yamakiのブログ -84ページ目

yamakiのブログ

大学生です。アニメとかゲームとか特撮とかテキトーに書いてます。メッセージは送られても見ない可能性大です。

UBを倒した巨人はすぐに変身を解除しようとしなかった。なにか不穏な空気を感じていたからだ。

その予感は的中することになる。

突如、地面が揺れ、俺は足場を崩しそうになる。

そうするとコンクリートが割れ、なにかが現れる。

「UBだ・・・・」

コンクリートに舗装された道がエグれかえる。とんがった頭に口からはでかい牙がはみ出ている。大きな尻尾が機嫌を悪そうに上下に振られていた。

大きな奇声を上げながら二足歩行するUB。歩く度に足跡が道路に残っていく。

巨人は大きく飛び上がりUBに飛び蹴りを食らわせる。

キックを食らったUBの巨体が地面に倒れ込み、また大きな衝撃が地面を揺さぶる。

すかさず巨人はUBの尻尾を掴み、上に持ち上げる。そうするとUBも少しばかり宙に上がる。そして下に叩きつける。

UBは声にならない声を上げ、苦しみ続ける。

UBもたまったものではなかったのだろう。

巨人に蹴りをいれて、体制を崩させる。

掴んでいた尻尾を放してしまい、よろける巨人。

すかさずUBは角からレーザー光線を放ち、火花を散らした。

巨人に命中したレーザー光線は巨人の体を焦がす。

膝をつき、焦がされた胸に手を当てる。深呼吸をするように胸を動かし、何とか平常心を取り戻す。

UBに立ち向かおうとし、立ち上がる。

が、そのUBもその場から離れようとし、穴を掘っていた。

「逃げるつもりなのか?」

俺の予想は当たりだった。

巨人は立ち上がるもまたふらつき、よろめいて膝をついてしまった。

UBが穴の中へ去っていくのを見ているしかなかった。

巨人は苦しそうに息を切らしていた。

ただ逃げていく敵を見ることしか出来なかったのだ。




数時間が経った。

火の手はまだ消えていない所もある。被害者の数は増えていく一方だった。

俺は悔しかった。何もできない自分に。そして職業柄この事実を淡々と伝えなくてはいけないというやるせなさに。今もこうしてそんな思いを持ちながらも淡々とシャッターを切り続けている自分に。

数10分ほど前、風香に出会い、彼女の無事を確認できた。

こんな時でも彼女は麗しかった。

こうやって誰かが生きているという事を確認すると暗闇の中で1本の光が差し込む気がした。それほどまでに嬉しいものであったのだ。

だが、目を向けなければいけないのは今という現実だった。

淳の通う中学校は今回は建物への被害はなかったものの、剣道部員3人の犠牲者をだしていた。

「剣道部員・・・・。」

俺はやるせない思いでいっぱいであった。

目の前にあるその中学校の校門。

とりあえずカメラで1枚撮る。校門と校舎はいつもと同じく何も変わっていなかった。

「ここは何とか壊れなかったのか。」

校庭は檻のようなものには焼けた跡があった。火を吹くUBによる火炎攻撃の被害なんだろう。

だが、火が直撃したのは校庭。犠牲者である剣道部員二人は校庭から少し離れた東校舎であった。そこに炎が命中したとは思えない。

「まあここからは警察の領分か・・・・」

俺は思考を止める。ただの新人記者があーだこーだ言ったところで何にもならんだろうし、何より自分の今やるべきことは真実を報道することであると思ったからだ。

敷地内を歩く。被害があったのは校庭だけなので特に変わったことはない。いつも通りの学校だ。





「おーい!淳!」

校舎内を歩いていると偶然目の前を通りかかった淳がいたので声をかける。

いきなり声をかけたからだろうか?淳の体がビクッと上下に揺れた。

「びっくりさせてしまったか?悪い悪い」

俺はへへへと笑い、淳の方へかけより、声をかける。

「い・・・・いえ・・・・僕は・・・・」

言葉の歯切れが悪かった。

「具合でも悪いか?」

心配して俺は声をかけるが、

「だ・・・・大丈夫ですよ。少し疲れてるだけです。」

淳は両手を前に突き出し、遠慮する様子を見せる。

「そ、そうか・・・・。」

少しだけ作り笑いを互いにして見せる。確かに今の状況は悪いが無理矢理でもなんでも少しでも笑える状況はまだマシな方であろう。

「またこの学校から被害者が出ちまったらしいな。」

この言葉を俺が発した時、何故か淳がまた大きくドキッと体を上下させた気がした。

「まあお前のせいとは言わないさ。こういうのは・・・・なんだ・・・・運なんてのが付き纏ってるからな。」

励ましの言葉が中々うまく思いつかない俺は頭をかいた。

確実に淳の顔が真っ青になっていくのを感じた。

呼吸がいきなり早くなり、過呼吸と言って差し支えないほど早くなっていく。そしてフラフラと倒れそうになる淳を抱き抱える。

「おい!本当に大丈夫かよ!」

俺は淳の体を揺らしながら話しかける。

「殺したのは僕なんです・・・・」

淳は意識が朦朧とする中、声がとぎれとぎれになる中、聞こえたのはそのような言葉だった。

「なん・・・・?だと・・・・?」

UBが街に現れそろそろ2週間が経とうとしていた。それでも人の心は癒えず、悲しみがこの街を包んでいた。

「街に怪物が現れ、そろそろ2週間が経ちます。ですがこの学校に残した傷跡はあまりにも大きすぎ、そして亡くなっていった友人も多くいることでしょう。ですが、我々はその気持ちも汲み取り、彼らの分まで精一杯生きねばなりません。」

淳の目の前で、全校生徒の前で喋る校長先生の姿は大きいものだった。マイク越しから悲しみを押し殺すような声が聞こえる。今いる中学校の校舎もまだ完全に修復されたわけではないが普通に座学を学べる程度には復活していた。

それでも周りのみんなは2週間の出来事を思い出し、嗚咽、涙を流すものがあまりにも多かった。校舎前の運動場の茶色い土が涙に濡れて少し黒くなっている部分があった。

政府や色々な企業が支援に協力的であったのも理由だろうか。当初はもっとかかると思われた撤去作業も大幅に短縮されているらしい。

この運動場にきちんとみんなで集まってるのも久しぶりだ。





校長先生からのありがたい話をおえると剣道部の面々から声が淳の元にかかる。

先輩が3人。こんな時に一体何の用なんだろうか。

「1階のトイレで待ってるからよ」

先輩からの命令は絶対であった。運動部特有のものであった。

1階のトイレの裏側に呼び出される淳。すぐにそこへ向かうことにした。

周りが校舎の角に挟まれており、周りからは誰も見えない。そこには呼び出した3人の先輩がいた。

「何の用ですか?」

淳は少し声を上ずりながらも声をかける。もう分かってはいた。イジメという制裁をうけるのだ。その場にいたというだけのそれだけの簡単な理由だ。

「なんでお前如きが生きてるんだよ!」

先輩からの第一声はあまりにも辛辣なものだった。

「お前が生きて怪獣のせいで裕太は死んだ!裕太のがいいやつなのに!なんでお前みたいなやつが生き残る!」

その言葉に呼応するようにして先輩二人が淳を羽交い締めにし、目の前のもう一人の先輩に殴られる。

バキッ!重く鈍い音が何回も炸裂する。頬に、頭に、口に。

へへへっ。先輩たちの気持ちの悪い笑い声が淳の鼓膜に届く。彼らはこの状況、狩りにも近いこの状況を大いに楽しんでいたのだ。ここまでくれば誰が死に、誰が生きたかなんて関係無かったのかもしれない。

許せない・・・・。淳の怒りがふつふつと募る。

「僕はこんな奴らを守るために今日まで戦ってきたのか・・・・。」そう思い、そしてふとあの子供の言葉が思い出される

「あの巨人を許さない!」

僕は間違ったことはしてない筈なのに誰かにまた疎まれる。

許せない!またこの言葉が募る。怒りのパラメータは上昇していく。

そして淳の青い影が揺らめく。淳の怒りを代わりに表現するように。

青い影は淳をいじめる先輩たちを見つめる。

淳は気づかないうちに青い影の気に飲まれた。





近所の中学校は今日から本格的に授業を再開するらしい。今までは壊れていた理科教室なんかでは授業は行えなかったが、今はキチンと使えるらしい。

俺は横の窓から空を見る。大久保隆と書かれた社員証は机の上にポイっと捨てられるように置かれていた。そして空はあいも変わらず青く、少しの雲がアクセントになっていた。

「コラ!さっさと仕事しろ!」

俺が物思いにふけっていると後ろにいた先輩の声が一喝してきた。さっさと今書いてる記事を完成させることにしよう。


パソコンにまた向かおうとした時何か爆発音が鳴った。

「な、なんだぁ?」

俺は慌てて横の窓から外を見る。空を見上げる。

大空をはためく大きな鳥、いやプテラノドンという恐竜のような物体が現れていた。

「UBかよ!」

プテラノドンのようなUBは上空から火の玉を放つ。

口から放たれた炎は着弾すると同時に無慈悲に地面を、建物を、命を焼いていった。

横に生えている大きな羽が地上にいる人間を嘲笑うように見えた。

「はやくなんとかしねえと!」

燃え盛る街に何もできない自分を恨んだ。

俺は携帯を取り出し淳に電話をかける。

着信音が鳴り響く。

「おかけになった・・・・」

淡々とした留守番電話特有の音声が流れた。淳は電話に出なかったのだ。

「くそっ!またアイツは戦わないとか言い出さないだろうな!」

階段をかけおり、外に出る。

大空を見上げるとプテラノドンは炎を放ち、また街を焼いて行く。爆発音なのか恐怖の雄叫びなのかここまでくるとわからなかった。

その時、ビームのようなものがプテラノドンのUBの羽に命中した。命中した羽が爆発し、UBは痛みを表現するかのように叫んだ。

ビームが放たれた方向を見ると、

「淳・・・・」

青い巨人が現れていた。先ほどのビームは巨人の指先から放たれていた衝撃波みたいなものだろう。


ビームが命中したUBはキィィィ!と奇声を放ちながら地上に落下していく。

巨人はすかさずUBの方へと走っていく。

逃げるように飛び立とうとするUBを逃さぬように足を掴み、ハンマー投げのように思い切り回す。

3回転したところで手から離し、吹き飛ばされるUB。

ビルを貫通し、また地上に叩きつけられるのを確認するとひた走る。

UBは抵抗するように炎を吐き、巨人の体を焼く。

だが、巨人には効かなかった。

巨人は自分の目の前に膜のようなもの発生させた。それが炎を防いだ。おそらくシールドの類だろう。

UBの首を絞め、さらに逃げ場を無くそうとする巨人。

UBも必死に抵抗し、巨人の腕をほどき、何とかまた大空へ飛び立つ。流石に応えたのだろう。こちらに戻ってくる様子はなかった。

だが、巨人はそれを逃がさなかった。

右腕から弓を形成し、左腕で剣を形成した。

剣を弓にかけ、弓の糸を引っ張る。その姿から青いオーラが見えた。

勢い良く弓を放ち、1秒もかからないうちにUBに命中し、爆散していった。


「なにかおかしいぞ・・・・?」

何回も巨人の戦闘を見ている俺にはこの戦いがとても不自然なものに思えた。まるで巨人が戸惑いがあるように思えたのだ。
俺は街に出向いた。

今回の事件はこの街にあまりにも大きな傷跡を残した。

不自然に倒壊したビル郡。大きな足跡、南側が雨ざらしとなった中学校。

他にも例を挙げるとキリは無いが、とにかく被害が凄まじい。

その光景を写真に収めるがやはり心にぐさっと来るものがある。これを新聞に掲載するのが俺の仕事だがやはり心が痛む。

俺が今いる場所はUBが出現した場所にほど近い少しした広場だった。

「隆さん!」

声が聞こえて振り向くと淳がいた。走ってこちらまでかけよってくる。

「お前、学校は?」

当然の疑問だ。中学校は半壊したとはいえ今日は平日である。他に教室使えるだろう。

「まぁこのような状況ですんでやはり出来ない授業も多いんですよね。というよりもここ3日くらいはもっぱら色んな障害物の撤去ですよ。学生だって元気だった奴は手伝いに駆り出されてます。」

淳は地べたに座り込む。下に生えてある雑草がぐしゃっとへたりこむ。

「僕、決めました。戦います。UBと。奴らが滅びるまで。」

淳の急な宣言だった。

「連日の報道で僕のことをヒーローって言うんですよ。人類の危機から救った英雄だって!」

嬉しそうに語る淳。目をキラキラさせて。まるで運動会の徒競走で1位をとった子供のように。

俺はそれが嬉しかった。

「だから言ったろ?俺の言ってることは間違いじゃなかったって。」

俺の言葉も少しどやっとした自信が湧いてくる。

「はい!その通りでした!」

なおもキラキラさせる淳の瞳。

連日の報道が淳を救ってるならある意味俺たち、報道屋として使命を全うしてるように思える。

「まあお前が幸せそうならそれで構わんさ。俺は俺の仕事をするだけさ。」

俺はそう言うとまた手持ちのデジカメで辺りを少し撮影する。

「なんなら僕を取材してもいいんですよ?」

「バカ言うんじゃない!」

こうやって冗談を言い合えるこの空間がとても当たり前だが、幸せであるように思えた。

「あら?隆さん?」

肩をトントンと叩かれ、振り向くと

「風香さん!」

ロングの髪をなびかせ、日傘をさしながら歩く麗しき女性の姿、風香の姿があった。

「あなたは・・・・?」

淳は少し戸惑う。

「ああ。この人は風香さん。前に会って以来少し仲良くさせてもらっていてな。」

そうですか。と淳は納得して自己紹介をした。

「僕は結城淳って言います。どうぞ宜しく。ところで二人はお付き合いをされてるんですか?」

自己紹介の最後に淳はとんでもない爆弾を置いていった。思春期特有のバカな質問だった。

「バッ、バカ!んなわけ・・・・」

俺が否定しようとすると

「子供であるあなたが知る了見ではないわ。大人になったら教えてあげるわ。大人になったら聞きに来なさい。」

と風香はにっこり笑って返してしまった。

「は・・・・はぁ・・・・」

風香のアンサーに淳は少し照れて、いや、恥ずかしそうにしてしまった。

「思春期の男子は思わせぶりなこと言うと勘違いしますよ!」

俺が呆れたように言うと

「あら?いいじゃない。それも若いってことよ?ね?淳くん?」

風香はそう返して淳の頭を撫でてまた微笑んでみせる。

「あっくんー!そろそろ戻るわよー!」

遠くから声が聞こえてくる。

「美智子ちゃんか?」

俺が確認するより早く、遠目に見える女の子が淳の彼女である美智子と判断した。

そこそこ早い速度で走ってくる美智子。こちらにたどり着くのに10秒もかからなかった。

「戻るわよ!」

美智子は淳の腕をクイッと掴み、戻そうとすると

「あれ?隆さん?なんでいるの?あとそこの横の人は?」

俺や風香の存在に気づいた。

「その女性は風香さん。隆さんの彼女さんなんだって。」

間違った説明をするがもう特に気にしないことにしよう。

「へえー、釣り合わないわね。」

美智子の少しした毒舌が俺を襲った。

「うるせえよ!」

美智子の言葉についに俺も口を出してしまった。

「ま、いいわ。お幸せに。」

そのまま美智子は淳を連れ去ってしまった。

「あなたには面白い人物が集まりますのね。」

またクスッと笑う風香。

「大体あなたのせいだと思うんですが。」

ため息をついてしまう俺。だがこんな会話が出来ることこそ何よりの幸せって奴なのだろう。

「ですが私はあなたはなかなかにカッコ良くていい人というイメージはありますわ。」

風香のそんな言葉に俺はその言葉にドキッときてしまった。風香はもとより自然にこういうようなセリフを言ってしまうところはあったのかもしれない。

もちろん俺の方は風香の事を女性と見ていないと言えば嘘になる。

これほどの美貌をもつ女性だ。もし付き合えたとしてデートでもすれば金メダルでも持ち歩いているようなものだと思う。

「俺はあなたのことは好きです・・・・よ?」

やはりこういうのは恥ずかしく思える。俺の言葉も照れが入っていて中高生の告白みたいになっているところはあった。

「あらそれは良かったわ。なら付き合いましょうか。お互いデメリットも無いですしね。」

え?

俺はその言葉を理解するのに少し時間がかかった。

なぜだかよくはまだ理解してい無かったがとにかく交際関係をもつ事ができたようだ。

俺はまだ心の整理が出来ていなかった。

微笑む彼女は荒廃した街に咲く一輪の花のように思えた。