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yamakiのブログ

大学生です。アニメとかゲームとか特撮とかテキトーに書いてます。メッセージは送られても見ない可能性大です。

淳はゆっくりと目を開ける。目の前に広がる風景は辺りが真っ白であった。

 

彼はこの光景を知っていた。

 

「そこにいるんだろう?巨人。」

 

彼は立ち上がり巨人を呼ぶ。

 

「ここは君が作り出した幻想の空間。君がここに呼び出すときは大体大事な時だもんね。」

 

白い空間から青い人型をしたシルエットが何処からともなく浮かび上がる。

 

「目覚めたか。淳。」

 

青い巨人だった。

 

「君とこの空間で会うのは3回目かな。」

 

そうだね。と淳は巨人の言葉に軽く返事をする。

 

「私は君に大事な事を伝えなければならない。」

 

巨人の言葉は落ち着いていた。だが何故か冷たさを感じさせた。いつだって落ち着いた口調ではあったが今回は少し違うように思えた。

 

「君が大事な事以外喋る事無いだろう?」

 

「確かにそうだな。ならば言わせてもらうか。」

 

2人の会話は妙な軽快さがあった。仮にも変身すれば一心同体。心は通じあっていたのだろうか。

 

「次、私と共に変身して戦えば君は死ぬ。」

 

え?

 

巨人の言い放った言葉を淳は理解出来なかった。

 

「何言ってるんだ!何を馬鹿な・・・・!」

 

淳はつい大声を出してしまう。驚きの声ではあるが彼のキャラに似合わない言動でもあった。

 

「残念だがこれは事実だ。君はこれまでの戦いで体を使いすぎたのだよ。」

 

巨人は言葉を続ける。

 

「私と君が同化するとき、君の生体エネルギーを使って同化するのは知っているだろう?」

 

「それは君がちゃんと安定した精神を保てていれば同化しても支障はないが、君はここ数ヶ月、UBと戦う度に心が不安定になっていった。」

 

「そして先ほどの戦いで黒いUBにやられてしまった。それがより君へのダメージを加速させたのだ。」

 

淳は頭を抱えて震え始める。

 

「元々体が強くなかった君は偶然にも私と1つになってしまったことで力を手に入れることに成功したが、君自身の精神は前よりも弱くなっていった。」

 

巨人は事実だけを淡々と話す。

 

「そんな・・・・。嘘だ・・・・。こんなことなら戦わなければよかった!」

 

淳は悔しそうな声を出す。声は震えていた。

 

「だが、私と1つになる前、君はUBに襲われていただろう。あの時君は私と同化しなくてはあのまま死んでいただろう。」

 

「あの時にこんなことになる事を知っていたら僕はお前なんかと組むものか!」

 

淳は声を大きくして叫ぶ。それもそうだ。自分に死が迫っているのだから当たり前だろう。

 

「だが君はあの時私と共になっていなければ今頃人間の言う天国というところへ行っていただろう。」

 

二度同じような事を言う巨人はそれほど淳の命に対し、心配をしている証でもあった。

 

ハァ・・・・ハァ・・・・。淳は先程から少しだけおかしかった。死というものを宣告されたからか息があがるようになっていた。

 

「そうだ。3年前に森で僕が遊んでいたら化け物が現れて、お前が現れて、親が死んで・・・・。」

 

そして巨人と1つになり、その場を凌いだ。

 

淳が覚えているのはここまでだった。その後signalに引き取られた。

 

「僕の命が尽きる前に聞きたい!UBってなんなんだ!お前も!どこから現れて、何の目的でここにいる!」

 

淳は肩で息をしながら、できる限り大きな声を出す。巨人に届くように。

 

「君は何故自分が存在しているかわかっているか?」

 

巨人からの返答はよく分からないものだった。

 

「何を言ってるんだ・・・・?」

 

「人が存在するように虫も犬も猫も存在する。そしてUBも。」

 

「私から言えることはここまでだ。君の命と引き換えにUBを倒すかは君が考えることだ。」

 

最後に言いたい事だけ言って巨人はその姿を消した。

 

「僕は・・・・死ぬ・・・・?」

 

白い世界から開放され、現実世界へと戻る。

 

淳の手は汗やらなにやらでびっしょりと濡れているのを感じた。

拓也は研究室から送られたレポートを手にとって読んでみる。

 

自分の姉が死んで(この表現が正しいのかどうかは分からないが)そろそろ4時間半が経過しようとしていた。

 

「判定不能・・・・。」

 

その数枚の紙の報告書には先ほど回収した自分の姉の砂について書かれていた。

 

砂の物質は様々な検査にかけられたがどの判定機械もこの砂がどのような物質かを見抜けなかったのだ。報告書の最後には「この世の物質ではない」なんて書かれている始末であった。

 

他にもこの事件の関連性のあるものとしていつぞやの妹思いの少年の出来事が書かれていた。死んだハズの妹を思ういい少年であった。

 

記述に関しては薄い描写だけであったが確かに今回の件と切っても切り離せない

 

「こんなのじゃ話にならんのだよ。」

 

報告書をポイと無造作に自分の机の上に置く。こんなものが何の役に立つのか・・・・・。

 

けたたましくサイレンが鳴り響いた。UBの登場を示すサイレンであった。




 

そして外では新たなUBが現れ街を荒らしているところであった。

 

「そろそろ淳が到着する頃合か?」

 

今いるsignalの自室の窓から街を見てみる。まだ青い巨人は現れていない。

 

「あいつはまだこないのか!何をのろのろしている!」

 

しまいには舌打ちをしてしまう程怒りはあった。グズグズしている暇は無いのだ。あいつしかこの世界をUBから救えるのはあいつしかいないのだから・・・・。

 

「人型のUB・・・・。黒い。」

 

自室の窓から見えたUBはこれまでの動物的なイメージが全くない人間的なシルエットであった。体の色も真っ黒であった。

 

「まるで青い巨人を黒く染めたようだな。」

 

顎に手を置いて考える。少し似ているだけだがもしかするとこの2つの巨人は関係があるのではなかろうか。それだけではない。これまでのUBの件だってそうだ。なぜ巨人とUBは対立しているのか。理由は分からなかった。

 

だが今窓から見える青い巨人は黒い巨人とその仲間のUB・・・・。

 

そこまで考えた所で目の前の黒い巨人のUBは右手に青い火球を作り出し、その火球をとある方向へと投げつけた。

 

その火の玉はsignalの研究所へと直撃した。

 

燃え盛る研究所。逃げる暇など無かった。

 

山は燃える。研究所は燃える。




 

「やっと着いた・・・・・!」

 

淳は学校から避難する他の生徒から逆行するようにUBの方へとたどり着いた。

 

「黒い巨人・・・・?」

 

初見の感想はそれしか出てこなかった。シルエットも似ていれば目元も似ているように思えた。

 

「まるで兄弟みたいだ・・・・・。」

 

そんな事を考えている場合ではない。

 

「巨人!僕に力を!」

 

少年の身体が青く光り輝く。少し恐怖に怯えながらも少年はそれに立ち向かっていく。




 

バイクから飛び降り、俺はカメラを構える。

 

「隆・・・・!隆、俺は大丈夫だ。」

 

体が震えたが、俺は自分の名前を自問自答した。黒い巨人にしか見えないそれは青い巨人を彷彿とさせ、今まで味方であったものを敵なのではないか?と認識させるには十分であったのだ。

 

「相手の方が何枚も上手だというのかよ!」


 

戦いが始まり2分が経つとペースがどのようなものか素人でも見ていてわかった。

 

青い巨人の攻撃はことごとく黒い人型のUBにカウンターされるが如く裏目に出ていたのだ。

 

青い巨人が右でパンチを繰り出せばそれをかわされ、腹に蹴りを一撃食らわされ、口からまかれる火炎放射で炙られる。





 

青い巨人と黒い人型のUBが戦闘を始めて5分が経とうとしている頃。青い巨人は相手にパンチ一発ですら攻撃できていなかった。

 

あまりにも一方的すぎた。

 

黒い人型のUBは青い巨人の右肩に飛び蹴りを食らわせる。

 

かなり遠くへ飛ばされ、ドン!と衝撃と共に背中が地面につく。

 

右肩を抱えながらよろける青い巨人。肩で息をしていた。

 

それでも青い巨人は立ち上がる。フラフラと立ち上がったその姿からは今まで見せてきた強さというものはあまり感じられなかった。

 

先程から一方的な状態だったからか青い巨人はまともに立ってすらいなかった。

 

それでもなんとか持ち直し、肩で息をしながらも臨戦態勢を整える。青い巨人の体にHP表示があればもう体力はミリ単位しか残っていないのだろう。

 

それをみた黒い巨人は両手を胸の前に構え、ファイティングポーズをとるが・・・・。

 

「・・・・!」

 

俺は今まで見たことのない光景を見ることになる。

 

「青い巨人が倒れて動かない・・・・?」

 

青い巨人は力を失ったように倒れ込み、粒子となって空に舞い姿を消した。

 

「青い巨人が・・・・いや、淳が敗れた・・・・!」

 

黒い巨人がまるでKO勝ちしたように街をリングに勝ち誇っていた。

「少しは落ち着いたか?」

 

拓也はベンチに座っていた隆にコーヒーカップを渡す。

 

「・・・・」

 

コーヒーカップを受け取るも俺は何も返せなかった。

 

ここはsignalの通路だった。電気は少しだけついており、明るくはなかった。冬の夕方のような暗さがあった。

 

「俺から1つお礼を言わせてくれ。」

 

拓也はコーヒーカップを地面に置いて言う。

 

「俺の姉を愛してくれてありがとう。」

 

拓也は俺に対して深くお辞儀をした。

 

拓也はそう言い、立ち去ると俺は少し温くなっていたコーヒーを口につける。

 

色合いから見てブラックであるはずだが苦味を感じない。まるで無色透明な水を飲んでいるように感じた。

 

「・・・・・・」

 

言葉に出来ない思いがこみ上げてくる。自分の非力さ、自分の無力さを感じながら飲むコーヒーの味を確かめながら。







 

「やめてくれええええええ!」

 

4時間前、俺と拓也はUBに襲われていた。

 

そのUBもいつものUBではなく、俺の愛する女であり、そして拓也の姉である風香が変化したものであったからだ。

 

彼女はUBを自分の影から呼び出すと無慈悲にも俺と拓也を襲い始めたのだ。

 

俺はこの事態を飲み込みきれなかったがタイミング良くやってきた巨人は彼女の呼び出したUBを容赦なく蹴散らしたのだ。

 

「殺せ!その女を!そいつは人じゃない!化物なんだ!」

 

拓也は巨人に風香を殺すように命じた。

 

「やめてくれ!UBは倒した!これ以上何をしようというんだ!」

 

俺は巨人を止めるように説得する。

 

「うるさぁい!」

 

拓也は俺の頬を思い切り殴り、地に伏せさせた。

 

「今だ!やれ!巨人!」

 

ただ呆然と棒立ちしている風香。まるで魂が抜けきったようにも見えた。

 

「やめろおおおおおおおおお!」

 

俺がそう叫ぶ中、巨人は風香に拳を振り落とす。

 

グシャッ!惨たらしい音が森に響いた。

 

「ああ・・・・ああ・・・・」

 

俺はその時、目の前に起こった出来事を受け止めきれずにパンクしそうであった。

 

振り落とされた拳は確かに風香に命中した。が、巨人の拳が地面についた時、彼女は砂になった。

 

普通なら肉片をまき散らし、血が噴出するような事態になるのだが彼女は砂になって消えたのだ。

 

「一体どういう事なんだ・・・・?」

 

俺も拓也は何が起こったのか分からずにいた。人間ではなく、UBであることは承知した上でも何故「砂になって消えた」のかがわからなかったのだ。

 

「調査班、今すぐきてくれ!この砂を調査するんだ!」

 

拓也は真っ先に携帯で連絡した。10分後、調査隊がやってきて、調査が始まった。

 

彼女は砂になって消えることによってこの事件は終結した。あまりにも儚く、あまりにもあっけなかった。



 

と、俺が覚えているのはここまでだった。事態を把握するのに1時間かかり、それを受け入れるのに1時間かかった。signalに収容された時は放心状態で目も虚ろになっていたらしい。自分で意識が無かったからおそらく事実だろう。

もう1口コーヒーを口に含む。

 

「苦い・・・・・。」

 

どうやら味覚は元に戻ってきたらしい。