お正月から玄関に飾ってあったカサブランカに変化が訪れました
お花屋さんで
大きく咲いていたカサブランカに目がいき
カサブランカだけを沢山買って花瓶に飾りました
買った時に大きく咲いていたそのカサブランカは
今は元気がなくなっています
もうすぐ枯れそうです
だけど蕾のカサブランカはふっくら緑のまま元気です
これから徐々に開花していって
買った時に目をひいたような大きく咲くカサブランカになるのですね
そして買った時に目をひいたカサブランカは枯れて
『美しさ』の集まりにしておくために
そのカサブランカは切る事になると思います
なんだか花瓶を眺めていると
夜の世界に似ている気がしました
もうこれ以上に大きく咲く事はできない
いずれは必ず枯れる
それがわかっていた私は
自分自身、枯れる事は許せませんでした
花瓶の中にある沢山のカサブランカの中で
大きく咲いているカサブランカである内に
どのカサブランカよりも目をひいている内に
引退したくて引退しました
お金の面でも達成して
疲れも限界でしたし
だけど だけどね
ずっとずっと若くいられるなら
(風俗業界では｢若さ｣はかなりの強みです、｢若さ｣だけではないですが、私は商品として完璧で、100点でありたくて)
あと、もし花瓶の中で戦うパワーが残っていれば
いつまでも大きく咲いていたかったのかもしれない
何が嘘で何が本当か
わかりにくい世界だったけれど
私と常連のお客様達が対面した時に
『〇〇ちゃん！！』
と私に向けられた一瞬のあの笑顔だけは
それだけは
必ず嘘でなかったと思います
常連のお客様達と対面する度のあの一瞬の笑顔を
ひとりひとり今でも思い出せます
お店の社長から
『本当に引退したんだね
〇〇様や〇〇様が
移籍したんだと思って
吉原の色々な店をﾈｯﾄで隅から隅まで探したけれど
どこにもいない
復帰はないのかな？
と問い合わせがしつこくて参るよ』
と電話で度々は話します
『絶対に復帰はありえません』
復帰はないですから
社長には淡々と答えますけど
〇〇様や〇〇様に対しては
『大丈夫かな？早く良い姫を見つけてね』
と思っています
私に依存されているお客様も多かったので
〇〇様や〇〇様に限らず
思い出すと心配もします
届かせようとも思わない
届く必要がない声ですけれど
色恋だったけれど
腹黒かったけれど
非情でもあったけれど
涙もつかって同情をひいたけれど
ただ数字のために
だけどそんな私を信じて一緒に泣いてくれた方もいました
色々と貰ったﾌﾟﾚｾﾞﾝﾄ
その中には、香水、ﾊﾝｶﾁ、特別高価じゃない物もあります
だけどあの対面の時の笑顔を思い出すと捨てられない
風俗という世界
世間様の想像する事は想像がつきますが
それだけじゃない
寂しさを背負った人間が
行く場所がない人間が
暖かさを感じる場所でもあるのです
暖かさを頂きました
だけど必ず踏み台にしなければならない場所でもありました
『鶯谷』という駅
『吉原』という場所
引退してから一度も行ってないですし
正直二度と行きたくないです
行きません
だけど
頂いた暖かさを私は忘れない
お休みなさい
