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☆政治的な正しさと「いろんな見方」

私の見方では、ウクライナ戦争はほぼ間違いなく米ロの代理戦争で、ガザ侵攻は米国と中東の反米勢力(象徴的にはイラン)の代理戦争である疑いが強い。私のこうした見方を支える情報のほとんどは米国と英国のメディアが提供している。つまり、その情報がロシアや左翼勢力のプロパガンダである可能性は低い。

それにも関わらず、日本のメディアを見ていて感じるのは、そうした私の見方は極めて少数派だということだ。一方で、日本では少数派などの「異論な見方」が封じられてきていることが、ダイヤモンド誌上での知識人の対談で分かった。

その部分をダイヤモンドから引用する。


(部分引用ここから、URLまで)

「東 チェルノブイリは最初に行ったのが2012年で、最後に行ったのが2019年ですが、キーウ(キエフ)の街中ではそのあいだでも急速にウクライナ語化が進んでいたという印象があります。ただ、僕はロシア語もそれほどできないし、ウクライナ語はぜんぜんできないので、正確なところはよくわかりません。ただ逆に、僕ぐらいわからないと、2言語がかなり似て見えるのは確かです。

茂木 それが開戦後に、ウクライナ語はロシア語よりポーランド語に近いのだというキャンペーンが時に張られるようになった。政治的な意図は明確です。本来、言葉が近かろうがどうだろうが、プーチンの行為が許容されるわけではない。これも一つの歴史過剰であるように思います。」


「東 一昔前は『いろんな見方』が論壇誌や学会などで言われていたのですが、いまはみな政治的に正しくなってしまって、なかなか自由には発言できないですね。

茂木 それは面白いね。政治的に正しいことで、科学的な客観性から外れてきている。

東 人文学には、自然科学のような客観性はもともとない。政治的な多様性だけが強みだったのに、それすら急速に失われている。

茂木 ないのか(笑)。

東 これなら学者なんていらないんじゃないのと言われても仕方がないくらい、皆同じことを言うようになってますね。」


「養老 第一次大戦から総力戦になったからね。

東 それを言うなら『戦争犯罪』という言葉だってかなり謎で、そもそも戦争自体が犯罪だと思います。

養老 そうそう。

東 でも、そういうのもいまは言ってはいけないことになっている。戦争自体が犯罪だと言うと、ロシアの味方かと非難される。」


「東 理工系の研究者は政治的正しさとは違うところで能力が測られていますから、ヘイト発言をするIT系の人がいてもそれだけでキャンセルされるわけではない。いいか悪いかはともかく、いちおうそうなっている。でも人文系は間違いなくキャンセルされる。政治的な正しさから逃れられないわけです。

茂木 養老先生が政治性とは関係なくいられるのは、解剖学だからか。とても良い学問の選択をされましたね。

養老 僕の先生だった細川宏先生という大秀才は、医学の中でいちばん確実な学問はなにかと考えて、それが解剖学だという結論を得たから解剖学に進んだと言っていましたね。」


「養老 コロナウイルス自体が政治的だからね。発生源とされる武漢の研究所は、建てたのは中国政府ですが、技術指導はフランスです。危険なウイルスを扱うP4実験室(BSL-4実験室)を作ろうとすると、どこの国でも住民から反対運動が起こる。だから中国に作られた。でも中国でそんなことしたら漏れるに決まっている。

茂木 養老先生は武漢の研究所から漏れた説に蓋然性が高いと思われていると。

養老 そのあたりが本当のところじゃないかと思っています。武漢の研究所には、米国立アレルギー感染症研究所所長であるファウチが資金提供していたという報道もありましたし、一時、中国でコロナはアメリカ製のウイルスだと騒がれていたのも、あながち無根拠じゃないんだと思います。コウモリから感染ったという説もありますが、そんなもんだったらとうの昔に流行っていたはずです。」


「茂木 養老先生はずっと健康診断も受けなかったのですよね。以前、TEDに参加したとき、会場の前で精神医療が患者を薬漬けにしていると主張している方々のデモンストレーションがあったのがとても印象的でした。日本人は従順なので、あまりそういう声は可視化されませんが、アメリカでは、製薬会社の姿勢と相まって、かなり知的に高度な議論が行われているように思います。検診を前提にした公衆衛生的な議論も、政治性を避けられないのかもしれません。

養老 僕が現職の頃は、東大医学部の医者の検診率は4割でした。医者の常識というか、過半数があんなもの意味ないと思っていたということです。いまは査定なんかに関わるからそうはいかないでしょうけれど。」

参照:養老孟司「だから俺は医療は受けないんだ」と語るワケ【養老孟司×茂木健一郎×東浩紀鼎談】


ここでは当たり前のことが、当たり前のように話合われているが、こうした見方に日常のメディアで触れることはほとんどない。これが日本の「報道の自由度」がコンゴ以下の70位である所以だろう。


上記の対談では、ロシア語とウクライナ語の「2言語がかなり似て見えるのは確か」だとされている。それもそのはずで、ロシアとウクライナは共にルーシだからだ。

ルーシとはロシアやウクライナなど東スラブを指す古名で、日本で言えば大和に当たる。大和民族が同一民族だというのと同じ意味で、ロシア人とウクライナ人は同一民族で、またロシア語とウクライナ語の違いは東京弁と大阪弁の違いよりも少ない。

私が学生時代に住んでいたアパートには鹿児島県出身のいくつか年上の社会人がいた。私が金欠になった時、親からの仕送りまでのつなぎとして、その人にいくらか借りたことがある。その人は手元にないからと、近くの同郷の友達のアパートにまで連れて行ってくれた。そして、何やら鹿児島弁で喋っていたのだが、私には皆目理解できなかった。方言を根拠に言語や民族の違いを強調すれば、日本も異民族の集合国家だということになる。そして、内戦の根拠ともされてしまう。

ウクライナ戦争後にロシア語とウクライナ語の違いが強調されているのは、政治的な正しさだと言っていい。ちなみに、ゼレンスキー大統領のスキーはロシア語の男性形容詞の語尾で、ロシア式の男性の苗字(女性はスカヤ)だが、同氏はユダヤ人だ。ソ連はユダヤ人を迫害したので、ロシアに恨みがあってもおかしくはない。また、プーチン大統領は同氏を(ユダヤ人を迫害した)ナチス呼ばわりしたので、プーチン大統領に恨みがあってもおかしくはない。


一方、ウクライナ戦争開始から半年あまりたった22年秋、ロシア正教会のトップであるキリル総主教が「ロシアの勝利を祈る」ために「聖なるルーシ」を定め、各教区はこの祈りを読み上げるよう指示された。

ところが、「聖なるルーシ」の祈りを拒否する反戦派の聖職者が後を絶たず、少なくとも19人が処罰を受けたという。ロシアの勝利を祈ることは、同じ正教徒(Orthodox Church)であるウクライナ人との殺し合いを勧めるのと同じ意味だと見なせるからだ。「聖なるルーシ」は政治的な正しさでルーシ内の内戦を正しいとしているが、それに従わない聖職者が多いことは納得がいく。

キリスト教は1054年に、ギリシャ、ロシアなどの東方正教会と、西側のローマ・カトリックとに東西分裂した。共産革命後にはロシア正教会がソ連国内と、亡命ロシア人たちが設立した西側組織とに分裂した。一方、ウクライナでは2014年に親米武装組織によるクーデターが起き、以降は親米政権が続き、19年にはウクライナ正教会がロシア正教会から分離した。

また、米欧などはウクライナとの戦闘をあおっているとしてロシア正教会を厳しく批判、独裁者プーチンに取り込まれ、その手先となった「テロ組織」だとまで見なすという表現すらある。これらはすべて政治的な正しさだ。


私が留学していた頃のオーストラリアにも共産革命から逃れてきた亡命ロシア人たちが大勢いた。メルボルンにもロシア正教会の教会があった。亡命ロシア人たちの多くは親日的で私はロマノフスキーという名のクラスメートの結婚式に招待されたが、教会も結婚式も立派なものだった。当時はロシアとウクライナの違いは関東と関西の違いくらいの認識だったので、私から見た多くの参列者たちは皆ロシア人かオーストラリア人だとの認識だった。


先日、米国はウクライナとイスラエルへの追加支援を決めた。ウクライナには既に長距離ミサイルも提供されたと報道された。一方で、ウクライナは兵員不足に悩み、傷痍軍人や女性も最前線に送られている。しかし、西側は資金援助(多くは借款)しか行わない。ゼレンスキー大統領はロシアに勝つまでは最後の1兵まで戦う覚悟のようだ。

この戦争で誰の目にも明らかになっているのは、外部からの力でルーシとその正教会が内部分裂し、お互いを殺し合い、共に弱体化していることだ。

昔の列強の常套手段は標的とした国々を内戦などで分裂させることだった。幕末の英仏などもそれを狙っていた。日本が分裂を免れたのは、他の要因もあるとはいえ、大政奉還や江戸城無血開城などで、大きな内戦を回避できたことが大きい。

現在の日本では、戦争当事国と言っていい米英よりも「政治的な正しさ」が優先され、「いろんな見方」が否定されているのではないか?

 

 


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