主人公がなんだか自分とダブって見えた。
いつも心のどこかで周りに嫉妬して、でもそれをひた隠しにして、愛想振りまいて生きていて。
いい子ね…って言われるのが苦痛だった。
本当はそんな人間じゃないのに…
心の中は醜くて…
コンプレックスの固まりなの…
まるで自分を見ている様で…
気づけば涙が出て…
ハンカチで顔を覆いながら声を押し殺して泣いた…
『ぐすん…………うぅ………っ』
会場の明かりがついて、周りのお客さんが次々と席を立つ中、私はまだ席を立てないでいた。
『……うぅ…ぅっ』
どれくらいそこにいたのかわからないけど、何とか落ち着いて席を立った。
酷い顔をどうにかしなきゃ…
そう思いトイレに立ち、メイクを直した。
私が会場を出る頃には人影は殆どなくて…
その時―
向こうからさっきのサングラスの人が歩いてきた…
『あっ…どうも……』
『さっきは本当にすみませんでした。…では失礼します。』
私は軽く会釈をし、会場を後にした。
次の日…
また別の舞台を観にきたんだけど…
開演直前…
辺りがざわついて…
キャー!って黄色い声援も聞こえて…
振り返るとまた昨日の人がいて…
しかもまた隣の席で…
『あっ…どうも…』
『どうも…』
たったそれだけの挨拶だけど、こんな偶然にドキッとした…