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・カネによる票と政策、言論支配の世界

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☆カネによる票と政策、言論支配の世界

12月8日に開かれた国連安全保障理事会の緊急公開会合では、イスラエルとハマスの即時停戦を求める決議案が、米国が拒否権を発動したために否決された。日本やフランスを含む13の理事国は停戦決議案に賛成、英国とUAEは投票を棄権した。

イスラエルのガザに対する攻撃は、死傷者が子供や女性たちに偏り、飢餓や医療崩壊、生活破壊に繋がっているとして、世界的に人道上例を見ない悲惨なものだとされている。

一方で、米国はイスラエルには自衛権があるとして、停戦決議に拒否権を発動するだけでなく、大型の地中貫通型爆弾を含め、大量の武器をイスラエルに送り続けている。地中貫通型爆弾とは、ハマスがガザに張り巡らしているとされるトンネルを破壊しようとするものだが、それは同時に子供や女性たちが避難している防空壕をも破壊する。

また、ウォールストリート・ジャーナルは、イスラエルはそうしたトンネルや地下施設に海水を流し込んで水没させる計画を進めている報道した。

世界中が非難している、こうしたイスラエルが進めるガザの住民の事実上の集団虐殺を、どうして米国だけが支援しているのだろうか?

実際には、米国全体がイスラエルの行動を支持しているわけではない。米国のメディア自身がガザでの悲惨な状況、イスラエルの過激な攻撃、それを支えている米政府の武器支援を積極的に報道しているように、イスラエルの民間人攻撃には批判的だ。

中でも、大学生を含む若い人たちのイスラエル批判は強く、米政府支持の中高年層とは世代間分断が広がっているとも報道されている。

また、そうした大学生たちを生み出した大学にも責任があるとして、ハーバード大学、MIT、ペンシルバニア大学などでは、学長解任の動きが広がっている。その動きを表立って先導しているのは、大学への大口の寄付者たちだ。これまでも、ユダヤ人は米国の金融機関やメディア、ハリウッドなどを支配しているとされてきたが、彼らが寄付金の引き上げを表明して、大学に大きな圧力をかけてきているのだ。

米国では政策を作成し議会を通過させるには、ロビイストの力が事実上不可欠だとされているが、ロビイストを雇うには高額の資金が必要だ。このことは、米国の対イスラエル政策は、米国政府による大量の武器支援やイスラエル国債の元利金保証も含め、ユダヤ人たちがロビイストを通じて作成し議会を通過させてきたことを示唆している。見方を変えれば、米国は一部、イスラエルの過激勢力に乗っ取られているのだ。

これは他人事ではない。山上徹也容疑者による安倍晋三元首相暗殺事件が教えてくれたのは、他国の宗教法人が日本政治の最大派閥を通じて、日本の政策を決めてきた可能性だ。その宗教法人は米国政治にも影響力を与えてきたので、米国からの外圧を通じてでも日本政治に影響を与えてきた可能性すら否定できない。

そうであれば、1990年代からの相次ぐ外圧のなか、世界で日本だけが経済成長を止めたことへの有力な理由を提供する。見方を変えれば、日本は一部、他国の宗教法人に乗っ取られているのだ。現在形で書いているのは、現在でも同じ政治とカネの問題が続いているからだ。


ところで先週のCNNの報道では、「10月7日のハマス攻撃の数日前にイスラエル企業の価値が下落するとの投機が急増した。これはトレーダーたちのなかに、迫りくるテロ攻撃を前もって知り、利益にかえた者たちがいたことを示唆している。月曜日に発表された新たな調査で分かった。

コロンビア大学とニューヨーク大学の法学教授たちによる専門家同士の相互評価を得ていない予備調査は、イスラエル企業の価値に連動する最も人気のあるファンドに対する空売りが、攻撃の5日前に『著しく』かつ『異常に』急増したと詳述している」とされた。

参照:Unknown traders appear to have anticipated October 7 Hamas attack, research finds 


イスラエルはイスラエルの証券取引所では異常な動きが見られなかったと反発したが、CNNはイスラエルの証券取引所ではなく、米市場で起きたことだと反論した。

米国の一部投資家たちがハマスの奇襲攻撃を前もって知っていた。そんなことなどあり得るのだろうか?

ここで当時の状況を以前引用した記事から振り返って見る。


現地では何が起きたのか? 鉄のドームと呼ばれていたイスラエルの鉄壁な防衛システムが如何にして破られたのか、目にしたいくつかの記事の中から、事態を理解するのに最も役立ったニューヨーク・タイムズの記事を、紹介した東洋経済オンラインから引用する。

(以下に全文引用、URLまで)

ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」
中東随一の「セキュリティ網」なぜ突破された?
The New York Times

10月7日の夜明けにイスラエルへの奇襲攻撃が行われる前、イスラエル情報部は、監視しているパレスチナ自治区の武装勢力のネットワークの一部で活動が急増しているのを察知していた。イスラエルの治安当局の高官2人によれば、異変を察知した彼らは、ガザ地区国境を警備するイスラエル軍兵士に警告を送った。

ところが、兵士がそれを受け取らなかったか、兵士がそれを読まなかったために、警告は実行されなかった。

遠隔操作を「阻止」
その直後、ガザ地区を支配するイスラム勢力の1つ、ハマスが無人偵察機を送り込み、イスラエル軍の携帯通信局と国境沿いの監視塔のいくつかを機能停止させ、当直将校がビデオカメラで遠隔監視するのを妨げた。ドローンはまた、イスラエルが国境の要塞に設置した遠隔操作の機関銃を破壊し、地上攻撃に対抗する重要な手段を取り除いた。

そのため、ハマスの戦闘員が国境フェンスに近づき、その一部を爆破したり、数カ所で驚くほど簡単にブルドーザーで破壊したりすることが容易になり、何千人ものパレスチナ人がその隙間を通り抜けることができるようになった。

センシティブな案件であり、現段階での評価しかできないとの理由で匿名を条件に取材に応じたイスラエル安全保障当局の4人の高官によれば、当局による後方支援や情報面でのさまざまな不手際は、ガザからイスラエル南部への侵入を容易にした。

イスラエルの20以上の町と軍基地への大胆な侵入は、過去50年間で最悪のイスラエル防衛網の破壊であり、国民の安全意識を打ち砕いた。何時間にもわたって、中東最強の軍隊は、自軍よりはるかに戦力的に劣る敵を反撃する力を失い、下着姿の兵士を含む900人以上のイスラエル人を殺害し、少なくとも150人を拉致、4つの軍事キャンプを制圧し、イスラエル領土の30平方マイル以上にわたって拡散した攻撃者集団に対してほとんど無防備のままだった。

安全保障上4つの致命的失敗
この4人の当局者は、初期の評価に基づくと、ハマスによる攻撃の成功は、イスラエルの情報機関や軍による以下のような安全保障上の失敗に根ざしているとしている。

・パレスチナの攻撃者が使用する主要な通信チャネルを監視する情報将校の怠慢
・国境監視装置に過度に依存し、攻撃者が簡単にシャットダウンできたため、攻撃者が軍事基地を襲撃し、兵士を寝床で殺害することができた
・侵攻の初期段階で制圧された単一の国境基地に司令官を集中させ、他の軍隊との連絡を妨げたこと
・そして、パレスチナ人がイスラエルに監視されていることを知りながら民間チャネルで行った、ガザ地区の軍事指導者たちによる「戦闘の準備はしていない」という主張を額面通りに受け入れる姿勢
「われわれはハマスの情報収集に何十億も何百億も費やしている」とイスラエル国家安全保障会議の元高官ヨエル・グザンスキーは語る。「そして一瞬にして、ドミノ倒しのようにすべてが崩壊した」。

最初の失敗は攻撃の数カ月前に起こった。イスラエルの安全保障担当者が、ハマスがガザからイスラエルにもたらす脅威の程度について誤った推測をしたためだ。

ハマスが過去1年間に2度の戦闘に参加しなかったことで、ガザの小規模武装組織であるパレスチナ・イスラム聖戦が単独でイスラエルに対抗できるようになった。先月、ハマス指導部はまた、カタールの仲介による合意で、国境沿いの暴動を終結させ、エスカレートは考えていないとの印象を与えた。

ハマス側の「演出」にだまされた?
イスラエルの国家安全保障顧問であるツァチ・ハネグビは、襲撃の6日前にラジオのインタビューで、「ハマスがこれ以上反抗することの意味を理解している」と語った。

イスラエル情報当局が先週、国の防衛に対する最も差し迫った脅威について上級安全保障責任者に説明した際、彼らはイスラエル北部の国境沿いのレバノン過激派がもたらす危険に焦点を当てた。ハマスによる活動についてはほとんど触れられなかった。情報筋によると、イスラエル当局は、ハマス自体が抑止力になっていると伝えたという。

イスラエル諜報機関によって盗聴されたハマスの工作員たちによる通話では、2021年5月に起こった2週間にわたる衝突の後、すぐにイスラエルとの再戦を避けようとしているように感じたと、イスラエル政府高官の2人は語る。イスラエル諜報機関は現在、これらの通話が本物か演出かを調べているという。

次の失敗は作戦上のものだった。

2人の高官によれば、イスラエルの国境監視システムは、遠隔操作可能なカメラ、センサー、機関銃にほぼ全面的に依存していたという。

イスラエルの司令官たちは、このシステムが難攻不落だと過信していた。司令官らは遠隔監視と武器、地上のバリア、ハマスがイスラエルにトンネルを掘るのを阻止する地下の壁などがあれば、ガザからの大量侵入の可能性が低くなり、国境線に沿って物理的に駐留する兵士の数を減らすことができると考えていた。

長年、イスラエル南部の地上部隊を指揮し、2003年から2005年までイスラエル国防軍の作戦部長を務め、最近、戦争のために再び予備役として採用されたイスラエル・ジブ退役少将によれば、この体制が整ったことで、軍はヨルダン川西岸を含む他の懸念地域に兵士を移動させ、部隊の数を減らし始めたという。

「部隊の間引きは、フェンスの建設と、あたかもフェンスが無敵で何者も通過できないかのようなオーラを醸し出していたため、合理的に思えた」とジブは話す。

遠隔操作システムの「脆弱性」
しかし、遠隔操作システムには脆弱性があった。遠隔操作で破壊することも可能だったのだ。ハマスがその弱点を利用し、監視システムとの間で信号を送受信する携帯電話の電波塔を攻撃するためにドローンを飛ばしたと、関係者や、7日にハマスによって利用され、ニューヨーク・タイムズによって分析されたドローンの映像は示している。

携帯電話の信号がなければ、システムは役に立たない。前線後方の司令室に配置された兵士たちは、ガザとイスラエルを隔てるフェンスが破られたという警報を受け取れず、ハマスの攻撃者がバリケードをブルドーザーで壊している場所を映したビデオを見ることもできなかった。さらに、バリアはイスラエル当局が予想していたよりも簡単に突破できることが判明した。

そのため、1500人以上のハマスの戦闘員が国境沿いの30近い地点を突破し、そのうちの何人かはハングライダーでバリケードの上を飛び、少なくとも4つのイスラエル軍基地に到達した。

イスラエル政府関係者の1人が公開した写真によれば、多数のイスラエル軍兵士が宿舎で寝ているところを銃撃された。中には下着姿の兵士もいた。

第2の作戦上の失敗は、陸軍ガザ師団の指導者たちが国境沿いの1カ所に集まっていたことだ。イスラエル政府関係者2人によれば、基地が制圧されると、幹部のほとんどが殺されるか、負傷するか、人質に取られた。

この状況は、無人機による空爆によって引き起こされたコミュニケーションの問題と相まって、協調的な対応を妨げていた。このため、イスラエルのほかの地域から反撃に駆けつけた司令官を含め、国境沿いの誰もが攻撃の全容を把握することができなかった。

反撃の指揮を執ったイスラエル軍司令官のダン・ゴールドファス准将は、「さまざまなテロ攻撃の全体像を把握するのは非常に困難だった」と語る。

ある地点で、同氏は偶然、別隊の司令官と出会った。その場で2人は、それぞれの部隊が奪還を試みる村をその場その場で決めた。「自分たちだけで決めた」とゴールドファスは語る。「そうやって村から村へと移動していった」。

数分で着くところに数時間かかった
こうしたことから、特に初期の段階では、テルアビブの軍最高司令部に事態の深刻さを伝えるのは困難だった。

その結果、多くのコミュニティで攻撃の報告がソーシャルメディアに上がっても、大規模で迅速な航空援護が直ちに必要だとは誰も感じなかった。イスラエル政府関係者と奇襲の生存者の2人によれば、空軍は飛行時間にしてわずか数分の距離に基地があるにもかかわらず、この地域の上空に到着するまでに数時間を要したという。

この事態はイスラエルの安全保障に壊滅的な打撃を与え、信頼できる軍事パートナーとしてのイスラエルの地域的評判を損なう可能性もある。

7日以前は、「イスラエルは安全保障問題において、この地域の多くの国にとって資産だった」とグザンスキーは言う。「今のイメージは、イスラエルは資産ではないというものだ」。

イスラエル安全保障局は、最初の失敗の規模に異論はない。しかし、戦争が終わってからしか本格的な調査はできないとしている。

「まずはこれを終わらせる」と、軍のスポークスパーソンであるリチャード・ヘクト中佐は、軍がこの地域における支配権を取り戻そうとする準備をする中でこう語った。また、失敗についても「調査されるはずだ」と語っている。

(執筆:テルアビブ=Ronen Bergman記者、エルサレム=Patrick Kingsley記者)

(C)2023 The New York Times
参照:ハマス襲撃を許したイスラエル「4つの大失敗」


その後に報道されたことは、かねてからイスラエルだけでなく、米国の情報機関もハマスの動向をほぼ完璧に把握していたということだ。天井のない監獄と呼ばれる狭い地域で、電気、水道、ガス、通信をすべて握っているイスラエルと米国が、ニューヨーク・タイムズが報道したように、その時だけに限って、「油断していた」というのだろうか?

ハマスの急襲では、イスラエル人に多くの被害者が出た。そのことで窮地に追い込まれた人たちのなかには、パレスチナ人との共存を望むイスラエル人たちや、ネタニヤフ政権への反対勢力がいる。一方、ネタニヤフはイスラエル軍の誤爆で死んだイスラエル人たちに対しても、「人生とはそんなものだ」と発言して非難されたとされる。

そんな中、米国内ではハマス急襲の5日前に、当地で「異常事態が起きる」ことを見越して、通常では有り得ない程の大金を賭けていた人たちがいたというのだ。

そしてハマス急襲の後は、7月に最高裁からの司法チェックをはく奪した、かねてから対パレスチナ強硬派のイスラエルの現政権が、ハマス殲滅、ガザ全面攻撃に動き出した。

米国では債務上限問題でバイデン政権が苦しんでいるタイミングだった。バイデンは「イスラエルとウクライナ支援の緊急財政」を訴え、9月には米史上で初めてだった下院議長解任を伴なった大問題を、目立った報道もなくすんなりと乗り切った。

これが全くの偶然か、それとも念入りに仕組まれた上での行動なのか、いずれ真相が解明されるかも知れない。

世界で民主主義が危機にあるという。贈収賄によって政府が一部の者の便宜を図り、一般大衆に損害を与えることは犯罪だ。しかし、多くの国々では票や政策がカネで買われている。世界的な貧富格差を広げる税制もまた、カネで買われた可能性がある。民主主義が、カネによる票と政策、言論支配の構築に利用されている。

 

 


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