。
「おお!またもよくぞ来てくださいました!」
校長はニッコリ笑い、俺も会釈を返す。
「俺は一応剣道部を取材出来れば満足なんでそんなお構いにならないで下さい。」
「そうは言っても私もお客様を無下に出来ませんよ。案内されてくれませんか?」
校長の過剰とも思える好意に甘える。ま、まぁそう言うなら・・・・。
そう言われるがまま剣道部に案内される俺。道は前と変わらなかった。まぁ当たり前だが。
部の道場まで連れてこられるとあとは部の生徒に挨拶をし、手に持っていたカメラで写真を撮った。
いつも通りであろう風景を撮り、記事にする構図を考えながらまたシャッターを切る。
練習が終わり、そそくさと生徒達が帰り支度をする中、一人の女の子が俺に気づく。
淳の彼女の長良美智子だ。
「あんた!なんでいるのよ!」
指をさし、大声をあげる。
「そんなこと言われてもな、こっちは仕事だ。さっさと淳といちゃこらしてこい。」
俺はカメラをカバンの中にしまいこみ、そそくさと準備をする。
「ば・・・・いちゃこらなんてしてないわよ!」
美智子は顔を真っ赤にしてその場を去る。
ここで一つの出来事が俺の頭をよぎる。
またイジメられてないだろうか。
前あんなに言ったのだ。あとしばらくは大丈夫だろう。そうも思っていた。
そしてあの彼女、美智子がいるのだ。
とりあえずは校長に挨拶をして帰らねばならない。校長室へと足を向ける。
「やめてよ!」
美智子は目の前の男3人に羽交い締めされる。動けない。
オラァ!美智子の目の前には顔面を蹴られ、剣道部の部長、大原に蹴られ、血を流す淳の姿があった。
「あなたたちは同じ剣道部なんでしょう!なんでこんなことするの!」
美智子の声も無意味。羽交い締めされてるのがより虚しく見える。
「こんなことなんてのは失礼だな。これはあくまでも教育。先輩からの年功序列を守れなかった人間への罰さ。」
美智子を羽交い締めしている少年の一人が答える。そして暴行は続く。
「竹刀で殴るよかマシだろ。」
へへ。へへ。と汚い笑顔が飛び交う。
「年功序列ってどういうことよ!」
美智子が叫ぶ。
「ただただ俺たちより強い。それだけさ。だから気に食わねえ。それにコイツのせいで俺たちは他にも迷惑なしてるんだ。仕方ねえよなぁ?」
羽交い締めしている少年は高笑いする。部長は彼らの声に呼応することなくまるで作業のように淳に暴行を加えていく。
「もうやめて!」
美智子は叫ぶも何も届かない。夕空の赤が血にも思えた。
「ちょっと横、失礼していいかしら?」
携帯とにらめっこしていた俺は顔を上げる。
「す、すいません。」
と言い、俺は顔を上げることなく横にずれる。
「こちらこそすいません。お仕事か何かの邪魔をしてしまい。」
ブラウンの長い髪にカールが魅力的な女性だった。それでいて彼女の声は優しかったのだ。
「いや、俺はただ確認してただけなんで。」
俺は携帯をポケットにしまい、向き合う。
俺は少し緊張していた。彼女のブラウンの綺麗な髪もそうだが曇りのない瞳に吸い込まれそうにもなっていた。
「お仕事は何をしてらっしゃるのですか?」
彼女は聞いてきた。だが少しその間に不自然な違和感もあったように思える。
「そ、そうですよね。す、すいません。自己紹介も無しに。」
俺は少し緊張でもしていたのか言葉がどもってしまう。そして彼女は俺のその言葉に何かを気づいたすぐに訂正を加えた。
「私は黒柳風香と申します。」
風香と名乗った女性はペコリと頭を下げる。
「え、ああ、俺は大久保隆。ここいらの地方の新聞社に務めてるただのしがない新聞記者です。」
俺はペコリと頭を下げ返す。
「お仕事は何を?」
俺は先ほどの質問に答えて貰って無かったので聞き返す。しつこいとか思われてないだろうか。
「すいません、まだこっちに帰ってきてすぐで職業と呼べるものは無いんですよね。」
ん?と俺は彼女の言葉に疑問に思う。
「私、長い期間海外で仕事をしてまして日本に戻ってくるときに会社も辞めたんです。」
「ついでに会社も辞めたんですか・・・・。」
彼女の言葉は意味としてはかなり重いものだったのだろうが、軽やかな口調で話した。
「ええ。海外は楽しかったけれどやっぱり自分の故郷こそが1番のオアシスなんですよね。」
えへへ。と風香は少し照れて笑って見せる。
「ということはここいらにご実家が?」
俺はまた疑問を投げかける。
「いえ、厳密にはもっと向こうの山を越えたところなんですが、弟がここらで働いてるという事を聞いたんで・・・・。会えたら会っておこうかな。と思いまして。」
「へぇ~。そうなんですか。ちなみにどのようなご職業で弟さんは働いてらっしゃるのですか?」
俺のこの質問に風香は少し戸惑いを隠しきれなかった。
「すいません、記者なものですから次から次へと質問してしまい・・・・。職業病とでも思ってくれませんか?」
困っている風香の顔を見た俺は照れ笑いしながら頭を掻く。
「職業病ですね。分かりました。」
クスッと風香も笑った。
「すいませんが私はそろそろ行かなくては。」
風香は立ち上がり手持ちのバッグを持つ。
「あとこの周辺で花屋さんは無いですか?」
「花屋さんならあそこの通りをまっすぐ行ったところにありますよ。」
俺は風香の質問に即答し、風香はありがとう。とだけ返してどこかへと行ってしまった。
「美しい人だったなぁ」
俺は飲みかけのコーヒーを飲み干して自分の仕事へ向かうようにした。
学校に着く。建物自体はイメージする学校とほぼ変わらなく良くも悪くも「普通」の学校だった。
「おお!またもよくぞ来てくださいました!」
校長はニッコリ笑い、俺も会釈を返す。
「俺は一応剣道部を取材出来れば満足なんでそんなお構いにならないで下さい。」
「そうは言っても私もお客様を無下に出来ませんよ。案内されてくれませんか?」
校長の過剰とも思える好意に甘える。ま、まぁそう言うなら・・・・。
そう言われるがまま剣道部に案内される俺。道は前と変わらなかった。まぁ当たり前だが。
部の道場まで連れてこられるとあとは部の生徒に挨拶をし、手に持っていたカメラで写真を撮った。
いつも通りであろう風景を撮り、記事にする構図を考えながらまたシャッターを切る。
練習が終わり、そそくさと生徒達が帰り支度をする中、一人の女の子が俺に気づく。
淳の彼女の長良美智子だ。
「あんた!なんでいるのよ!」
指をさし、大声をあげる。
「そんなこと言われてもな、こっちは仕事だ。さっさと淳といちゃこらしてこい。」
俺はカメラをカバンの中にしまいこみ、そそくさと準備をする。
「ば・・・・いちゃこらなんてしてないわよ!」
美智子は顔を真っ赤にしてその場を去る。
ここで一つの出来事が俺の頭をよぎる。
またイジメられてないだろうか。
前あんなに言ったのだ。あとしばらくは大丈夫だろう。そうも思っていた。
そしてあの彼女、美智子がいるのだ。
とりあえずは校長に挨拶をして帰らねばならない。校長室へと足を向ける。
「やめてよ!」
美智子は目の前の男3人に羽交い締めされる。動けない。
オラァ!美智子の目の前には顔面を蹴られ、剣道部の部長、大原に蹴られ、血を流す淳の姿があった。
「あなたたちは同じ剣道部なんでしょう!なんでこんなことするの!」
美智子の声も無意味。羽交い締めされてるのがより虚しく見える。
「こんなことなんてのは失礼だな。これはあくまでも教育。先輩からの年功序列を守れなかった人間への罰さ。」
美智子を羽交い締めしている少年の一人が答える。そして暴行は続く。
「竹刀で殴るよかマシだろ。」
へへ。へへ。と汚い笑顔が飛び交う。
「年功序列ってどういうことよ!」
美智子が叫ぶ。
「ただただ俺たちより強い。それだけさ。だから気に食わねえ。それにコイツのせいで俺たちは他にも迷惑なしてるんだ。仕方ねえよなぁ?」
羽交い締めしている少年は高笑いする。部長は彼らの声に呼応することなくまるで作業のように淳に暴行を加えていく。
「もうやめて!」
美智子は叫ぶも何も届かない。夕空の赤が血にも思えた。
その場を離れた俺と淳はふもとの公園にいた。俺はねぎらいの意味も込めて缶コーヒーを淳に渡す。
「まぁ仕方ないさ。少なくともあの子の妹はUBに食われていた。少年は食われても妹が死んだなんて嫌でも思いたくなかっただけさ。」
俺は缶コーヒーのプルタブを開けながら言う。
「でも・・・・」
淳は震えた声で言う。
「僕だって必死だったんだ!必死でみんなを守ったのに!なんであんなこと言われなきゃいけないんだ!僕は戦ったんだ!でも誰だって評価しない!誰もありがとうの言葉さえ言わないじゃないか!守ってもらって当たり前!僕はやってるんだ!戦って!」
淳の感情は相当感極まっていた。どこにもぶつけられない怒りが放出されていく。
俺は敢えてこのことについては何も言わなかった。いや言えなかったのだ。俺も所詮は巨人、淳に守られて生きているのだから。
「僕はもう変身しない!戦って一体何になるっていうんだ!また!ああいうふうに言われるんだろ!」
淳のこぼれる涙が言葉の真意を明かす。
「俺はもう一度研究所へ行くよ。俺はお前に協力したいと思ってるし、人を守りたいと思っているからな。確かに理不尽だ。だけどこの理不尽さこそが世界なんだ。世間なんだよ。」
俺は淳に構うことなくもう一度研究所へ足を向ける。ここでこいつを慰めたら為にならない。そう思っていたからだ。だがこの言葉はもしかしたら淳には重く思える発言だったかもしれない。
「そんなバカな!」
俺は研究所へつき、執務室へ呼ばれた。実からとある事を聞かされ、驚愕した。
「間違いないさ。あの子の妹は川原にて死体が発見された。UBは関係ない。」
実はポケットからタバコとジッポーを取り出し、気にすることもなくタバコに火をつける。
「ただの溺死体だったってことか?」
「そうだ。それにこの事件、一週間ほど前に捜査が始まったが一昨日死亡認定されている。」
これがどういうことかわかるな?実は灰皿にタバコのカスを落としながら言う。
「その女の子は今日よりも昔に死んでいる・・・・?」
そういうこった。と実は返し、
「死体も死にたての感覚はなかった。ありゃ死んでもう2日は経ってるぞ。」
「一体どういう事なんだ・・・・?」
もしかして幽霊?なんてのもよぎったが少なくとも今は場違いの予想だと思った。
「とりあえず今日喋れるのはここまでだ。ここにいてもお前さんのプラスになることはなんもないよ。」
実はシッシッ!と虫を追い払うような動作をする。
「あいも変わらず!」
俺は一言だけイヤミを言い返して隆は研究所を後にした。
日は過ぎる。人は何も知らず仕事、勉強に励む。
はぁ・・・・。俺はため息をつきながら目の前のパソコンのデスクトップを見る。
「どうしたの?ため息なんてついて?」
俺の上司、村田アキは話しかける。
「いや、ここの見出しを何にしようかなと思い・・・・」
嘘である。本当は昨日の一件、少年の妹の溺死体の事が気になっているだけである。
俺は現場取材をしながらもあるときにはライターも兼任していた。地方新聞記者ならではなのかもしれない。
「老人会のゲートボールの記事でしょ?」
アキの質問にええ。とだけ返して
「そんなの決まってるじゃない!『ゲートボールを楽しむ元気な老人達』でいいでしょ?分かり易いし。」
じゃあ、そうしようかな?と俺はキーボードを叩こうとすると、
「ちょ、本当にやるの?」
アキは驚く。一体何があったのか。
「あんたの意見はそれでいいの?」
え?と俺はタイプを止める。
「あんたの意思はそれでいいの?ってことよ。」
提案したのはあんただろうに・・・・。そう思いながらも
「意見云々よりわかりやすさを求めるならアキさんのアイデアのがいいですよ。」
またタイプを始める俺。早くこの仕事を片付けたいその一身だった。
「上司に従うとしては十分だけど記者としてはまだまだ半人前よねぇ・・・・」
アキの言葉にほっとけよ!と俺は思ったが口には出さなかった。いらぬトラブルを起こすのは俺の主義ではなかった。
「あとあんたの剣道部の記事中々の評判でね、また記事にする事が決まったわ。また不定期かと思うけど剣道部行ってきてくれない?」
その言葉とともにお願い!と言葉をつけあわせる両の手を合わせるアキ。片方の目をつむっていた。
「分かりました。いつ位に行けばいいですかね?」
「うーん・・・・明日位?」
この人の悪いところは明日に急に行け。という無茶ぶりを普通に言うところだ。
「アポくらいはとってくださいね。」
俺はとりあえずタイプだけは済ましておいた。また何か言われるかもしれないが今は構っている暇はない。UBに取材に大忙しなのだから。
「やっぱりなんか引っかかるんですよね。」
研究所の事務室にてタバコをまた吸いながら実は拓也に疑問を投げかける。
「少年の見間違いという事ではないのかね?」
拓也はフゥと息を吐き、そう言う物言いをしてしまう。めんどくさそうに。
「でも普通に考えて家族の顔を間違えます?」
実は手に持っていた少年たちの家族写真を見ながら言った。
「錯乱していた可能性もある。」
拓也はそう言ったあと立ち上がり、
「君には巨人の周辺効果の調査を依頼しているはずだ。そして我々の仕事はUBを倒すことだ。死体を追求することじゃない。」
最後にそう言うと拓也は時計を見、その場を急いで出ていった。
「所長ってのも人付き合い悪いもんだね~。」
実は「ま、自分の事言えねえか。」とひとりごち、拓哉の後を追うように事務所を出ていった。
「まぁ仕方ないさ。少なくともあの子の妹はUBに食われていた。少年は食われても妹が死んだなんて嫌でも思いたくなかっただけさ。」
俺は缶コーヒーのプルタブを開けながら言う。
「でも・・・・」
淳は震えた声で言う。
「僕だって必死だったんだ!必死でみんなを守ったのに!なんであんなこと言われなきゃいけないんだ!僕は戦ったんだ!でも誰だって評価しない!誰もありがとうの言葉さえ言わないじゃないか!守ってもらって当たり前!僕はやってるんだ!戦って!」
淳の感情は相当感極まっていた。どこにもぶつけられない怒りが放出されていく。
俺は敢えてこのことについては何も言わなかった。いや言えなかったのだ。俺も所詮は巨人、淳に守られて生きているのだから。
「僕はもう変身しない!戦って一体何になるっていうんだ!また!ああいうふうに言われるんだろ!」
淳のこぼれる涙が言葉の真意を明かす。
「俺はもう一度研究所へ行くよ。俺はお前に協力したいと思ってるし、人を守りたいと思っているからな。確かに理不尽だ。だけどこの理不尽さこそが世界なんだ。世間なんだよ。」
俺は淳に構うことなくもう一度研究所へ足を向ける。ここでこいつを慰めたら為にならない。そう思っていたからだ。だがこの言葉はもしかしたら淳には重く思える発言だったかもしれない。
「そんなバカな!」
俺は研究所へつき、執務室へ呼ばれた。実からとある事を聞かされ、驚愕した。
「間違いないさ。あの子の妹は川原にて死体が発見された。UBは関係ない。」
実はポケットからタバコとジッポーを取り出し、気にすることもなくタバコに火をつける。
「ただの溺死体だったってことか?」
「そうだ。それにこの事件、一週間ほど前に捜査が始まったが一昨日死亡認定されている。」
これがどういうことかわかるな?実は灰皿にタバコのカスを落としながら言う。
「その女の子は今日よりも昔に死んでいる・・・・?」
そういうこった。と実は返し、
「死体も死にたての感覚はなかった。ありゃ死んでもう2日は経ってるぞ。」
「一体どういう事なんだ・・・・?」
もしかして幽霊?なんてのもよぎったが少なくとも今は場違いの予想だと思った。
「とりあえず今日喋れるのはここまでだ。ここにいてもお前さんのプラスになることはなんもないよ。」
実はシッシッ!と虫を追い払うような動作をする。
「あいも変わらず!」
俺は一言だけイヤミを言い返して隆は研究所を後にした。
日は過ぎる。人は何も知らず仕事、勉強に励む。
はぁ・・・・。俺はため息をつきながら目の前のパソコンのデスクトップを見る。
「どうしたの?ため息なんてついて?」
俺の上司、村田アキは話しかける。
「いや、ここの見出しを何にしようかなと思い・・・・」
嘘である。本当は昨日の一件、少年の妹の溺死体の事が気になっているだけである。
俺は現場取材をしながらもあるときにはライターも兼任していた。地方新聞記者ならではなのかもしれない。
「老人会のゲートボールの記事でしょ?」
アキの質問にええ。とだけ返して
「そんなの決まってるじゃない!『ゲートボールを楽しむ元気な老人達』でいいでしょ?分かり易いし。」
じゃあ、そうしようかな?と俺はキーボードを叩こうとすると、
「ちょ、本当にやるの?」
アキは驚く。一体何があったのか。
「あんたの意見はそれでいいの?」
え?と俺はタイプを止める。
「あんたの意思はそれでいいの?ってことよ。」
提案したのはあんただろうに・・・・。そう思いながらも
「意見云々よりわかりやすさを求めるならアキさんのアイデアのがいいですよ。」
またタイプを始める俺。早くこの仕事を片付けたいその一身だった。
「上司に従うとしては十分だけど記者としてはまだまだ半人前よねぇ・・・・」
アキの言葉にほっとけよ!と俺は思ったが口には出さなかった。いらぬトラブルを起こすのは俺の主義ではなかった。
「あとあんたの剣道部の記事中々の評判でね、また記事にする事が決まったわ。また不定期かと思うけど剣道部行ってきてくれない?」
その言葉とともにお願い!と言葉をつけあわせる両の手を合わせるアキ。片方の目をつむっていた。
「分かりました。いつ位に行けばいいですかね?」
「うーん・・・・明日位?」
この人の悪いところは明日に急に行け。という無茶ぶりを普通に言うところだ。
「アポくらいはとってくださいね。」
俺はとりあえずタイプだけは済ましておいた。また何か言われるかもしれないが今は構っている暇はない。UBに取材に大忙しなのだから。
「やっぱりなんか引っかかるんですよね。」
研究所の事務室にてタバコをまた吸いながら実は拓也に疑問を投げかける。
「少年の見間違いという事ではないのかね?」
拓也はフゥと息を吐き、そう言う物言いをしてしまう。めんどくさそうに。
「でも普通に考えて家族の顔を間違えます?」
実は手に持っていた少年たちの家族写真を見ながら言った。
「錯乱していた可能性もある。」
拓也はそう言ったあと立ち上がり、
「君には巨人の周辺効果の調査を依頼しているはずだ。そして我々の仕事はUBを倒すことだ。死体を追求することじゃない。」
最後にそう言うと拓也は時計を見、その場を急いで出ていった。
「所長ってのも人付き合い悪いもんだね~。」
実は「ま、自分の事言えねえか。」とひとりごち、拓哉の後を追うように事務所を出ていった。