いつの日からだろうか。
幼少の頃から私を慰めてくれた公園に行く。
傍らには鉄道の車輪の音があり、春を待たない金木犀の緑があり、日陰の砂場で遊ぶ三人の児童がいた。
一人の少年は黙々と作った砂の山を小さな手のひらで叩いている。
二人の少女は手に付くその砂を気にしながらも、水場で汲んだペットボトルの水を掘ったその場に注いでいる。
どうやら少年は山を作り、少女たちは川を作り、少女たちが作った川の水をトンネルに通したい一心で懸命になっているようだった。
最近の子供は砂場で夢中になれるものなのだなあ、と感心した。
乾いた砂は、少女たちが汲んだ水を無関心に吸い込んでいく。
それでも懸命に水場を往復する少女。山を盛る少年。砂まみれになって転がるペットボトル。日陰の匂いと、通り過ぎていく電車。
「あきらめるなよ」と誰に言うわけでもなくそう言って、自分の足下に転がった煙草の吸い殻を拾い集め、ベンチを立った。
自宅へ帰る前の長い坂で、ある見知った女がよろよろと自転車を漕いで通り過ぎていった。食材の買い出しへ行っていた様子で、自転車の籠にはスーパーの見慣れたビニール袋が居心地悪そうに収まっていた。
かつての美貌はなく、皮膚にまとわりつくような合成洗剤の匂いがするようだった。
最近、その女は結婚したのだと後になって思い出した。
そして振り返ると、その女の姿はすでになかった。泡になって陽の光に弾けてしまったのか。
◆
いつの日からだろうか。
何かを思い出したように、太朗の写真を見る。
彼を見ると、ロイヤルティとラヴリィが互いに矛盾せずにあったように思う。
また私の話を聞いてくれよ、太朗。
まだ私、何も分かっていないんだ。
◆
いつの日からだろうか。
数少ない、私の友達でもあり、仕事の相棒である人間のライブに行った。
「初めてライブハウスの人間にダメ出しされてもうたわ」
と、苦笑いしながら煙草を吸っていた。
私も何も言わず、何も言えずポケットにあるであろう煙草を探した。
「どっかの外国とか、そういう遠くに行こうかなとかな、そう思ってんねん」
「それもいいな。いずれ私も追いかけるよ」
「その前にバンドメンバーの面倒を最後まで見なあかんなあ」
夢に殺されてから、言えよ。
この、ばかやろう。
そう思う。
◆
いつの日からだろうか。
最近、涙もろい。
あんな映画、と思いながら鼻で笑っていた"ALWAYS 三丁目の夕日"を続編と共に見てから、なんだか私はおかしい。
いや、今までがおかしかったんだろう、間違いなく。
守らなくてはならないものは自分の他には何もないんだ。
そう、それでいい。
こんな低次元なことで葛藤しているだなんて、まだまだ青いんだな、私。
◆
ドラゴンクエスト5をこの年になって再び遊んでみる。
初めて遊んだときはビアンカを嫁にしたので、今度はフローラを嫁にしてみた。
何だか納得できないんだよね。
ビアンカは拾われた子であるとして、まあ勇者の血筋があるのかもしれないと納得できるんだが、フローラは本当に勇者の末裔なのか?
と思ってwikiを調べて見たらそういうことなのね。
ずるいなー。