2026年3月16日(月)
東九州ドライブ旅行-鹿児島山岳編 
奇跡の1枚

いよいよ鹿児島の山岳旅行編が始まる。

朝7時、民宿黄金荘で朝食。

きんぴら、納豆、焼き魚、のり、タクワン、昆布の佃煮、味噌汁、目玉焼きという、登山前にはありがたい栄養満点の布陣だ。



ご飯の盛りは小盛りで頼んだけど、女将さんは夕べと同じで、

「お代わりしてね」

部屋の窓から外を見ると、民宿の名前の由来になった黄金瀬に白波が打ち寄せている。
昨日は岩の周りに白波が立つ程度だったが、今日は繰り返し押し寄せる波が、扇状に広がりながら陸へと続いている。海の表情がまるで違う。



朝食を終え、車に荷物を入れ、出発前にすぐそこの南灯台へ歩いていく。



灯台から海を眺めると、その先の波間をゆっくり進む船が見えた。

それは帰りに乗る予定の
さんふらわあきりしま。志布志港へ向かっていくところだった。



旅の終わりにはあの船の中にいるのだと思うと、なんとも不思議な気持ちになる。

外で作業していたご主人に手を振り、民宿を後にして、都井岬の馬たちに別れを告げながら霧島へ向かう。

途中、串間市のコンビニで昼食を購入して先を急ぐ。

2時間程で高千穂峰への登山口、高千穂河原に到着。

普段、あまり身に付けないゲーターの準備に時間がかかり、出発は10時半過ぎになってしまった。

ところがここで事件。



奥さんがYAMAPの地図をダウンロードしていなかったのだ。

慌てて社務所前の、かぼそいWiFiを見つけて大急ぎでダウンロード。

なんとか準備を整え、ようやく登山開始となった。

歩き出してすぐに体が熱くなり、上着を脱ぐ。

ひたすら続く石段を一歩一歩登っていく。



やがてお鉢への取り付きへ。
ここからが本番だ。

ガレ場が永遠に続く。

足元は不安定で、一歩進むたびに体力を削られる。きつい。



それでも登り続けると、右手にお鉢の大火口が現れた。その縁を歩き、ついに高千穂峰の取り付きの鳥居へ到着。

あとひと登り。だが最後の坂は想像以上に急だ。ズルズルでイワイワな急斜面をよじ登っていく。



そして13時。
ついに高千穂峰登頂。

頂上メシはセブン-イレブンのシャキシャキレタスサンドとツナきゅうりサンド。

風が強かったので、山頂に立つ天の逆鉾の台座に隠れて風をしのぎながら食べたので快適だった。

でも、長居は禁物
13時10分、下山開始。

滑って転ばないよう慎重に下る。

そういえば登りの間、頭の中ではずっと「365歩のマーチ」が流れていた。
一歩進んで二歩下がる。まさにあのガレ場の感覚そのものだ。

鳥居のある取り付きまで降りてもその後も激坂が続く。

奥さんが「慎重になるね」と言うので、「スキーの斜滑降の要領だよ」と言いながら下ってみたものの、転びそうになりストックを曲げてしまう始末。自分で言っておきながらこの有様である。

ざれたガレ場の下りはまさに格闘。慎重に進み続け、1時間15分ほどでようやく遊歩道へ到着した。

しかし、その途中、思いがけない光景が待っていた。

午前中は晴れてはいたものの霞空で、霧島連山の景色はどこかぼやけていた。



ところがガレ場のピークを下り、ふと空を見上げた瞬間――
霞の向こうにくっきりと姿を現した桜島。

その上の青空に、二本の飛行機雲が交差して大きな十字を描いていた。

まるで空が描いたクルスのような光景。

今回の旅が順調に進んでいることへのサインのようにも思えた。


……いや、さっきストックを曲げたばかりなので、
あれは「バツ」だったのかもしれない。

そんなことを考えながら下山を続ける。

そして高千穂河原に戻ったのは15時30分。

なんだかんだで当初の予定通りだ。素晴らしい。



今日の宿は霧島神宮前の民宿 山口温泉(霧島神宮前ユースホステル)



時間には余裕があるので、宿の場所を確認してから一番近いセブン-イレブン霧島温泉郷店へ。
明日の昼食を購入してから宿へ向かった。

さすがに脚はガクガクだ。

こんな日に温泉付きの宿は本当にありがたい。

そういえば昨日の黄金荘は食事中、今日の民宿も、到着するとすでに布団が敷いてある。

こういうのは本当に楽でいい。

さっそく大浴場へ。
ところが湯船のお湯が熱すぎる。
『熱かったら水を入れてください』の張り紙を見て遠慮なく、大量の水で埋めてようやくちょうどいい温度になった。

一番風呂の特権である。

風呂上がり、夕食までの時間はすでに敷いてある布団にゴロン。

登山の疲れと温泉の余韻が重なり、なんとも心地よい時間だ。

夕食は豚の陶板焼、あげ豆腐、からあげ、コロッケなど。



昨日までの宿のような魚料理はないが、山を登ったあとの体にはこのくらいのボリュームがちょうどいい。どれも美味しかった。

こうして振り返ると、今日はなかなか濃い一日だった。

石段、ガレ場、激坂。
ストックを曲げるハプニングもあったが、それでも無事に登頂し予定通り下山。

そして何より、あの空。
霞の向こうに現れた桜島の上に描かれた十字の飛行機雲。
今日のこの一日を象徴する、
奇跡の写真だった。

by Teams papa frog 🐸