これは、私が高校生の時の体験談です。
人間というのは、疲れていたり精神的にまいっていると、なかなか寝付けなかったり、寝てもすぐ起きてしまったりすることがあるそうです。
ただその時の私は、受験でもなく悩み事もない、至って普通の学生でした。
そんなとある日、眠りについた後、私は夢を見ました。
その夢とは、前にいる人を追い掛ける夢でした。
とても激しく走ったと思ったら突然夢が変わり、今度は殴り合う夢になりました。
訳もわからず殴り合っていたら、またすぐに夢が変わり、今度は崖から転げ落ちる夢に。
その後、激しく叫びあう夢をみた後、私は目を覚ましました。
私はひどく寝汗をかいていて、朝からぐったりしてしまいました。
「なんでこんな夢を見るんだ…。」
と思いながらも、その日は何も無かったように1日を過ごしました。
夜、風呂上がりに何気なく体重を測ってみました。
すると、体重は普段より1㎏減っていました。
しかし、その時は余り気にせずその晩はすぐ寝ました。
するとまた昨夜見た夢…。
走ったり、殴ったり、転げ落ちたり、叫んだり…。
順番はバラバラですが、また4つの夢を見ました。
起きたら汗だくでぐったり…。
まさか2日間も同じことが続くとはと思い、その日友人にこの事を話しました。
友人には、
「お前少し霊感あるし、とり憑かれてるんじゃね!?」
とからかわれてしまい、頭にきました。
その晩、体重を測ると、また1㎏減っていました。
「また、同じ夢を見るのでは…」
と思い、寝るのが少し怖くなりましたが、考えても仕方がないので諦めて寝ました。
しかし、悪夢は続きました。
4つの激しい夢をみて、汗だくになり、体重が1㎏落ちることが、なんと6日も続きました。
さすがに6㎏も体重が落ち、げっそりした私の顔を見た友人は心配そうに、
「大丈夫か?お前絶対とり憑かれてるよ!」
その言葉に、私は不安と恐怖を感じました。
このまま続いたら本当に死ぬかもしれない…。
こんな悪夢を見る原因もわからず、精神的にも体力的にも限界でした。
寝るのが怖い…布団の中でうずくまり怖さに震えながらも、いつの間にか私は眠りについていました。
7日目の夜でした。
その日の夢は、いつもと違いました。
いつもは4つの夢で終わるはず…なのに、その日は5つ目の夢が始まったのです。
その夢とは、ビルから飛び降りる夢でした。
ビルから飛び降り、そのまま地面に身体をたたきつけられても目は覚めませんでした。
たたきつけられた痛みに耐えていたら、頭上から大きなコンクリートが降ってきて、私の上に凄い重さでのしかかりました。
それでも目が覚めない私は、
「お、重い…、もういい加減にしてくれぇ!」
コンクリートを押しのけるように、前に腕を突き出したところで目が覚めました。
目が覚めた私の目の前に恐ろしい光景がありました。
私の目の前の布団の上に、男がこちらを見ながら乗っかっていたのです。
その男と目が合い、私は発狂してその男を押しのけるように払うと、手の平にその男の顔に触れた感触があり、その気持ち悪さに身を屈めました。
布団の中でどのくらい丸まっていたでしょう…
「あの男は?」
おそるおそる布団から顔を出すと、その男はもういませんでした。
あの男は、いったい何だったのでしょうか。
それ以来、悪夢は見ていません。そして、あの男も出てきません。
しかし、いつか6つ目の夢を見る日がくるのではないかと、今でも怯える日々を過ごしています。