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yamakiのブログ

大学生です。アニメとかゲームとか特撮とかテキトーに書いてます。メッセージは送られても見ない可能性大です。

「なぜだ!なぜ変身しない?」

 

後ろから隆は声をかけてくるが当の淳は震えて動けない。

 

もし変身すれば自分は死んでしまうからだ。だが隆はそれを知らなかった。

 

鼓動は早くなり、呼吸も荒くなる。

 

死というもの実感していた。誰もが通るであろうその道を今、体感しているのだ。

 

「大丈夫か?」

 

隆も駆け寄る。

 

だがこうしている間にも黒い巨人は大地を炎に変えていく。

 

「呼吸がより早くなっていってる・・・・。」

 

隆は心配してしまう。

 

「一度あいつに負けてるから戦わないのか?」

 

隆は質問する。

 

「ち、違うんです・・・・。ぼ、僕は・・・・。」

 

声が震える。

 

だがこうしている間にも黒い巨人は大地を灰に変えていく。

 

「次なら勝てる!一度負けたんだ、次こそは勝てる!今までなんだかんだで勝ってきたじゃないか!」

 

隆の声は届いたが、それでも恐怖は変わらなかった。

 

隆の言葉はオーバーではあろうが、自殺をほのめかすような発言にも捉えられた。

 

僕は人を殺した事がある。それは部活の仲間だった。彼にとっては仲間ではなかったのだろうが、人を殺した事に変わりはなかった。

 

殺されたあの子たちも死ぬ寸前はこのような何かわからない恐怖に怯えていたのだろうか。

 

とも考えた。

 

「また美智子ちゃんみたいな子を作る気か!お前は!」

 

隆は淳の目線に合わせ、両肩を持つ。

 

「確かに戦う事は怖いだろう。俺の想像を絶する事だと思う。でもお前が戦わなきゃみんな死んじまう。こうしている間にも1人、また1人と死んじまっている。俺はもう誰かの死体なんか見たくないんだ!」

 

隆の言葉は少しだけ僕の心の窓を開けた。

 

何故戦うのか。それは何回も自分にぶつけてきた疑問だ。その度に回答が変わっていった気がする。

 

黒い巨人が放った光弾が病院を爆発させた。

 

そして少年は覚悟、決心をする。

 

「僕、何回も同じことにぶつかってきた気がします。何故戦うのか、って。その度に答えは変わってきててなんとなくその度にテキトーな理由をつけて戦って来たんです。でも今わかったんです」

 

淳は黒い巨人を睨みつける。

 

「あんなやつのせいで誰かが不幸になるなんてまっぴらごめんだ!」

 

僕の答えに頷く隆。

 

淳は走った。公園を走り切る時、青い閃光が少年を包み込んだ。

 

「未来の事なんてどうだっていい!今は、今は奴を!あの黒い奴を!」

かなり多くの数の人間が怒号を上げて自分を通り過ぎていく。

 

今、淳は病院にいた。目を覚ますと廊下に寝っ転がっていた。

 

淳にとって何が何だかよく分からなかったが後で医者に聞いた話だと隆が倒れてる所を発見し、この病院に運び込んだという。だが、黒い巨人のようなUBのせいで街は混乱に陥り、今や病院は人で溢れかえる事態となっていた。

 

ベッドも空いてるところはなく、血だらけの病人ですら廊下にシートを引いてそこで寝ながら苦しんでいるという状況だった。

 

「ここは・・・・地獄だ!」

 

つい声にだして今の状況を言ってしまう。だが、何故この状況になってしまったかはよく分かっている。

 

自分が負けたからだ。

 

初めての敗北を味わった。自分が負けたという事で多くの人が犠牲になるということは分かってはいたがここまでまじまじと見せられると・・・・。

 

「僕のせいで・・・・!僕のせいで・・・・!」

 

涙が止まらない。不意に溢れ出した涙の粒一つ一つがこの戦いで犠牲になっていた人の供養になるとは思わなかったが、それでも流す他無かった。

 

「目が覚めたか!」

 

後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。

 

声の主は隆だった。

 

「こっちもてんやわんやでな。近くの病院も全部こんな感じだ。」

 

隆はカメラを片手に様々なところを回っていたようだ。その証拠に服が中々の汚れ方をしていた。

 

「見るからに記者の仕事をしてきたようですね。」

 

「まあそうだな。俺の仕事は例え残酷であれ、真実を報道する事だと思っている。」

 

おそらくカメラのデータの中には今回の出来事が克明に記されているのだろう。

 

「ここで話すのもなんだ、一旦外に出よう。」

 

隆の言葉に誘われとりあえず外へ出た。



 

「お前が戦ってる間、負けて寝てる間、様々なことがあった。」

 

「まず多くの死者がでた。街は壊れ、様々な物が姿を変えた。」

 

隆は淡々と喋る。

 

「黒い巨人のようなUBはお前を倒した後どこかへ消えた。」

 

そして最後に隆は驚くべきことを口にする。

 

「signalが敵の攻撃を受けて壊滅した。」

 

え?

 

「もうsignalはない。黒いUBの火球攻撃を受けて爆発した。つい先ほど消化活動を終えたらしいが生存者がいるかは分からん。」

 

隆の言葉は淳にはあまりにも衝撃が強すぎた。

 

「俺たちがバイクに乗って向かう時にUBが攻撃したんだろう。お前の責任ではないよ。」

 

signalが無くなると言うことは淳の帰る場所が無くなったということになる。自らを実験体、モルモットとして扱っていたあの場所も唯一の帰れる場所であった淳にとってはかなり辛いものであった。

 

しばらく二人は言葉が出なかった。

 

「隆さん。」

 

先に沈黙を破ったのは淳だった。


 

「なんだ?」

 

「実は僕、あの戦いの後、巨人とまた会ったんです。」

 

「あの白い空間でか?」

 

「はい。」

 

淳は巨人に言われた「人が存在するようにUBも存在する」という旨のことを話した。淳にはこの話を理解出来なかったのだ。

 

「人が存在するようにUBが存在する・・・・か。」

 

隆は淳に言われた言葉を深く考える。

 

「俺たちが死んでも、人類が生きながらえていく限りUBは生き続けていくということか・・・・?」

 

これはあくまで隆の解釈だが巨人の言葉を最大まで要約するとそうとしかとれなかった。

 

「じゃあ僕は何の為に戦ってきたんだ・・・・?」

 

淳はその言葉を聞いて顔に陰りを見せる。

 

「淳・・・・。」

 

隆は彼の絶望的な表情を見たが、かける言葉が見つからなかった。

 

ジリリリリッ!

 

突然、けたたましい警報音が病院内に鳴り響く。

 

「数時間前に姿を消した黒き巨人が現れました!病院内にいるみなさんは至急、避難してください!繰り返します・・・・」

 

警報音の後の男の声のアナウンスが絶望を知らせた。

 

「淳!黒い巨人が現れた!次こそは勝ちに行くぞ!」

 

隆は淳の肩をポンと叩き、病院内を出る。

 

緑の芝生が辺り一面が広がっており、生命の力強さを感じさせた。

 

だが、淳は怯えていた。

 

そうである。淳はもう一度青い巨人に変身すれば死んでしまうからであった。

淳はゆっくりと目を開ける。目の前に広がる風景は辺りが真っ白であった。

 

彼はこの光景を知っていた。

 

「そこにいるんだろう?巨人。」

 

彼は立ち上がり巨人を呼ぶ。

 

「ここは君が作り出した幻想の空間。君がここに呼び出すときは大体大事な時だもんね。」

 

白い空間から青い人型をしたシルエットが何処からともなく浮かび上がる。

 

「目覚めたか。淳。」

 

青い巨人だった。

 

「君とこの空間で会うのは3回目かな。」

 

そうだね。と淳は巨人の言葉に軽く返事をする。

 

「私は君に大事な事を伝えなければならない。」

 

巨人の言葉は落ち着いていた。だが何故か冷たさを感じさせた。いつだって落ち着いた口調ではあったが今回は少し違うように思えた。

 

「君が大事な事以外喋る事無いだろう?」

 

「確かにそうだな。ならば言わせてもらうか。」

 

2人の会話は妙な軽快さがあった。仮にも変身すれば一心同体。心は通じあっていたのだろうか。

 

「次、私と共に変身して戦えば君は死ぬ。」

 

え?

 

巨人の言い放った言葉を淳は理解出来なかった。

 

「何言ってるんだ!何を馬鹿な・・・・!」

 

淳はつい大声を出してしまう。驚きの声ではあるが彼のキャラに似合わない言動でもあった。

 

「残念だがこれは事実だ。君はこれまでの戦いで体を使いすぎたのだよ。」

 

巨人は言葉を続ける。

 

「私と君が同化するとき、君の生体エネルギーを使って同化するのは知っているだろう?」

 

「それは君がちゃんと安定した精神を保てていれば同化しても支障はないが、君はここ数ヶ月、UBと戦う度に心が不安定になっていった。」

 

「そして先ほどの戦いで黒いUBにやられてしまった。それがより君へのダメージを加速させたのだ。」

 

淳は頭を抱えて震え始める。

 

「元々体が強くなかった君は偶然にも私と1つになってしまったことで力を手に入れることに成功したが、君自身の精神は前よりも弱くなっていった。」

 

巨人は事実だけを淡々と話す。

 

「そんな・・・・。嘘だ・・・・。こんなことなら戦わなければよかった!」

 

淳は悔しそうな声を出す。声は震えていた。

 

「だが、私と1つになる前、君はUBに襲われていただろう。あの時君は私と同化しなくてはあのまま死んでいただろう。」

 

「あの時にこんなことになる事を知っていたら僕はお前なんかと組むものか!」

 

淳は声を大きくして叫ぶ。それもそうだ。自分に死が迫っているのだから当たり前だろう。

 

「だが君はあの時私と共になっていなければ今頃人間の言う天国というところへ行っていただろう。」

 

二度同じような事を言う巨人はそれほど淳の命に対し、心配をしている証でもあった。

 

ハァ・・・・ハァ・・・・。淳は先程から少しだけおかしかった。死というものを宣告されたからか息があがるようになっていた。

 

「そうだ。3年前に森で僕が遊んでいたら化け物が現れて、お前が現れて、親が死んで・・・・。」

 

そして巨人と1つになり、その場を凌いだ。

 

淳が覚えているのはここまでだった。その後signalに引き取られた。

 

「僕の命が尽きる前に聞きたい!UBってなんなんだ!お前も!どこから現れて、何の目的でここにいる!」

 

淳は肩で息をしながら、できる限り大きな声を出す。巨人に届くように。

 

「君は何故自分が存在しているかわかっているか?」

 

巨人からの返答はよく分からないものだった。

 

「何を言ってるんだ・・・・?」

 

「人が存在するように虫も犬も猫も存在する。そしてUBも。」

 

「私から言えることはここまでだ。君の命と引き換えにUBを倒すかは君が考えることだ。」

 

最後に言いたい事だけ言って巨人はその姿を消した。

 

「僕は・・・・死ぬ・・・・?」

 

白い世界から開放され、現実世界へと戻る。

 

淳の手は汗やらなにやらでびっしょりと濡れているのを感じた。