「少し待ってください。」
キーを差し込もうとした時、淳はいい始めた。
「一体どうした?トイレか?」
隆も心配したが、そんな軽いものではなかった。
「います。敵です。」
その言葉に嘘はなかった。
地面が揺らぎ、木枯らしが揺れ、積もった葉は震えた。地中から何かが吹き上がった。
木枯らしのなか、吹き上がったのは異形の怪物だった。
その怪物はまるで恐竜だった。ティラノサウルスのように、鋭い牙を持ち、顎や口周りが目や鼻より前に突出していた。尻尾も生えており、立ち姿もティラノサウルスそのものと言ってもなんら遜色はなかった。
「なんだってこんな!」
その吹き上がった恐竜は全身をだるそうに現した。その全長は7~8メートルはあった。
「お前、こんな体格差が10倍近くあるやつ、何とか出来んのか?」
隆の疑問は愚問だった。
「とにもかくにも下がってください。ここは僕がどうにか・・・!」
淳は生唾を飲み込み、覚悟を決めた。
「ウオォォォォォォォォォ!!」
胸につけてある青いペンダントを大空にかざした。
瞬間、淳は青き光に包まれた。
青い光から出てきた姿は怪物ほどの身長を持っていた。
シェアッ!!と意気込み、巨人は怪物に飛び蹴りを食らわしてみせた。
みぞおちあたりに入ったキックは怪物を苦しませるには十分だった。
キエエエ!と雄叫びをあげ、苦しむ怪物に休息を与える気は巨人にはなかった。
すかさず拳を腹にぶち込む。蹴りをぶち込む。
巨人の攻勢だった。
だが、怪物も黙ってやられるほど甘くは無かった。
腹の部分から針のようなものが巨人の正面を襲った。
巨人の胸に小爆発を起こした。
ぐわああああ!と巨人はうめき声をあげながら距離をとった。
怪物はすかさずまた針のようなものを胸から吐き出した。
そうすると巨人は手を大きく開いた。
手の先から透明な壁が張られ、針を弾いた。
怪物も驚いたのだろうか。一瞬そんな顔をしていた。
その一瞬すらも巨人は見逃さなかった。
手先にエネルギーを集中させ、手先が光に包まれる。
そしてそれを敵に突き出し、エネルギー波を敵にぶつけた。
怪物はそれに耐えきれなかったのか食らった瞬間に大きな爆発を起こし消えた。
それを確認した巨人はまた光に包まれ、少年の姿に変えた。
「大丈夫か?」
隆が淳に近づくと淳は息をあげ、嗚咽を漏らしそうな声を上げていた。
「だ、大丈夫ですよ・・・」
「バカっ!どう考えても大丈夫じゃねえだろ!」
「いいんです!」
淳は強く言い切る。
「僕のこの力は秘密裏にされねばなりません。その為に今まで行われてきたんです!これくらいで根を上げる訳にはいかないんです!」
けほけほっと咳をたて、胸を苦しそうに押さえる淳。
「早く学校へ行きましょう。」
これだけ言われたら隆は言い返せず、バイクに淳を乗せるようにした。