今日、ろう高齢者たちが

「◯◯さん…」と手話で話をされていました。


久しぶりに見た名前で、どうしてその名前が出てきたか尋ねると、


「今どうしてる?」と逆に聞かれました。

同時にその方の奥様から偶然、私のスマホに電話が入りました。


でると、つい先日、◯◯さんがご逝去(他界)されたという話でした。

そうです。ろう高齢者たちは新聞の訃報をみて「お亡くなりなったのでは?」と話されていたのです。


奥様から

「武藤さんに夫の他界の連絡(ろう者の仲間たち)は任せるから宜しくお願いします」と、電話越しの深々とお願いされました。


その後、すぐにろう協の会長に連絡して、施設に来ていたろう高齢者の方々に訃報をお伝えしました。あわせて、みなさんでご冥福をお祈りしました。


***

その方は、2年前まで私たちが任意団体だった時にいつも茶話会に参加していた方でした。

奥様がきこえる方で手話ができないと話されていて、私が通訳をしながらご主人と奥様と話をしていました。


徐々に寝たきりの時間が長くなり、施設がいよいよ出来るという時に奥様から


「病院に入院しました」と連絡がはいり、それ以降ご自宅に戻ってくる事はありませんでした。


その方は学校にも行ったことがなくて、唯一の言語は手話でした。職人だったこともあって仕事熱心で、変形してしまった指で簡単な手話しかできませんでした。それでも笑顔は可愛らしくて、甘い物は大好きな方でした。


入院後、私はせめてもと思い、柏崎市の手話の本を入院先に届けました。病室に置いてもらい、看護師さんや来訪者が少しでも手話で話してもらいたいという切なる願いでした。


その方がどんな最後だったのか、私は知る由もありません。ただ、最後の最後に手話で話した言葉を周りの方が知ることができたのか?


また、手話で最後に話しかけてあげられる人は病院や施設にいたのかと思うと、悔しい気持ちになります。



高齢ろう者は、このようにひっそりと息を引き取ります。誰にも最後の言葉を告げず、手話で最後の言葉を表してもわからないまま亡くなり、周りの友人達にも亡くなった連絡が入ることも少ないようです。



施設の高齢ろう者に、私からひとつお願いをしました。


「みなさんは入院とかしないように、ずっと元気でいて下さい。なんとか県全体でろう者が安心して入れる老人ホームを作れるように頑張るんで、どうかそれまでずっとここに通って下さい🙇‍♂️」と



今は元気でも、明日はどうか分からない老いていく日々

その中でも期待や希望してくれる人がいる限り

奔走🏃‍♂️していきたいと誓った日でした。