佐渡裕 新日本フィル 第九(221217) | クラシックコンサート日記

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2022年12月17日(水) 14:00- サントリーホール 赤坂

□J.S バッハ:  トッカータとフーガ 二単調
□A.ギルマン:  ヘンデルの「頭を上げよ」による行進曲
□ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調 Op. 125 「合唱付き」

指揮:佐渡裕
ソプラノ:高野百合絵
メゾソプラノ:清水華澄
テノール:宮里直樹
バリトン:平野和
オルガン:室住素子

新日本フィルハーモニー交響楽団


いまさら第九を聴きに行く気はしないと思いながらも、
(とは言っても、実演の第九はそれほど聴いていないが)
4月から新日本フィルの音楽監督になる佐渡裕がどのように
第九を振るか気になり、チケットを購入してしまった。


最初に佐渡裕が登場し、スピーチを行った。

「第九は、20年前に新日本フィルを振ったことがある。
小澤征爾が練習に聴きに来てくれた。
今回新日本フィルとの第九はそれ以来。
第九は一番振っている曲だ。
今回から、終演後のカメラ撮影がOKなので、
写真を撮って、ネットに載せてほしい。」

さすがにスピーチはうまい。

20年前に佐渡裕が新日本フィルを振った第九を
私は聴いた。結構良かった記憶がある。


最初は、オルガン独奏。
オルガンは、室住素子。

二階の一番奥の方の席で聴いたので、少し迫力に
欠けるかと思ったが、かなりの迫力で聴けた。
オルガン近くの、舞台横の席で聴いたら、
ものすごい低音の迫力だっただろう。

バッハ トッカータとフーガを実演で聴くのは
初めてではないだろうか。端正なオルガンで
結構よかったが、二曲目のA.ギルマン
ヘンデルの「頭を上げよ」による行進曲は、後半
盛り上がる壮大な曲で楽しめた。


休憩後は第九。


20年を経た佐渡裕の第九は、音楽に風格が出てきた
ようだ。全楽章にわたって、佐渡裕の人柄が反映した
ような温かく熱い音楽が聴けた。

オケのバランスは注意深く整えられており、弦の
フレージングは乱れるところがなく、常に歌い
込まれていて、この曲の人間愛を表すのにふさわしい。

第一楽章は堂々たる出来で、第二楽章はかなり迫力がある
熱い音楽になっていた。へぼな指揮だと、第三楽章で
眠くなってしまうが、美しい音楽が聴けた。

終楽章は、だれが指揮しても、大抵面白く聴けるが、
前半チェロ、コントラバスが弱音で奏でる歓喜の歌の
第一主題から全管弦楽で歌い上げる部分は、
とても美しく、少しうるっときてしまった。

合唱は熱演だったが、少し平面的だっただろうか。
昨年ノットが指揮する東響の第九は、合唱が立体的で
荘厳な響きがしていたが、日本人の指揮では
そのようになってしまうのは、致し方ないところ
ではある。

フィナーレは、熱狂的な盛り上がりで終了した。

終演後は、熱い拍手が起こり、佐渡裕のスピーチで
お願いされたスマホでの写真撮影がそこらじゅうで
行われた。


新日本フィルとの今回の第九の最初の演奏会は、成功と
言えるだろう。


強い音の部分で、佐渡裕がオケの能力を超える要求を
してしまうためか、音が少し混濁してしまう傾向が
あるが、もう少し響きを整えて欲しい気はするが。。。

数十年前に聴いた、若き小澤征爾と新日本フィルの第九は、
白熱するものすごい演奏だったが、思い出すとなつかしい。
そのような音楽は、もう聴けることはないのだ。


新日本フィルは、ここ数年第九といえども満席になった
ことは殆ど無いと記憶しているが、佐渡裕効果か今回は
全5講演全部満席。すみだの定期会員もいままでになく
かなり売れており、喜ばしいことだ。
私は、人気がなかった上岡敏行が気に入っていたのだが。

今回は、通常の定期演奏会とくらべ、女性の聴衆の割合が
かなり多かったようだが、それも佐渡裕効果だろう。


聴き飽きたとはいえ、実際に実演を聴くとやはり素晴らしい
曲だと改めて思う。もう何十年も実演を聴けるわけではない
ので、来年以降は、第九の聴きくらべでも行って
みようかしら。。。