世界はいつも先を急いでいる。
先進的に、ドラスティックに、革新的に、時代は流れていくんだと喧伝される。
どいつもこいつも、どこに向ってるのかもよくわからないのに、どんどん先へと進もうと努力する。
今をないがしろにして、唯一確かな今を生きている俺を置いてきぼりにして、どいつもこいつも確かではない未来に向って、先へ先へと飛んでいく。
「どいつもこいつも勝手にしやがれ」
笑いながら俺は確かな今を生きる。あるかないかもわからない明日に、死んでしまった今日を弔ってやるために。
どうせ七年後くらいに、ぐるりと世界を一周したあんた達は俺の背中を見て、ついこの間も言ったようにこう言うんだ。
「信じられん。おまえはいつの間に我々を追い抜いたのだ?」
俺は七年前にも言ったことを、あんたらにもう一回言ってやるほど優しくない。
自由はいつも、冷たくて厳しい。
流れゆく時代の踊り場で、俺はいつも確かなステップを踏む。
誰かにつられて、二段とびで先を急ぐ、あんたらの間抜けなぷりんぷりんのケツを笑いながら。
自分を信じることは、いつもこの上なく寂しい。
流れゆく時代の踊り場で、確実にステップを踏む奴はそういない。
誰かがそう言ったから。
そんな言い訳は、踊り場で一人踊る俺には使えない。
自由はいつも、悲しくて寂しい。
君も、あなたも、彼も、彼女も、俺を置いて行ってしまう。
自由はいつも一人ぼっち。
みんなになんかなりたくない。みんなはいつもひとつであって、あなたと私と君ではない。
自由はいつも辛く苦しい。
選択の責任を取るのは自分。だけど、自分に騙されることはない。
自由は君が言うように、時代遅れであり、弊害に満ち溢れ、おまけに冷酷で残酷ときている。
それでも、俺は自由を愛する。
俺はいつまでも自由でいたい。
徹底的に自由でありたい。
口を開くたびに自由でいること。言葉を書き連ねるたびに自由であること。一切の経済的制約をものともせず、言葉だけは自由であると確約する。
自由は悲しく、苦しくて、辛い。
それでも、ご都合主義のハッピーエンドよりはマシだと思う。
口当たりのよい、嘘偽りのハッピーエンドで終りたくない。
だから自由を。
悲しくて、苦しくて、辛く、冷酷で残虐であったとしても、俺は自由でいたい。