・マンダラチャートで乗り切れる大谷翔平の「危機」 | 矢口新の生き残りのディーリング

・マンダラチャートで乗り切れる大谷翔平の「危機」

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☆マンダラチャートで乗り切れる大谷翔平の「危機」

大谷翔平選手と一心同体かと思う程に親密に見えた通訳の水原一平氏が野球賭博にはまり、その借金を大谷選手の銀行口座から支払ったとのことで、ことの詳細が分からないままに米国では大谷選手に対するブーイングも起きているようだ。海外のメディアでは「純白のイメージが壊れた」との報道もあった。

しかし、仮に大谷選手のこれまでのイメージが純白だったとしても、生身の人間が何の色もないような薄っぺらなものであるはずもない。そんなファンの「こうあっていて貰いたい」などという願望を反映したイメージなど、壊れてしまってもいいのではないか?

もっとも、今後にことの詳細が明らかになっていくにつれて、大谷選手にどのような災難が降り掛かってくるのかは不明だ。しかし、高校時代に書いたとされる大谷翔平のマンダラチャートが示唆しているのは、大谷選手はそれを乗り切れるだろうということだ。


2010年12月6日に作成したとされる大谷翔平のマンダラチャートはネットで見ることができる。大谷選手はこのチャートに基づいて自己を鍛え抜き、チャートのど真ん中に書かれている最終目的を達成したとされている。当時の目的とはドラ1、8球団なのだが、その先に今の大谷選手がある。

そのマンダラチャートには、最終目的に達するための8つの下層目的があり、そこに達するための8つの手段が書かれている。つまり、合計64の手段を用いて自己を鍛え上げるように設計されている。

その中に、野球選手やスポーツ選手以外の誰にでも役立つような3つの下層目的があり、それぞれ「メンタル」、「人間性」、「運」をも鍛えることになっている。そこでも、それらに達するための各8つ合計24の手段が書かれている。それらは自分自身を鍛えるためのものなので、図らずも大谷翔平の人間性や思考方法が見えてしまっている。

ネットで検索すればすぐに出てくるので確認して頂きたいが、そこにはスポーツ選手などのインタビューで時折聞かれる「ビッグになる」、「親に家を建てる」などといった野心や金銭欲に関するものが全くないことに気付く。大谷選手は野球が上手くなりたい、チームで勝利を分かち合いたいだけなのだ。そのためには、身体や技術を鍛えるだけでなく、「あいさつ」や「ゴミ拾い」なども大切だと考えている。


これらはこれまでに知られてきた大谷選手の生活と整合性を保っている。日本ハム時代には寮暮らしで、収入はすべて両親が管理し、月々10万円のお小遣いだけ貰っていたようなことだ。

また、大リーグに移った時にも大谷選手は230万ドルのボーナスを提供できるロサンゼルス・エンゼルスを選び、3シーズンの間、大リーグの最低保証年俸に近い金額でプレーした。なぜなら、「自分としてはまだまだ足りない部分の方が多い選手だと思っているので、自分をもっと磨きたいというか、そういう環境に自分を置きたいと思っている」からだった。

当時、私は以下のようなコメントを配信したことがある。「原文のまま」


「・外資への転職

今季から米大リーグ、エンゼルスに移った大谷翔平選手が苦戦している。とはいえ、素質は抜群で、現地に慣れれば十分に活躍できると見られている。

では、チームの監督などが、いつまで大谷選手の『開花』を待ってくれるのかは、微妙だ。何故なら監督もまた、一戦一戦が試練の連続で、余裕のない戦いをしているからだ。このことは、大谷選手が開花しても、活躍し続けることができなければ、いつ降ろされるか分からないことを意味している。

私は、大谷選手が高校卒業後、すぐに大リーグには行かず、日本のプロ野球に行った時に、いい判断だったとコメントした。そして唯一、大谷選手を指名した日本ハムファイターズに、よくぞ指名したとコメントした。あのまま大リーグに行けば、大谷選手の素質は、そのまま埋もれていた可能性があると見ている。マイナーから大リーグに上がっていく選手は、大谷選手とは比べものにならない位、ハングリーだ。実績もないのに夢を追い、『二刀流』を許す風土は米国にはない。

また、米国の価値判断の根底にあるのが『カネ』だ。ダルビッシュ投手や田中投手などの『高給取り』は、それだけで価値が高いと見なされている。従って、スランプの時期があっても、余程のことがない限り、チームや監督は復活を待ち続けてくれる。高給取りをファームで遊ばせていることは、監督にとっては大きなリスクなのだ。『カネ』が示す誰もが認める才能を『使いこなせない』のだから。その点で、大谷選手や、ドジャースの前田投手は微妙な扱いを受けると言える。価値判断が『カネ』なので、その程度の選手はいくらでも替えが利くからだ。


同じことが、外資への転職を考えている人にも当て嵌まる。私が以前勤めていた日本の証券会社は当時、『人材供給の宝庫』とも言われ、私が一緒に働いていた、上司、同僚、後輩などで、外資系などの支社長、支店長になった人たちが沢山いた。そして、いわゆる出世した人たちは、当初からマネージャー職として転職した。スタートから『高給取り』だったのだ。

高給取りのマネージャー職は、当初から、本社の幹部と交流が持てる。私のように、1ディーラーなどで入ると、基本的な交流は支社長、支店長止まりだ。そして、私は『カネ』には拘らなかったので、逆にその程度の扱いしか受けなかった。とはいえ、私は最後までその姿勢を貫き、不満が大きくなると『転職』した。『不満があるのなら、なぜもっと早く言ってくれなかったのか』と、退職時に言われたことがある。そこが私と、外資系との考え方の違いで、私が戦う相手は相場など『外に対して』なのだが、外資では『戦いは内側から始まる』とするのが大半だ。

前田投手や大谷選手は、『カネよりも夢』をと、海を渡った。素晴らしいことだと思う。それでも大金を受け取ると言う人たちがいるが、使う側からすれば、いくらでも替えがいる程度の金額だ。マイナー選手ほどではないが、大事に扱う必要はない。ダルビッシュ投手や田中投手は、『夢を追った』とはいえ、破格の『カネ』に見合う、破格の待遇が得られるのだ。つまり、前田投手や大谷選手は普通の選手の扱いだが、ダルビッシュ投手や田中投手は特別な選手として扱われる。

外資への転職で、『カネよりも夢』を求めると、より激しい競争に晒されることになる。そして、『夢よりカネ』の人が当初から得ている扱いには、一生到達できないかもしれない。とはいえ、その扱いの基準は、結局は『カネ』だ。『カネ』はいずれ減るが、厳しい環境での体験や自信は減ることがない。前田投手や大谷選手には、もっと大きなものを得て貰いたいと思っている。」


そして、大谷選手は夢を叶え、意中のロサンゼルス・ドジャースと7億ドルの10年契約を結んだ。野球選手としては史上最高額の契約だった。とはいえ、契約期間の10年間は年間200万ドルしか受け取らず、契約が満了する2034年から、年間6800万ドルを10年間にわたって受け取ることになる。

200万ドルというのは、金利が5%台の米国では4000万ドルの金利分でしかない。つまり、最初の10年間200万ドルというのは、7000万ドルから現在価値に割り引くと年平均では4600万ドル程度となるのだ。つまり、契約の実質的な総額は7億ドルではなく、4.6億ドルなのだ。
参照:大谷翔平の大型契約と、その実態

しかし、大谷選手は今季、スポンサー契約で総額6500万ドルを得るとされている。このレベルをドジャースとの契約期間中維持できれば年間収入は毎年6700万ドルほどとなり、収入の総額は10数億ドルにもなるのだ。


ドジャースとの契約中は成績と人気に伴うスポンサーからの収入、契約後に引退してもその後の10年間はほぼ同額の収入が得られる。リスクはインフレだが、インフレ時には高金利が期待でき、その分ドル高円安になる可能性がある。こうしたドル建てでのドジャースとの契約は今後20年間のリスク・リターンが相当に計算されつくしているのだ。

また、ドジャース入団会見に先だって、大谷選手に対して日本人が行ったインタビューの様子をテレビのニュースで小耳に挟んだ。興味深く感じたのは結婚や私生活に望むことで、「平穏な生活」だった。


大谷翔平のイメージは、日本ハム時代、エンゼルス時代、「平穏な生活」を望む、そして実際に選んだ結婚相手と、すべてマンダラチャートに重なるものだ。

一方で、計算されつくしたドジャースとの契約や、大型詐欺で創業者の25年の刑期が決まったFTXの広告塔になっていたこと、スポンサー企業のポルシェを同僚の奥さんにプレゼントしたこと、野球賭博の損失の穴埋めなどは、マンダラチャートとは相容れない。

私は、そのギャップは「英語」にあると見ている。

ドジャースとの契約や、FTX、ポルシェなどスポンサーとの契約文書は日本語でなされているのだろうか? 英語圏でのイメージ造りを含め、水原一平氏でなくても、誰かが翻訳、通訳し、大谷選手に説明、助言しているはずだ。銀行の口座開設から何もかも、英語のできる誰かが手伝っているに違いない。マネージャーや代理人に任せきりの可能性すらある。つまり、日本ハム時代の両親に代わって、英語のできる誰かが助言、あるいは管理しているのだ。


ギャンブル好きな通訳の立場を考えて見よう。40州では合法とされているが、ほとんどは前払いのみが合法で、胴元が賭博資金を貸し付けるのは違法である場合が多い。また、違法でなくても、返せる見込みのない人に大金を貸す賭博の胴元などいない。逆に返せる見込みのある上客には、あの手この手で大きく賭けさせるような世界だろう。

水原氏が多額の借金をできたということは、少なくとも賭博の胴元は、大谷選手の裏書があると見なしていたことになる。それが嘘だったとなれば、最悪の場合には命にも関わる事態となる。だからこそ、米国では複数の当局が動いているのではないか?

悪いのは水原氏なのかも知れないが、大谷選手と出会わなければ、どんなにギャンブル好きでも自己破産程度で済んでいたはずだ。プライバシーを暴かれるようなこともなかった。

天国から地獄へ、運命とは恐ろしいものだと思う。仮に、それを承知で水原氏を助けるために、大谷選手自身が送金していたとしても、マンダラチャートに見られる大谷翔平ならば有り得たのではないか。しかし、それは大谷選手が野球賭博に関わったことにはならないのではないか?


今後の展開はまだ分からない。とはいえ、大谷翔平のマンダラチャートには、「一喜一憂しない」、「継続力」、「プラス思考」などもあるので、今後も野球選手としての活躍を続けてくれることだろう。
 

 


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