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 前回2001年のITバブル崩壊後の不況と足元の景気を比べると、同じ景気後退でも様相はかなり違う。前回は内需の調整が中心で立ち直りも早かったのに対し、金融危機に伴う世界的な景気悪化に、円高が加わる今回の方がより影響は深刻とみられる。必然的に回復にも時間を要するという見方がエコノミストや市場関係者の大勢を占めている。

 米サブプライムローン問題が引き金を引いた今回も、前回のIT不況も、ともに震源地は米国。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「世界経済が突然ショックに襲われたところや、景気の急落度合いも似ている」と指摘する。

 だが、前回の不況は突き詰めればIT業種の在庫調整が原因で、「ほかの産業の落ち込みはそれほど大きくなかった」(新光証券の高橋幸男マーケットアナリスト)。日本もバブル崩壊後の金融システム不安は続いていたが、世界的には金融システムはなお健全だった。

 しかし、今回は欧米の金融システムが「100年に1度の津波」(バーナンキ米連邦準備制度理事会議長)に傷つき、それが実体経済へ波及した点で、景気悪化のプロセスはより複雑で影響も広がっている。金融機関の貸し渋りで、米自動車業界に象徴される世界的な製造業の減速が進み、個人の購買意欲も冷え込んでいる。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストは「株式市場の低迷も、前回はIT周辺の『投資不況』に伴う調整だったが、今回は『消費不況』の側面が強いだけにより深刻だ」と指摘する。

 米国と欧州の景気減速による輸出の落ち込みで、国内の在庫は積み上がっており、「10月からは一段と在庫調整のペースが速まっている」(高橋氏)。ITバブル崩壊のさなかでも急ピッチで成長を続けてきた新興国が、中国を筆頭に景気減速に直面し始めたことも懸念材料だ。

 さらに、前回の不況時と違う要因がマーケット環境だ。1ドル=115~130円前後で推移した01年と異なり、足元は金融危機で欧米通貨を嫌気した円高が止まらない。原油価格も年央まで歴史的高騰が続いた。熊野氏は「企業の体力が削り取られたところで、金融危機が追い打ちをかけ、日本経済には二重のダメージとなった」とみる。

 前回の景気後退局面が1年半程度にとどまったのに対し、足元の金融危機は収束のメドすら見通せない。白川氏は「不況が09年ごろまで長引くのは避けられず、場合によっては回復が10年以降にずれ込むだろう」と予測している。(柿内公輔)
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