・オオカミ少年? 繰り返される行動制限 | 矢口新の生き残りのディーリング

・オオカミ少年? 繰り返される行動制限

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☆オオカミ少年? 繰り返される行動制限

オミクロン株の「蔓延」より、世界各地でなにがしかの行動制限が再開されている。それによって、多くのスポーツイベントなども中止や延期に追い込まれた。

日本政府はいち早く南アフリカとその周辺国からの入国制限を発表したが、欧州では南アフリカとまったく接点のない人々からも患者が出ていることから、発生地は他にもあると言われている。

南アフリカ政府は、真っ先に発表したことで不当な制限を受けるのは納得できないとしている。これでは、「隠した者勝ち」になる恐れがあるからだ。

また、日本帰国者への国際線予約の受付をめぐっては、政府の拙速な指示が現場を混乱させた。

オオカミ少年の背景にあるものは、本当にあったオオカミの脅威だ。オオカミ少年はその脅威を笠に着て警告を連発したことで、村人たちが疲弊してしまい、結果的に大きな悲劇に繋がった。

オミクロン株も、政府の対応や、報道の過熱ぶりからすると「蔓延」なのだが、実際の患者数は今のところ多くなく、ほぼ全員が軽症だとされている。


「欧州連合の専門機関である欧州疾病予防管理センターは3日、新型コロナウイルスの変異型『オミクロン型』の感染者が16カ国で109人だったと発表した。現時点では無症状か軽症が目立ち、死者の報告はない。世界保健機関にも死亡の報告は入っておらず、冷静な対応を呼びかけている。」

「世界では35カ国で486人を確認した。南アフリカの国立感染症研究所によると、11月の新型コロナ感染の74%がオミクロン型だった。10月はデルタ型が92%で、急速にオミクロン型に置き換わった。重症者の割合はこれまでの流行時よりも低く、ワクチンなどでできた免疫が一定の効果を発揮している可能性がある。」

参照:欧州、オミクロンの死亡報告なし WHO「冷静対応を」


「ワクチンなどでできた免疫が一定の効果を発揮」しているのは間違いがないと思われるが、南アフリカのワクチン接種率は低いので、そもそもオミクロン株は、これまでのコロナに比べると脅威ではない可能性があるのだ。

ワクチン接種が重症化を防ぐことに嘘はないのだろうが、オミクロン株ではワクチン接種者も未接種者も、再発者も軽症だとされている。

11月26日に世界の金融市場をオミクロン・ショックが襲った2日後に、ロイターの取材に答えて、南アフリカ医師会会長はオミクロン株の症状は「非常に軽い」と発言した。


「患者のなかにコロナウイルスの変異株があるのを最初に疑ったうちの1人である南アフリカの医師は、日曜日に、オミクロン変異株の症状はこれまでのところ軽く、自宅治療できると述べた。

開業医で南アフリカ医師会会長のアンジェリーク・コッツイー博士が、ロイターに語ったところでは、11月18日に博士は同氏の医院で、流行中のデルタ変異株とは違った症状の7人の患者に気付いた。とはいえ、『非常に軽度だった。』

『患者のほとんどは、非常に軽い症状を示し、これまでのところ、誰も手術には至っていない。我々はこれらの患者たちを自宅治療することが出来ている』と、博士は述べた。

ワクチンに関する大臣諮問委員会のメンバーでもあるコッツイー博士は、デルタ株とは違い、これまでのところ患者たちから嗅覚や味覚の喪失が報告されておらず、新型変異株に伴う酸素水準の大幅な低下も見られないと述べた。」

参照:S.African doctor says patients with Omicron variant have "very mild" symptom


一方で、オミクロン株は「これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取り」しているとして、警戒を訴える専門家もいる。


「イギリスや南アフリカで最初に確認されたアルファ株やベータ株、インドで確認されたデルタ株など、これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある。

実際にデルタ株の感染が減る一方でオミクロン株が増えていくのであれば、未知な部分が多いだけにかなりの警戒が必要だ。

デルタ株の流行が続いているアメリカではデルタ株とオミクロン株のせめぎ合いが起きる。一方、今、日本にはほとんど感染者がいない。そこにポンッと入ってくれば、一気にオミクロン株が主流になって広がる可能性もある。」

参照:ゼロからわかる変異株の大物「オミクロン」の正体


とはいえ「非常に軽い症状」だということは、「悪いところを総取り」されても、それほど大きな問題にはならないという意味ではないのか?

上記は東洋経済からの引用だが、同誌はJPモルガン・チェースのアナリストの見方だとして、以下のコラムも掲載した。


「重症度が低く感染力の強い株がより重症度の高い株を急速に駆逐するというウイルスの過去のパターンに適合している。従って、オミクロンは新型コロナパンデミックを季節性のインフルエンザに近いものに変容させる可能性がある。」

参照:オミクロンの出現はコロナ蔓延終焉のシグナルか



ワクチンは効果的だが、様々な要因でワクチン接種が進まない国は数多い。しかし、「非常に軽い症状」で免疫が獲得できるのだとすれば、オミクロン株は神様の采配だと考えてもいいのではないか? それで世界的に集団免疫が獲得されれば、コロナは人類と共存できる疫病になる。

また、ドイツ銀行が29日に行った調査では、「10%の投資家だけが、オミクロン株が年末の金融市場の脅威だと見ている」ことが分かった。


「投資家たちは、オミクロン変異株が金融市場を揺さぶる可能性を退けているわけではないが、ほんの少数だけが、来月末に2021年の株式市場が終わりを告げる時にも最大懸念であると見ていることが、月曜日にドイツ銀行が行った緊急顧客調査で判明した。

1569の回答をもとにした調査では、わずか10%だけが12月31日の金融市場で、変異株が『最大の材料』であると見なしている。一方で、60%が問題としては留まるだろうが、『中程度の重要性でしかない』とした。残る30%は、変異株は『概ね忘れ去られる』と見ている。

世界保健機関は月曜日に、オミクロン株の世界全体のリスクは『非常に高い』と述べた。ジョー・バイデン大統領は月曜日に、一部の欧州の人々が直面しているロックダウンのような行動制限に、米国人が取り組む必要はないだろうと述べた。」

参照:Only 10% of investors see omicron as biggest threat to financial markets by year-end: flash poll 


また、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルは、行動制限のような継続不可能なコロナ対策はむしろ弊害が大きく、ワクチン接種に加えて、手洗い、マスク着用、物理的な距離を置くことが、効果的だとした。

手洗いとマスク着用は、平均では感染率を51%押し下げる効果があるとされるが、手洗いはやり方次第で80%を超える効果がある反面、逆効果となることもあるようだ。一方、マスク着用は安定して大きな効果があり、ソーシャルディスタンスもそれなりの効果があるとされる。

図01:コロナ対策の効果


参照:Effectiveness of public health measures in reducing the incidence of covid-19, SARS-CoV-2 transmission, and covid-19 mortality: systematic review and meta-analysis


行動制限を極端に推し進めることは、身動きせずに息を止めることだが、継続不可能で弊害が大きいことは疑いがない。とはいえ、旅客観光宿泊業や飲食業、音楽芸能関係などは、業態としては身動きせずに息を止めることを強いられた。

オオカミ少年はどこにでもいる。その警告を自分で判断せずにそのまま伝えるのが、真っ先に情報を手にした大人や、村人の代表の役目ではないと思うのだが。



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