浅草は相当胡散臭い所だと思っていたが、御徒町についてメシでも食おうと安いスパゲッティ屋に入って店員のアンチャンが化粧をしてるのには驚いた。この前の新宿といい、胡散臭ささはエスカレートの坂をブレーキの壊れた自転車にしがみついて下るが如くである。
かくいう自分も側からみたら相当胡散臭いオヤジだと思われてるかもしれない事には知らぬふりを決め込んで目指す落語協会二階の黒門亭へ向かった。

一部から通しでかぶり付いている栃木のニシさんの気力には恐れ入る。あのガリガリのカラダでずっと座布団の上にいたらお尻の肉が無いから床ずれのようになりゃしないかと余計なお世話を焼いたが、考えてみれば目方が軽いからお尻にストレスがかからない。モノは一つ方向からばかり観るもんじゃ無い。ニシさんくらいになるともう仙人のようだな、などと考えていたら出囃子が鳴った。

この日の開口一番は百んがさんで「都々逸親子」だ。話し始めると上下が上手く決まらないようだったがやがて落ち着いてきた。まだまだこれからなんで頑張ってもらいたい。

さて、続いてははな平さんで「錦の袈裟」である。この演目、何故か錦のフンドシと言ってしまうことがある。
そういや刀屋のオヤジさんがインターネットの「お気に入り」のアイコンを何度言っても「おこのみ」と言うのを思い出した。思い込みが激しくなかなか修正出来ないのは老化の印かもしれない。
さて、はな平さんであるが声も大きくて面白い。志ん生師のように「世の中ついでに生きている…」なんかも入って賑やかや噺になっていた。

さて仲ドリは源平さんで「愛宕山」である。この人も負けじと大きな声で、なによりも味がある。芝居を観てるようだというよりも、縁台で畳屋のオヤジのハナシを聞くような心地良さがある。いい高座だった。

さてここでお仲入り。

食いつきは我等が菊龍師匠で「秋刀魚火事」を演った。涼しくなってきたこの季節にはもってこいじゃないだろうか。師匠の場合は声がデカイのは当たり前、声がいいので聴きやすい。秋刀魚の油と油屋の旦那のセコさが滲み出ていた。
また長屋の連中が楽しい。始めから最後まで安定した口調だった。これは以前も聴いた事があったが秋刀魚の煙にこちらまで目が滲みるようないい噺だった。

さてトリは左龍さんの「提灯屋」である。
マクラで早速菊龍師匠の秋刀魚の話など入れて素晴らしい機転である。
提灯屋と長屋の若い衆とのやり取りが面白い。この提灯屋、少しヌケてはいまいか。そしてとても利口には思えぬこの長屋の連中に手玉に取られるのが面白い。

菊龍師匠が面白いのは当たり前だが、今回の黒門亭はなかなか楽しかった。

さて、次は横浜の会だ。