会社で尊敬する先輩がお辞めになった。年は少し上で、中途入社で同じ入社年度だった。

 友達、と言ってくださっていたが、私はずっと尊敬している先輩だった。

 彼女を見て、仕事に真剣に向き合うとはどういうことかを学んだ。会社の中で女性社員とのコミュニケーションをこんなに上手にとる人は見たことがない。だが例にもれず、だろうか、優秀で真剣であればあるほど、実力のない男性の上司から疎まれた。会社はよく見ていて、本社でも勤務をし、近年は役員室に近いところで仕事をしていた。ご本人にぴったりだと思っていた。

 

 彼女の正義感が、会社では通用しなかったのか。心から会社を愛し、仕事を愛し、同僚を愛し、一所懸命仕事をしていた先輩。私が投げ出しそうになったときは、いつもこの先輩を思い出して踏みとどまってきた。陰のファンというのかな。

 

 これからアメリカへ行って勉強しなおすという。80歳まで仕事をするための勉強だと。50歳をすぎての新しい旅への出発だ。

 

 挑戦、というかんじはしない。ご本人の思惑はわからないが、私から見たら危うさがどこにも感じられないからだと思う。お話が上手で、人をそらさない。アメリカへ行ったら、すぐにたくさん友達ができて、あっという間に英語も上達するだろう。いつもまっすぐ前を向いていて、裏表なく透明で、ユーモアと明るさとあたたかさと希望に満ちていて、人生をしっかり歩んでいく。退職されても、尊敬する先輩だ。

 

 このかたに会えただけでも、今の会社に入ってよかったと思う。29年間、陰に日向に寄り添ってくださって、ありがとうございました。これからも、私の道しるべです。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 おつかれさまでした。ありがとうございました。