UBが街に現れそろそろ2週間が経とうとしていた。それでも人の心は癒えず、悲しみがこの街を包んでいた。
「街に怪物が現れ、そろそろ2週間が経ちます。ですがこの学校に残した傷跡はあまりにも大きすぎ、そして死んでいった友人も多くいることでしょう。ですが、我々はその気持ちも汲み取り、彼らの分まで精一杯生きねばなりません。」
淳の目の前で、全校生徒の前で喋る校長先生の姿は大きいものではあった。
それでも周りのみんなは2週間の出来事を思い出し、嗚咽、涙を流すものがあまりにも多かった。
政府や色々な企業が支援に協力的であったのも理由だろうか。当初はもっとかかると思われた撤去作業も大幅に短縮されているらしい。
この校舎にきちんとみんなで集まってるのも久しぶりだ。
校長先生からのありがたい話をおえると剣道部の面々から声が淳の元にかかる。
先輩が3人。こんな時に一体何の用なんだろうか。
1階のトイレの裏側に呼び出される淳。
周りが校舎の角に挟まれており、周りからは誰も見えない。
「何の用ですか?」
淳は少し声を上ずりながらも声をかける。もう分かってはいた。イジメという制裁をうけるのだ。その場にいたというだけのそれだけの簡単な理由だ。
「なんでお前如きが生きてるんだよ!」
先輩からの言葉はあまりにも辛辣なものだった。
「お前が生きて怪獣のせいで裕太は死んだ!裕太のがいいやつなのに!なんでお前みたいなやつが生き残る!」
先輩二人に羽交い締めにされて腹に、頬に、方に目の前のもう一人の先輩に殴られる。
バキッ!重い音が何回も炸裂する。
へへへっ。先輩たちの気持ちの悪い笑い声が淳の鼓膜に届く。
許せない・・・・。淳の怒りがふつふつと募る。
僕はこんな奴らを守るために今日まで戦ってきたのか・・・・。あの子供の言葉が思い出される
「あの巨人を許さない!」
僕は間違ったことはしてない筈なのに誰かにまた疎まれる。
許せない!またこの言葉が募る。怒りのパラメータは上昇していく。
そして淳の青い影が揺らめく。淳の怒りを代わりに表現するように。
青い影は淳をいじめる先輩たちを見つめる。
淳は気づかないうちに青い影の気に飲まれた。
近所の中学校は今日から本格的に授業を再開するらしい。今までは壊れていた理科教室なんかでは授業は行えなかったが、今はキチンと使えるらしい。
そして横の窓から空を見る。空はあいも変わらず青く、少しの雲がアクセントになっていた。
「コラ!さっさと仕事しろ!」
後ろから先輩の声がうるさい。さっさと今書いてる記事を完成させることにしよう。
パソコンにまた向かおうとした時何か爆発音が鳴った。
「な、なんだぁ?」
隆は慌てて外を見る。空を見上げる。
大空をはためく大きな鳥、いやプテラノドンという恐竜のような物体が現れていた。
「UBかよ!」
プテラノドンのような生物は上空から火の玉を放つ。
口から放たれた炎は着弾すると同時に無慈悲に地面を、建物を、命を焼いていった。
横に生えている大きな羽が地上にいる人間を嘲笑うように見えた。
「無差別に殺しているのか!」
燃え盛る街に何もできない自分を恨んだ。
隆は携帯を取り出し淳に電話をかける。
着信音が鳴り響く。
「おかけになった・・・・」
淡々とした留守番電話特有の音声が流れた。淳は電話に出なかったのだ。
「くそっ!またアイツは戦わないとか言い出さないだろうな!」
階段をかけおり、外に出る。
大空を見上げるとプテラノドンは炎を放ち、また街を焼いて行く。
その時、ビームのようなものがプテラノドンのUBの羽に命中した。
ビームが放たれた方向を見ると、
「淳・・・・」
青い巨人が現れていた。
ビームが命中したUBはキィィィ!と奇声を放ちながら地上に落下していく。
巨人はすかさずUBの方へと走っていく。
逃げるように飛び立とうとするUBを逃さぬように足を掴み、ハンマー投げのように思い切り回す。
3回転したところで手から離し、吹き飛ばされるUB。
ビルを貫通し、また地上に叩きつけられるのを確認するとひた走る。
UBは抵抗するように炎を吐き、巨人の体を焼く。
だが、巨人には効かなかった。
巨人は自分の目の前に膜のようなものを貼った。おそらくシールドの類だろう。
UBの首を絞め、さらに逃げ場を無くそうとする巨人。
UBも必死に抵抗し、何とかまた大空へ飛び立つ。流石に応えたのだろう。こちらに戻ってくる様子はなかった。
だが、巨人はそれを逃がさなかった。
右腕から弓を形成し、左腕で剣を形成した。
剣を弓にかけ、弓の糸を引っ張る。その姿から青いオーラが見えた。
勢い良く弓を放ち、1秒もかからないうちにUBに命中し、爆散していった。
「なにかおかしいぞ・・・・?」
何回も巨人の戦闘を見ている隆にはこの戦いがとても不自然なものに思えた。