昔はスポーツをやる時には水はご法度だった。うさぎ跳びなんかも身体に良く無いということになっているが、あの頃水を飲ま無いで倒れる奴はいなかったし、うさぎ跳びをやって今なにか不都合があるかと言うとそんなこともない。
新日本プロレスはニーパッド、エルボーパッドの類いはご法度で、スクワットはフルスクワットだ。あれが全日本プロレスに比べて選手に悪影響があったかというと長州力も藤波辰爾も立派に活躍しているという事実があったりする。今の基準は必ずしも絶対的なものでは無いのは昔から言われてた事じゃ無いのかと、くだらない事を考えながらジリジリと容赦無い陽射しの中両国の落語会に向かった。
さて、第三回の会から甘味処うさぎ屋さんに場所を移したこの会であるが、まずはそのメリットを活かして美味しいソフトクリームをいただき開演を待った。
丁度時間となって出囃子が鳴る。今回は生演奏でよろずや社中の御仲間が「老松」を弾くと嫌が上にも盛り上がる。
さて一席目は「たがや」である。
この季節にぴったりの演目で師匠の「たがや」は夏の夜にひしめく人の暑さが伝わってくるようだった。今回はたがやさんの威勢が良くなって侍との立ち会いへと噺は佳境に向かってゆく。たがやさんに加勢する見物人がまたこの立ち会いを盛り上げる。
武士対町人というわかり易い対立の図式は強い立場の人間に、それでも抗う弱い立場の人間への共感を呼ぶ。居合をやってる身からするとたがやさんのやり口はマタギのやり口や最後の逆袈裟という高度な技を使って、まさに死にたくないの一念が伝わってくる。お見事、お客さんに受けていた。
さてお中入り後の二席目は「抜け雀」である。師匠のこの噺は何度となく聴いているが今回もタイヘン受けており素晴らしかった。また、一席目といいマクラをいつもより長く取ったことにより助走をつけて高くジャンプをするが如く、噺に力が出たというのだろうか、徐々にいい調子を強めて佳境へと向かってゆく。居合では序破急という。この旅の絵師、狩野派というからには絵師の世界の最高峰で修行した事がある設定だ。絵師のような繊細な仕事をしているのに反して実におおらかな性格で、これがこの人物の魅力を深めている。
これも楽しくも感動するいい高座だった。
この後、この会の席亭のトクさんと師匠との「武士の出てくる落語について」の対談となり楽しい話となった。
今回のこの会、トクさんの人脈で落語を積極的に楽しもうというお客さんが集まり大変にいい会となった。
早いもので次は第五回となる。落語の真髄、本物の古今亭の流儀に触れてみたいと思う人は是非とも行ったほうがいい。
そうで無い人も、ほんの少しの勇気を出して足を運ぶ事をお奨めする。寄席は敷居が高いと思う人にはお勧めのサイズである。
要は自分の基準で選んだ時に、多くの人達が楽しめるのが古今亭の芸であるからお勧めするという、ただそれだけでなのである。