何もなく日々は過ぎた。
隆はデスクワークに追われ、淳は皮肉めいた「日々の日常」を過ごしていた。
そして隆はあの研究所、signalを出る際に渡されたものがあった。
竹材の銃だった。
金属探知機に引っかからない、弾丸も特製のものらしい。
君も我々の仲間ならunknown beast、ubに立ち向かうものならそれを装備しておくべきだ。
そんな事を言われて地方の新聞社で働く隆には何となくまだこの銃の実感が湧かずにいた。
とりあえずそれを家のクローゼットに入れ、家を出た。今日の仕事は地域の面白い学校の先生に取材する。というものだった。
仕事を終え、新聞社に少し近い公園のベンチで缶コーヒーを飲んでいた。
ベンチからはサッカーをしている少年達や、砂場で遊んでいる子供もいて 、ベビーカーを押しながら談笑している母親もいる。
この風景を見れる。というのが平和というものなんだろうな。と思えた。
この街を、この人を守る事が仕事となるならある種少し羨ましかった。
「おう。」
後ろから声をかけられた。
振り返ると実がいた。前に見たように白衣の姿だった。
「こんなとこで何やってんだい?」
「いや、ただ見てたんです。それだけですよ。」
「なんだ、つまんねえ野郎だな。」
実はポケットから携帯をおもむろに出していじり始めた。
「そういやよ」
実は携帯を弄りながら話始める。
「所長がまた研究所の方に足を運んで欲しいんだとよ。」
なにか携帯にいいことがあったのか、よし!とガッツポーズをしながらまた話す。
「お前も組織の一員なんだ。まぁ業務連絡だと思って行ってくれよ。」
わかりましたよ。とだけ返す。
飲み終わった缶コーヒーを捨てて隆はその場を離れた。
また考えもなしに歩いていると今度は淳がいた。剣道の竹刀を入れる袋があった。部活帰りなんだろう。
「おう、久しぶり?だな。」
手を振り、こちらへ呼ぼうとする。
「久しぶりですね、淳さん。」
ペコリと淳は頭を下げてからこっちへ来る。
淳の横にはスカートを履いた女の子がいた。
「ねえ、あんたはなんなのよ。」
淳よりも早歩きをし、のぞき込むように隆に質問する女の子。
「あー、俺は大久保隆。記者であいつの友人みたいなもんだ。」
隆は顎をポリポリとめんどくさそうに答えてしまった。
「ほんと?あっくん!」
女の子は振り返り淳に聞く。
ホントだよ。とだけ淳は返す。
「隆さん、この子は僕の彼女の長良美智子です。」
隆は淳の言葉に少しだけは?となってしまった。
「彼女ってことは付き合ってるのか?」
「ええ。多分そういうことです。」
ちゃんと答えなさいよ!美智子は横槍をいれた。気の強い女の子だった。
隆はなんだか安心した。彼には剣道部のあの件があって以来中々学校の生活においてプラスのイメージはなかった。
「二人の時間を邪魔する訳には行かないからここらで俺は失礼するよ。」
「からかわないで下さい!」
最後に淳のそんな言葉が聞こえたが、気にせずその場を離れ、とりあえず研究所へ足を向けた。