アーネスト・ヘミングウェイの名作小説「誰がために鐘は鳴る」の映画版。
たぶん、原作小説読まないと詳細な内容が分からないタイプなのだろう。
わたしには有能な男が様々なことに苦悩するという内容の映画に思えた。
1942年の映画「カサブランカ」は有能な男がひたすらクールに、しかしその実ホットに立ち回る様子。あとセリフの言い回しが面白かったが、こちらの映画は全体的に淡々としていると感じた。それこそ、小説のように。
個人的な見所としては、ピラーの語るパブロの全盛期。この辺りの市民の動きは人の本質が描写されていると感じた。
また、英雄的な主人公であるロベルトと元英雄のパブロが常に対比されているのも面白い。パブロの不安定な動きとそれを憎みきれないロベルト。この辺りに、この作品の深みがあるような気がする。
しかし、やはりメインとなるのはヒロインマリアとのロマンスだろう。ただ、わたし自身こういうのが苦手なので、理解が大変浅いと感じた。「キング・ソロモン」の時もそうだが、映画の恋愛は基本唐突である。一目惚れしてる、あるいは嫌悪感があるところに、ヒロインの些細な心情の変化を主人公が察してコロリといく。まあ、リアルと言えばリアルかもしれないが、深みうんぬんを考えるには、わたし自身が浅過ぎる。
「誰が為に鐘は鳴る」というタイトルの意味も分からなかった。
「人は一人一人違っても、鐘の音は等しく響く」とかそんな感じだろうか。
ラストシーンでロベルトはマリアに「君の中に生き続ける」とか言ってるし、おそらくそういった、共同体的なことを表現していると思うのだけれど。