これは職場のみんなも経験したことです。
あまりにも怖かったのでみんなはもうこの話をしようとはしません。
夏の終わりの出来事です。
職場(飲食店です)のみんなと店で飲んでいると、けっこう遅い時間になってしまい、その日は店の2階で泊まっていくことになりました。
2階は泊まり込みで働く人の為にタコ部屋になっているのですが、店はもう建てられて40年以上も経っており、以前から”見える人”にはたくさんいるよと言われていました。
しかし、みんなもいるし恐怖感のようなものはあまりありませんでした。
季節的なものもあってか、みんなで怖い話をして楽しんでいました。
すると、時間はあっという間に過ぎ、時刻も2時を過ぎていたのでもう寝ることになりました。
それから30分程経った頃でしょうか。
僕はまだ寝付けずにいました。
周りからは寝息もこぼれており、外からする音もなく、不気味な程に静まりかえっていました。
僕は明日も仕事だし早く寝なきゃと目をつぶった瞬間です。
「オマエラニンゲンカッ!!」
突然寝ていた同僚が叫び始めました。
しかも1度では留まらず何回も。
その声にビックリしたのか寝ていた人達も目を覚ましました。
しかし叫んだ本人は寝たままです。
その時は凄い寝言だとただの笑い話だったのですが…。
翌朝、
「凄い寝言だったよな。しかもあんな女の人みたいな声で。」
「え?」
僕が聞いた声はその人の地声のままです。
すると今度はまた違う人が、
「いやいやアレは電話の留守番みたいな機械的な声だったよ。」
「おじいちゃんみたいな声だったよ。」
「いや小さい女の子の声だった。」
次の週には寝言を言った本人は突然会社を辞めていきました。
聞いた人それぞれが違う声質を聞いていたのです。
寝言を言った本人が会社を辞めてしまい、連絡がつかない今、彼がどうなっているのかは分かりません。
しかし、ただの寝言でなかったことは間違いないと思います。