土曜日に根津美術館に「江戸のダンディズム展」を観に行ってきた。
場所が表参道だけに立派な庭園だがその向こうに庭の世界観を壊さんばかりにそそり立つガラス張りの六本木ヒルズが覗くのはどうにかならないものか。
とかく刀というと刀身ばかりがもてはやされるが、いい刀というものはそれに見合う拵(こしらえ)に収まっているもんで、刀半分、拵半分というのが筋だとは行きつけの刀屋の含蓄ある台詞だ。
今回の展示はその拵のほうを見せようというものだった。
刀関係は少ない展示ではあったが、まあこんなものだろう。刀関係には重文(重要文化財)は無く、重美(重要美術品)が2点のみというのは江戸に絞ったからか、はたまた…
刀の分類としては江戸は若い。慶長元年(1596年)から分類は新刀となり、明和元年(1764年)以降は新新刀という分類となる。大雑把に言うと、関ヶ原以前が古刀、以降が新刀となる。美術刀剣としての評価も総じて古刀のほうが高い。
今回は刀身の展示はわずかに16振り、あとは拵、鍔などの金具となった。
一点、「稲穂雁蒔絵大小拵」との表記を目にしたが、これは無いだろうと思った。末広がりの鞘と…とあるが、これはちゃんと熨斗目拵(のしめごしらえ)という名前がある。主に瀬戸内海地方に多く見られるものだ。こういう事すら知らないのだ。自分は刀屋で勉強したので知っている。こんな表記をしていては知ってる者から笑わられるからすぐに直したほうがいい。
蒔絵のほどこされた鞘が多かったが、梅花皮(かいらぎ)拵なんかも展示すれば良かったのにと思う。
鍔や金具もまあまあだが、はばき、切羽などももっと展示して欲しかった。
金具のデザインでいうと、概していいものは勢いを全面に出してこない感じがある。龍にしろ鳥にしろ、抑えた品の良さのようなものが感じられるように思う。あ、凄い躍動感があるなんてものは大抵安物だ。この抑えた表現の仕方が日本の美というものなのかもしれない。
印籠は良かった。前々からひとついいものが欲しいと思っているが印籠は高くて手が出ない。いや、寝付けすら手が出ないでいる。
色々勝手な事を書いてきたがこの展示、7月20日までやっているので表参道あたりに行った時はフラリと寄ってみるといいかもしれない。素敵な喫茶店もある。
あ、あそこのミートパイを食べそこなったのを思い出した…