怪物と巨人が市街地で戦って1週間が経とうとしていた。
世間ではあの2つの生物はなんなのか?敵なのか?味方なのか?そんな報道がどこの報道局も流していた。
だが、どんなに偉い専門家でもこの事件の真相が分かるはずが無かった。
世間では巨人を偶像とし、崇拝するものまでで始めたらしい。まるで新興宗教のように。
だが、この巨人をよく思わないものもいた。
人知を超えた力は人を傷つけて滅ぼす。そのような事を言う者もいた。
果てにはあれは前人類が作り出したものだと騒ぎ出すものまで居た。
街には大災害とは言えないまでも大きな傷を負っていた。そしてこの件での犠牲者は15人を出していた。
それが今、世間で流れてる巨人と怪物とのすべての情報だった。
「ようはUBの情報や淳の情報は漏れてないってことか。他なんか言うこと無いか?隆?」
実はジッポーのトリガーに手をかけ、口にくわえてあるタバコに火をつける。
「実さん、俺は煙いの嫌いなんすけど・・・・」
俺の言葉も無視するようにタバコは煙をモクモクと渦を巻いていった。
ここはsignalの会議室だった。机が並べられており、窓には大型のモニターが備え付けられていた。
「まあそう言うなよ・・・・」
構わず煙を吐く実。部屋に副流煙が舞う。
「とりあえず本題に入ろう。」
実はリモコンを操作し、目の前のモニターに何かを表示する。
「これは先日の巨人とUBの市街地戦での定点カメラで捉えた映像だ。」
確かに映し出された映像には巨人とUBが戦う姿が映されていた。
「そうか、そういやお前、現場にいたんだっけ?」
実は唐突に思い出したように言い、リモコンの一時停止ボタンを押す。映像がピタッと止まる。
「なんか・・・・気づいたこと・・・・ないか?」
実はタバコを灰皿に捨て、意味深に近い質問をする。
「気づいたこと・・・・ですか。」
特には無かった。あいつはいつもどおりに、いや、いつも以上に戦っていたと思う。
「体長が変わってるんだよ。UBに応じてな。」
タバコの煙が宙を舞う。確かにその通りだった。
「前戦ったUBは15m程度のやつだった。だが、今回現れたUBは25mほどの大きさがあった。」
一言言い終える度にタバコの煙が宙を舞う。
「それに巨人はUBとほとんどピッタリ体長を合わせ戦ってるんだよ。わかるか?」
実はポケットの中から何枚かのスチール写真を取り出した。
「これは?」
そこには巨人と過去に出てきたUBとの戦闘場面が写されていた写真だった。そして横には何かの目盛が記されていた。
「今までのUBとの戦いとつい先日の巨人との戦闘を比較したものさ。」
確かに目の前の写真にはアクティブに動く巨人を写していた。
「横の目盛見りゃ分かると思うが巨人は戦闘の度に身長を変えているんだ。さっきも言った通り、UBに合わせるようにしてな。」
確かに不思議ではあった。だが不思議とそれ以上の疑問は湧かなかった。湧いてどうするんだ?とかも思えていた。
「別にいいんじゃないですか?」
俺は返す。巨人は神秘に近い存在であった。これ以上考えるのは野暮という風に捕らえてしまっていたのだ。
はぁ?と呆れた顔で実は返す。
「どんな形であれ、俺たちの事を守ってくれてるんですよ。俺は野暮なことは考えるのやめてますよ。」
こう返すと実はまたはぁ・・・・と溜息をつく。
「お前本当に記者か?こういうのは報道屋ならホイホイされそうなんだがなぁ・・・・ 」
実のタバコの煙のめぐりが心なしか悪くなってきていた気がする。
「世間一般は興味をもつかもしれませんが俺はもうある程度は知ってますからね。こういう巨人というのは少しインチキというかちょっときな臭い方がいいのかもしれません。」
実には俺の言ってることが分からなかったのだろう。
「お前がそう思うのは勝手だが俺はそういう訳にはいかねえんだよ。所長に口を酸っぱくして徹底的に調べ上げろって言われてるからな。」
実はそう言うとタバコを一本また口に加えて言葉を付け加える。
「UBを殲滅しなきゃ俺も拓也も拓也の姉も報われねぇからな・・・・」
俺は少しその言葉が気になった。
「どういうことです?」
実は俺の方を向き、
「聞きたいか?」
長くなるぞ。と付け加えタバコを吸うのをやめて俺に語り始めた。
「俺と拓也は昔からの同級生だった。まぁ自慢じゃねえが互いに頭も中々によかった。だからこそ俺もあいつも生物系の職業につくことになるんだろうな。」
実は俺に語りかける。
当時の俺、実と拓也はロシアのとある研究所に呼ばれることになるんだ。
その研究所には拓哉の姉がいてな、まぁ姉さんも弟のことを優秀な研究者と思っていたからスカウトしたんだろう。
それに同じ研究室で働いていた俺もついていく事にした。
その研究所は世界のまだ解決して無い殺人事件や異常現象について調査している研究所だったんだ。
ロシアの町外れにあるそこは研究所としての立地は最高だった。
そして拓也の姉はそこでUBについての調査をしていたのさ。
だが、拓也自身はあまりUBについては信憑性の無いものと考えていてな。姉さんの言う事をことごとく無視してきたのさ。
考えてもみろ。目の前に怪獣みたいなのが現れたなんて誰が信じる?
確かにその時ではUBに関する情報はあまりにも少なく、信用させようにも物的証拠は無かった。
そりゃ怪獣が本当にいたんです!なんて言って証拠が無けりゃ意味ないよな。
たが、拓哉の姉さんは今にもUBが現れ、人類の天敵となるであろう、人の命を奪い、街を壊し、人類を破滅に導くであろう。と考えて研究を重ねていたんだ。
「我々研究者が起こりもしないと言い切れないものを頭から否定し、それをないがしろにする行為はあまりにも愚かです!我々研究者は現象を予測し、不幸な未来を変えていくものでしょう?」
あの人はそう言ったが耳を貸したのは少ししかいなかった。その少しに俺も拓也も含まれてはいなかった。
そして恐れていたことが現実として起こることになるんだ。
ある時、火災がおこった。
原因は分からなかった。その時間に研究は行われていなかったし、薬品は厳重に保管されている。
だが、原因はすぐに分かることになる。
俺は慌てて外へ出ると研究所のビルの1.5倍はある、20m位の巨大生物がビルを壊しながら火を吹いていた。
「俺たちの研究所が・・・・」
炎上する研究所は酷く脆く、呆気なく崩れさっていく。
20mの怪物は我が物顔でその場に留まる。
死・・・死ぬ・・・?
俺はそう考えた。テンプレのように「もうダメだ。」と思ってそれが脳から離れなかった。
あの時、拓也の姉さんの言っていることを信用して対策を立てていればもしかしたら今よりマシだったかもしれない。そうも考えた。
「諦めないで!」
遠くでそんな声が聞こえた。
聞こえた方向をふり向くと拓也の姉さんがいた。
手に持ったハンドガンで怪獣を牽制し、突撃していく拓也の姉さん。
怪獣に立ち向かう姿は彼女しか居なかった。みんな逃げることで手一杯だった。
そこから後のことは俺はあまり覚えていなかった。
怪獣を退けたらしい。姉さんの命と引き換えに・・・・。
姉さんは怪獣の中に飛び込んで自身が潜まさせていた爆弾を起爆させて潰したそうな・・・・。
そこから後は拓也の姉さんが残したデータを手に、生き残った研究員と共に日本へ渡って拓也のこの別荘を俺たちの拠点とし、あの時の怪獣をunknown beastと称して俺たちは戦うことを決めたんだ・・・・。
「と、おれが知りうる限りの過去の話だ。」
また新たなタバコに火をつけ、ライターをズボンのポッケへしまう。
「要はお姉さんへの仇討って事ですか・・・・?」
俺は質問をした。この言葉は言い方が悪かったかもしれない。理由はないが俺はそう考えていた。
「どうなんだろうな。少なくとも俺にはそう思えるな。だけどそれは人類にとっても大きな脅威を取り除くことになるはずだ。」
「そりゃあまぁUBを倒すことに代わりはありませんからね・・・・。」
俺は話しながらも煙たい部屋にそろそろ嫌気が差していた。
「僕はもうそろそろ出て行きますよ。」
俺は煙たさで酸欠になりそうになったので出口へのドアに近づいていく。
「どうした?また仕事か?」
ふーっと煙たい部屋がまた煙たくなる。これがなければもう少しここにいてもいいと思えたのだが・・・・。
「まぁ、ええ。世間的には巨人の騒動はまだ終わっていませんからね。」
俺はそういい、ドアノブを触る。
「まあ俺もまだその騒動に加えて少し前のガキンチョと遭遇したUBの事についても詳しく調査しなくちゃならんしな。」
ドアを開いて互いに頑張りましょうよ。そう言い残して俺は研究所を後にした。
今日の会話で所長の拓哉と実の意志は強固なものだとわかった。俺も大切な人が死んだら復讐に燃えるだろう。
でもなんだろうか・・・・。なぜだが腑に落ちないような気分もあった。
大空に青い宝玉をかざすと少年は青い光に包まれる。
瞬間青い光に包まれた少年、淳は自ら強烈な光を放ち、次の瞬間には巨人に姿を変えた。
いつもなら10メートルほどの大きさなのだが相手に合わせているのか20メートルに近い大きさを誇っていた。
俺はその巨人を無意識に見上げていた。
その神々しさはただ巨人と形容するのは国語力の不足を表しているようにも思えた。俺はその巨人を絶対無敵のヒーローとも思っていた。たが違っていた。一人の少年だった。
「負けんなよ。」
俺は目の前の巨人を後にして避難していくようにした。
「隆・・・・さん?」
逃げようとした俺の目の前にある女性が現れた。
「風香さん・・・・?」
何故あの時、今日の少し前の時間に出会った彼女がここにいるかわからなかった。少なくともこの場にいるのはおかしい。UBはもう目と鼻の先にいる。振り返ればいるのだ。だが考えてる暇はなかった。
「ここから早く逃げてください!」
俺は叫んだ。
「あなたは逃げないのですか?」
風香の返しに少し戸惑ってしまう俺。だが、その柔らかい声とブラウンの綺麗な髪が全ての感情を無くしてしまいそうにもなった。少し笑ってしまいそうにもなってしまった。気が緩んだ。
「俺も今逃げるところです!だから一緒に逃げましょう!」
俺は彼女の手を握った。
「そうですね。」
にっこりと笑った彼女の顔は殺伐とした今の状況を少し柔らかくしたように思えた。
「淳!淳!どこなの!」
美智子はごった返す人ごみの中自分の彼氏を探していた。
彼女は怪物を見た瞬間一目散にその場から逃げていた。淳とはその間にはぐれてしまっていたのだ。
「携帯も繋がらないし・・・・」
今の状況は人々は逃げる場所も無いのに逃げている。そんな矛盾がはらんだ状況であった。
「何・・・・?あれ・・・・?」
美智子はふいに学校側に目を向ける。
黄土色の化け物が辺りの物を壊しながら歩みを進めるのに対して青い光が対抗するようにどこからか光り始めた。何の光なのかは分からない。だが、それは優しい光だった。その光は徐々に大きな人型へと変化を遂げていく。
「人型・・・・?」
二本足に細長い形。まるで人をそのまま大きくしたようだった。
肩の突起や胸のエンブレムのようなものは気になったが今はこの巨人が何者か、というのが一番気になった。
周りの人間も振り返り始め、それを見つめる。
「もう一人の怪物・・・・」
巨人を見てそのように敵と認識して災厄がまた1つ増えた。と思った者も多数いた。
「いや、違う。あれは正義のヒーローだよ。」
そんな大人の言葉に子供が反論する。
「僕、知ってるもん。いっつもテレビで見てるヒーローだよ。」
違う子供がまた言った。
その言葉が輪になって広がっていき、巨人を敵視する人間はいなくなっていった。
巨人は黄土色の怪物に後ろから飛び蹴りをしてみせた。
怪物は苦しそうな声を上げて倒れ込む。
すかさず怪物の手を持ち、立ち上がらせ、顔面に何発もパンチを入れる。
怪物も堪らなかったのだろう。手のムチのようなものを巨人に絡みつける。
巨人の体の全身に巻き付いたムチは光を放つ。電撃的なものであろうか。
電撃に苦しみ悶える巨人。だが、それは一瞬の出来事だった。
巨人が全身に力を入れるとムチはプツプツとぶつ切りに切れた。
破片と化したそれは地上にボドボドと落ちる。
すかさず巨人は腹にパンチを2、3発くれてやり、それにキックをプラスして食らわせる。
巨人の胸の中央から剣が形成され、胸から排出される。
それに構わず向かってくる怪物。
キシャャャャ!と苦悶の声を上げて突進してくる怪物にその剣で怪物の腹を一突きした。
剣は怪物の胴体を貫いた。
声にならない声を上げる怪物。
貫いたことを確認した巨人は宙返りをして距離をとる。
巨人の胸の十字架からエネルギー波のようなビームを放つ。
レーザーのように伸びたそれは怪物の腹部に命中する。
その瞬間、怪物は光を放ちながら爆散していった。
「やった!やったぞ!」
美智子の周りにいた人々は歓喜の声を上げる。
わぁぁぁぁぁ!黄色い声が町中にこだまする。
「でもなんだかあの巨人・・・・悲しそうな・・・・」
美智子から出た言葉はそんなことだった。
背徳感。というものだったのだろうか。美智子には正確なことは分からなかった。
瞬間青い光に包まれた少年、淳は自ら強烈な光を放ち、次の瞬間には巨人に姿を変えた。
いつもなら10メートルほどの大きさなのだが相手に合わせているのか20メートルに近い大きさを誇っていた。
俺はその巨人を無意識に見上げていた。
その神々しさはただ巨人と形容するのは国語力の不足を表しているようにも思えた。俺はその巨人を絶対無敵のヒーローとも思っていた。たが違っていた。一人の少年だった。
「負けんなよ。」
俺は目の前の巨人を後にして避難していくようにした。
「隆・・・・さん?」
逃げようとした俺の目の前にある女性が現れた。
「風香さん・・・・?」
何故あの時、今日の少し前の時間に出会った彼女がここにいるかわからなかった。少なくともこの場にいるのはおかしい。UBはもう目と鼻の先にいる。振り返ればいるのだ。だが考えてる暇はなかった。
「ここから早く逃げてください!」
俺は叫んだ。
「あなたは逃げないのですか?」
風香の返しに少し戸惑ってしまう俺。だが、その柔らかい声とブラウンの綺麗な髪が全ての感情を無くしてしまいそうにもなった。少し笑ってしまいそうにもなってしまった。気が緩んだ。
「俺も今逃げるところです!だから一緒に逃げましょう!」
俺は彼女の手を握った。
「そうですね。」
にっこりと笑った彼女の顔は殺伐とした今の状況を少し柔らかくしたように思えた。
「淳!淳!どこなの!」
美智子はごった返す人ごみの中自分の彼氏を探していた。
彼女は怪物を見た瞬間一目散にその場から逃げていた。淳とはその間にはぐれてしまっていたのだ。
「携帯も繋がらないし・・・・」
今の状況は人々は逃げる場所も無いのに逃げている。そんな矛盾がはらんだ状況であった。
「何・・・・?あれ・・・・?」
美智子はふいに学校側に目を向ける。
黄土色の化け物が辺りの物を壊しながら歩みを進めるのに対して青い光が対抗するようにどこからか光り始めた。何の光なのかは分からない。だが、それは優しい光だった。その光は徐々に大きな人型へと変化を遂げていく。
「人型・・・・?」
二本足に細長い形。まるで人をそのまま大きくしたようだった。
肩の突起や胸のエンブレムのようなものは気になったが今はこの巨人が何者か、というのが一番気になった。
周りの人間も振り返り始め、それを見つめる。
「もう一人の怪物・・・・」
巨人を見てそのように敵と認識して災厄がまた1つ増えた。と思った者も多数いた。
「いや、違う。あれは正義のヒーローだよ。」
そんな大人の言葉に子供が反論する。
「僕、知ってるもん。いっつもテレビで見てるヒーローだよ。」
違う子供がまた言った。
その言葉が輪になって広がっていき、巨人を敵視する人間はいなくなっていった。
巨人は黄土色の怪物に後ろから飛び蹴りをしてみせた。
怪物は苦しそうな声を上げて倒れ込む。
すかさず怪物の手を持ち、立ち上がらせ、顔面に何発もパンチを入れる。
怪物も堪らなかったのだろう。手のムチのようなものを巨人に絡みつける。
巨人の体の全身に巻き付いたムチは光を放つ。電撃的なものであろうか。
電撃に苦しみ悶える巨人。だが、それは一瞬の出来事だった。
巨人が全身に力を入れるとムチはプツプツとぶつ切りに切れた。
破片と化したそれは地上にボドボドと落ちる。
すかさず巨人は腹にパンチを2、3発くれてやり、それにキックをプラスして食らわせる。
巨人の胸の中央から剣が形成され、胸から排出される。
それに構わず向かってくる怪物。
キシャャャャ!と苦悶の声を上げて突進してくる怪物にその剣で怪物の腹を一突きした。
剣は怪物の胴体を貫いた。
声にならない声を上げる怪物。
貫いたことを確認した巨人は宙返りをして距離をとる。
巨人の胸の十字架からエネルギー波のようなビームを放つ。
レーザーのように伸びたそれは怪物の腹部に命中する。
その瞬間、怪物は光を放ちながら爆散していった。
「やった!やったぞ!」
美智子の周りにいた人々は歓喜の声を上げる。
わぁぁぁぁぁ!黄色い声が町中にこだまする。
「でもなんだかあの巨人・・・・悲しそうな・・・・」
美智子から出た言葉はそんなことだった。
背徳感。というものだったのだろうか。美智子には正確なことは分からなかった。
「UBが大田中学校周辺にて出現!」
signalのオペレーターがそのようにしてsignal館内に放送が流れると総員に戦慄が走った。
「所長!これはやっちまったな・・・・」
実は手に持っていた缶のコーヒーを握りつぶす。そばにいた拓哉は口を重そうに開ける。
「俺たちにとって最も恐れていた事態・・・・。」
会議室にいた実と拓也は顔を真っ青にした。手に持っていた紙コップのジュースを落とし、中身が地面にぶちまけられる。
そして会議室にあるモニターに今起こってる状況が映し出される。
黄土色の巨体のUBが電信柱を破壊し、手についていたムチのようなものが周りの建物に風穴を開ける。
「またあの時みたいになるのか・・・・」
実のそんな言葉に拓哉は過去に起こったある惨劇が頭によぎる。
「違う!俺たちは、俺たちのような人間を作らない為に戦ってきたんだ!あんな惨劇を繰り返さない為に!」
拓也はそう言い机をバン!と叩き反論する。
「淳・・・・あいつしかUBに戦える人間はいないんだ・・・・!早くアイツに戦わせろ!今はそれしかない!」
signalの会議室は激情により揺れる。二人の男の追憶と共に。
「何故だ!なんで変身してUBを倒さないんだ!」
俺は淳の肩を揺らすが、淳はなんの反応もしない。
「やめてくださいよ・・・・。そんな戦うのが義務みたいな言い方・・・・」
淳のそんなやる気のない言葉になんだと!と激情してしまい、俺は淳の胸ぐらを掴む。
「僕は誰よりも怖い、苦しい思いをして戦ってるんだ!巨人になって!」
淳はやっと声を振り絞り、出す。
「それに僕は子供に!巨人を許さない!なんて言われたんだ!僕が戦っても意味なんかないじゃないか!」
震えた声は大声になった。
俺は胸ぐらを掴んだ手を離す。いや、俺にはそんな胸ぐらを掴んで説教をするほどの資格は無いと思えたのだ。
「それに!あの剣道部の奴らは僕を虐めていたんだ!いい気味だ!あいつらに襲われてから初めて僕に『助けてくれ!』なんて言い始めたんだ!今まで僕が何回助けてくれ!と頼んでも何も聞かなかったくせに!」
ふざけるな!俺は淳の頬を思い切りひっぱたいた。資格が無いなんて一瞬でも思った俺がバカだった。
そのひっぱたかれた衝撃で倒れ込む淳。
「確かにお前はイジメられたかもしれない。それは辛くて悲しくて惨めな思いをしたかもしれない。でもなぁ・・・・俺たちは、俺たち人間はそういう風に人間の命をえり好んで捨てたりしちゃいけないんだ!」
さらに俺は続ける。何故か涙が出てくる。感極まってしまったのだろうが。
「そりゃ俺だってお前の立場だったらいじめた奴らを助けたくないと思うかもしれない。あの子供の事を思い出してまた傷つけて恨まれるかもしれない。でもなぁ・・・」
俺は涙ぐみ、話を続ける。
「俺はお前に助けてもらってありがたいって思ってる!」
「俺だけじゃないはずだ!signalのみんなだって!」
「理由はどうだっていい!少なくとも今このUBが暴れ回し続けている!それにお前の彼女の美智子ちゃんだって死んじまうかもしれないんだぞ!」
この言葉で淳の目が覚める。
「それでもお前が戦わないっていうなら・・・・俺が・・・・」
俺は淳の首につけてある巨人に変身できる青い宝玉のネックレスを掴む。
「やめて下さい!」
淳はそれを振り払い、立ち上がる。
「僕は剣道部の奴らを助けるわけじゃない。彼女とあなたを助けるために戦います!」
淳は青い宝玉を天空にかざす。
瞬間、淳は青い光に包まれる。
それでいい・・・・それでいいんだ・・・・!
俺は変身するその姿を見届けながらその場へと離れていこうとしていた。
signalのオペレーターがそのようにしてsignal館内に放送が流れると総員に戦慄が走った。
「所長!これはやっちまったな・・・・」
実は手に持っていた缶のコーヒーを握りつぶす。そばにいた拓哉は口を重そうに開ける。
「俺たちにとって最も恐れていた事態・・・・。」
会議室にいた実と拓也は顔を真っ青にした。手に持っていた紙コップのジュースを落とし、中身が地面にぶちまけられる。
そして会議室にあるモニターに今起こってる状況が映し出される。
黄土色の巨体のUBが電信柱を破壊し、手についていたムチのようなものが周りの建物に風穴を開ける。
「またあの時みたいになるのか・・・・」
実のそんな言葉に拓哉は過去に起こったある惨劇が頭によぎる。
「違う!俺たちは、俺たちのような人間を作らない為に戦ってきたんだ!あんな惨劇を繰り返さない為に!」
拓也はそう言い机をバン!と叩き反論する。
「淳・・・・あいつしかUBに戦える人間はいないんだ・・・・!早くアイツに戦わせろ!今はそれしかない!」
signalの会議室は激情により揺れる。二人の男の追憶と共に。
「何故だ!なんで変身してUBを倒さないんだ!」
俺は淳の肩を揺らすが、淳はなんの反応もしない。
「やめてくださいよ・・・・。そんな戦うのが義務みたいな言い方・・・・」
淳のそんなやる気のない言葉になんだと!と激情してしまい、俺は淳の胸ぐらを掴む。
「僕は誰よりも怖い、苦しい思いをして戦ってるんだ!巨人になって!」
淳はやっと声を振り絞り、出す。
「それに僕は子供に!巨人を許さない!なんて言われたんだ!僕が戦っても意味なんかないじゃないか!」
震えた声は大声になった。
俺は胸ぐらを掴んだ手を離す。いや、俺にはそんな胸ぐらを掴んで説教をするほどの資格は無いと思えたのだ。
「それに!あの剣道部の奴らは僕を虐めていたんだ!いい気味だ!あいつらに襲われてから初めて僕に『助けてくれ!』なんて言い始めたんだ!今まで僕が何回助けてくれ!と頼んでも何も聞かなかったくせに!」
ふざけるな!俺は淳の頬を思い切りひっぱたいた。資格が無いなんて一瞬でも思った俺がバカだった。
そのひっぱたかれた衝撃で倒れ込む淳。
「確かにお前はイジメられたかもしれない。それは辛くて悲しくて惨めな思いをしたかもしれない。でもなぁ・・・・俺たちは、俺たち人間はそういう風に人間の命をえり好んで捨てたりしちゃいけないんだ!」
さらに俺は続ける。何故か涙が出てくる。感極まってしまったのだろうが。
「そりゃ俺だってお前の立場だったらいじめた奴らを助けたくないと思うかもしれない。あの子供の事を思い出してまた傷つけて恨まれるかもしれない。でもなぁ・・・」
俺は涙ぐみ、話を続ける。
「俺はお前に助けてもらってありがたいって思ってる!」
「俺だけじゃないはずだ!signalのみんなだって!」
「理由はどうだっていい!少なくとも今このUBが暴れ回し続けている!それにお前の彼女の美智子ちゃんだって死んじまうかもしれないんだぞ!」
この言葉で淳の目が覚める。
「それでもお前が戦わないっていうなら・・・・俺が・・・・」
俺は淳の首につけてある巨人に変身できる青い宝玉のネックレスを掴む。
「やめて下さい!」
淳はそれを振り払い、立ち上がる。
「僕は剣道部の奴らを助けるわけじゃない。彼女とあなたを助けるために戦います!」
淳は青い宝玉を天空にかざす。
瞬間、淳は青い光に包まれる。
それでいい・・・・それでいいんだ・・・・!
俺は変身するその姿を見届けながらその場へと離れていこうとしていた。