「どうして?」

と、担当医は言った

「えっ?」

私と妹は返事につまる

医師「面倒を見て欲しいって事?」


カエル


母が救急搬送されて入院したのが

昨年の11月末の事。

睡眠薬を多量に服用して自殺をはかったのだ

夜中にトイレに起きた父が発見し

救急車を呼び、同じ市内に住む妹に連絡がいった

幸いな事に(本人はともかく)母は息を吹き返し

今は、半分、認知症と妄想の世界の患者として

元気に入院生活を送っている

決して現在の状況が分からないのではなく

私達や孫、ひ孫達の事もしっかり分かってる

だから面倒なんだけどね


父はそれ以来、老犬1匹と仲良く

ばぁちゃん(母)の言いつけを守り

マメに家事を頑張り、週1の面会に出かけ

母を励ましていた

今年2月に家の中で転んで頭が痛いと言うので

硬膜下血腫と脳下垂体の手術をしているので

念の為に検査に連れていくが

大したことは無かったのでひと安心…

と思っていたら、翌3月、今度は

背中が痛くてたまらん

と言うので妹が近所の医者に連れて行くと

肺癌の痛みで大きな病院を紹介するとの事

検査をした結果、脳にも転移がみられ

肺癌ステージ4

82歳という高齢なので治療はしない

と言われて父はとぼとぼと診察室を出た

私と妹は一旦出かかったが戻って余命は?

…3ヶ月…

対処療法として痛み止めが処方されたが

1週間も経たずに、痛みが治まらないと

一人では食事もままならないというので

ツレには申し訳ないが

私が実家に泊まり掛けで世話をする

週半分は妹にバトンタッチ…でも彼女は

泊まってあげることはしないんだね〜


頓服薬が10回分しか出せないと言うので

GW前に3回目の頓服薬を貰いに行き

医師に食事も取れないし、痛みも治まらない

頓服薬も休み中足らなくなる

入院させてはもらえないだろうか

相談した時の応えが

「どうして?」

なのである


いや、いや、いや、

はぁ?

今言いましたよね

高齢者だから治療しないのは仕方ない

そこは諦めますよ

せめて痛みの管理はしてくれないの?だよ

食事も食べられないんですよ

点滴とかしてもらえないの?


本人を診てないから


いや、いや、いや、

転移した脳の癌を治療してっていうから

予約した専門の病院も痛くて行けないって


じゃあ仕方ないね


は?


また行ける時に予約して行って



お薬をもう少し強くするので

それで様子を見て下さい

チャンチャン!!



今、目の前で寝ている父は

ひと月前の父とはまるで別人のようだ

歳の割にはガッシリしていたのに

骨と皮で、1人で起き上がれず

食事も2口3口食べればいい方…

もっと食べてよと言うと

涙を浮かべて食べられないという


私も泣きたいよ