デリック・イノウエ 新日本フィル 藤木大地 バロック歌曲集(230610) | クラシックコンサート日記

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2023年06月10日(土) 14:00- すみだトリフォニーホール 錦糸町

□メンデルスゾーン/劇音楽『夏の夜の夢』序曲
□モーツァルト/交響曲第36番 ハ長調 「リンツ」
□パッヘルベル/カノンとジーグ ニ長調
□ヘンデル/歌劇『セルセ』より「オンブラ・マイ・フ(なつかしい木陰)」
□ヘンデル/歌劇『リナルド』より「涙の流れるままに」
□モーツァルト/歌劇『フィガロの結婚』より序曲Ⅰ「恋とはどんなものかしら」
□モーツァルト/歌劇『ポントの王ミトリダーテ』より「執念深い父がやってきて」
□モーツァルト/モテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」
□グルック/歌劇『オルフェオとエウリディーチェ』より「精霊の踊り」「エウリディーチェを失って」

指揮: デリック・イノウエ
カウンターテナー:藤木大地

メインがカウンターテナーの歌唱が中心の

めずらしい定期演奏会。それほど期待しては

いなかったのであるが、美しい歌声に魅了された。

指揮のデリック・イノウエを聴くのは十年ぶり

くらいだろうか。今まで感心した記憶は

ないが、今回は結構良かった。


最初は、メンデルスゾーン 夏の夜の夢 序曲。

オケに少し潤いが足りず、響きがやや乾いた感
じがあったが、新日本フィルの出だしはこのよ

うな場合が良くある。デリック・イノウエの

指揮は幻想的な雰囲気は出なかったが、快適な
テンポでからっとしていて、悪くはない。

次は、モーツアルト リンツ。

実演を聴くのは久しぶり。

デリック・イノウエ/新日本フィルの演奏は、

メンデルスゾーンより透明度が上がり、重々

しいところがなく、スピード感のある爽快な

演奏。典雅さには欠けるが、聴いていて気持ち

が良い。


休憩後の最初は、パッヘルベル カノンと
ジーグ。この曲の実演を聴くには初めてで

ある。
新日本フィルの透明な弦の音が美しかった。

次は、いよいよ藤木大地の登場。

最初の歌唱は、ヘンデル オンブラ・マイ・フと
涙の流れるままに。
透明な声で、弱音のコントロールが素晴ら

しく、表現の幅が広い。カウンターテナーの

歌唱がこれほど美しく、心に響くものだとは

思わなかった。


次は、モーツアルト フィガロの結婚序曲。
躍動感に満ちたいい演奏だった。

続いて、藤木大地が再登場し、
恋とはどんなものかしら、執念深い父がやって

きて、アヴェ・ヴェルム・コルプスを歌う。

それぞれ良かったが、特にアヴェ・ヴェルム・

コルプスの美しさは感動的だった。

最後は、グルック  オケでの精霊の踊りに続

いてエウリディーチェを失って。

透明、伸びやかな歌で見事だ。

アンコールがあり、知らない曲だったが、

美しい曲で、藤木大地の歌も素晴らしかった。


大音量を発することが全くない演奏会だった
が、満ち足りた気持ちにさせてくれる、

とてもいい演奏会だった。