いつものように相模原の職場から南下して東名で東北沢に向かおうと思っていたが、クルマのイグニッションをオンにするとETCカードの期限が切れましたとのエラーメッセージが。南下を諦め北上して自宅に戻り新しいETCカードを取ってきてまた南下、中央高速で東北沢に向かった。かなりの遠回りだ。
この日の一席目は「天災」だ。
主人公の八五郎、女房を殴り母親を蹴飛ばすというんだから短気というよりドメスティック バイオレンス、犯罪だろうと思うが、師匠の八五郎は根っからのワルじゃ無いとして描かれているように思う。紅羅坊奈丸(べにらぼう なまる)がとくとくと諭す。穏やかに何事にも動じない姿が奈丸が常人では無い事を表している。「ならぬ堪忍、するが堪忍。堪忍の袋を常に掛け通し、破れたら縫え、破れたら縫え」とはなにも八五郎にだけ言われているのでは無く、聴いているこちらへも戒めとして滲みてくる。
話している師匠の人柄が出る素晴らしい噺であった。
二席目はお客さんからのリクエストに応えて「鰻の幇間(うなぎのたいこ)」である。
始めに師匠が知っている本当の幇間(ほうかん、又はたいこもち)と落語でやられる幇間の違いの説明があった。相当に違いがあるようだが、これは習い覚えた古今亭流での流儀でとの事だった。
いや、師匠の鰻を食べる所作が美味そうで美味そうで腹がグーっと鳴るのを必死にこらえて聴いていた。
客のひとりだと思い込んだ男が居なくなった時の天国から地獄へ落ちてゆく様が面白い。
いい噺であった。
さて三席目は「富士詣り」である。
信仰の対象であった富士山への富士講は江戸時代後期には「江戸八百講、講中八万人」と言われるほどの盛況ぶりであったという。しかし富士講は、幕府からはその宗教政策上好ましくないと見なされしばしば禁じられたようだ。
偸盗戒を破った男、そして最も破ってはならないという邪淫戒を破ったという熊さん。それぞれに天狗の罰が怖いのだが熊さんはそれだけでは無い。先達さんも怖いというのが伝わってくる。その様子はサゲに繋がる。
これまたお見事な噺であった。
この後師匠の誕生会がおこなわれてケーキが振舞われ、皆で師匠の誕生日を祝った。
さて、次回の稽古会、場所が変わって若者の街、下北沢になるそうだ。
御用とお急ぎのある方も行って損は無い。
