梅雨の最中に恒例の菊龍師匠の会である。晴男の師匠のこと、朝にはキッチリ雨を抑えてくれた。


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この日の開口一番は金原亭駒松さんだ。前にもこの会の開口一番をつとめてくれたが、この11月に二つ目昇進が決まったのでこれが最後となる。これで古今亭系の前座さんは全て居なくなることになる。
さて、この日は「金明竹」である。
相変わらずバリトンの大きな声で聴きやすい。古今亭系はこれだから好きだ。
刀を使う事をやっているのでやはり後半の三処物(みところもの)の説明が気になってしまう。裕乗とは後藤裕乗の事で有名な金工師の事であり一大ブランドである。小柄(こづか)、笄(こうがい)、目抜(めぬき)、いわゆる三処物のようなものの細工をする職人だが、実際は裕乗は最後のヤスリがけをする程度だったといわれる。大抵この三処物は物語になっていたりするが、今その物語を読み解ける者は少ないんではないだろうか。自分も中国の故事など読み解けないでいる。
これから二つ目になり、より稽古が出来るようになると今回の与太郎さんのような少年、または旦那くらいの中年、さらには関西の人達の話をするときのテンポや声の高さなどに研究が及ぶに違いない。期待の新人なので頑張っていただきたい。


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さて、我等が菊龍師匠の登場である。一席目は「青菜」である。
これは前回世田谷の稽古会で途中まで披露した噺ではあるが今回は完璧版となる。
いわゆる通人の真似をするトウシロウと、一言で言えるようなシンプルな噺だ。このシンプルな筋に色々なタネを仕込んで爆笑を誘うのであるから、噺の本筋以外のタネを客が気がつかないように爆発させる難しさがあると思う。しかも説得力を持って。まずは如何に夏が暑いかが伝わってこなければならない。暑い夏の作業を終えた職人が柳陰を飲んでいたく感動をする。これが全ての始まりである。
師匠の植木屋さんもそういう情景が描かれていた。後半その暑い中押し入れから汗ダクで出てくるおかみさんが生きていた。後半植木屋さんの友達の口調が少し早いような気もしたが、最後までいいテンポで演ってくれた。稽古以外ではこれがネタ出しということだったがご立派だった。夏は長い。これからもっと演ってもらいたい。師匠の「堀之内」に並ぶくらいの作品になりそうだ。

さて二席目は「景清」だ。
これも師匠が去年あたりから熱心に取り組んでいる噺だ。段々と噺が練られているように思う。自暴自棄になった定次郎が石田の旦那の情けに触れ、ついには目が見えるようになるという噺であるが、定次郎の落胆ぶり、ヤケをおこしている描写が以前より強くなっていて噺の奥行きが出てきたようだ。お袋さんが定次郎を送り出す時の台詞に場内はジーンとしたようだった。なにか舞台劇を観るようだ。この親子の情が解らぬようでは日本人ではあるまい。
いや、いい噺だった。

さてここでお中入り。

中入りがあけて三席目は「鰻の幇間」だ。
幇間の目的は上手い事言って飯にありつこう、早い話が騙してタダで飯にありつこうという魂胆だがまんまと幇間のほうが騙されるという噺だ。
師匠は本当の幇間というものを良くご存知だ。しかしそれは世間一般のイメージとは必ずしも一致しない。お客さんに説得力を与えるにはそのサジ加減が大切なんだろう。テレビの刑事ドラマでも時代劇でも荒唐無稽であろうが楽しければOKな訳だ。ただそういう中でもチラリと本当の幇間を魅せるのが古今亭流、でも本当はこうだったんだよと説明するのが談志流とでも言うのべきか。師匠は古今亭流をとった。
丁度お腹が空いてくる頃、師匠の鰻を食べる所作はこたえた。騙されたと知った後の幇間の豹変ぶりに会場は大爆笑だった。結果、この噺が一番笑をとったようだった。


今までやっていた赤井温泉が改装工事ということで今回よりしばらくこの会場となる。駅から離れ、また通りから奥まった解りずらい会場でもあったので以前ほどとはいかなかったが、金沢高校落研部OB会の皆さんの力でまたいい会となった。会場も全席イス席でシャープのイオンクラスターなる空気清浄機も二機入っており快適な環境だった。
次回予定は9月、是非とも足を運んでみるといい。

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