骨蔵器/忠骨蔵ってなんだろう?

 

東京都あきる野市の乙津に小さな神明社があるが、参道入口付近に大砲の玉の形をした珍しいモニュメントがある。長年、石造物の調査を続けているが、この不思議なモニュメントの意味がよく分からなかった。ところが、あきる野市から300kmほど離れた信州高遠町にある高遠城址公園内に同じような大砲の玉の形をした「忠骨蔵」があった。さっそく、インターネットで検索してみたが「忠骨蔵」では何もヒットせず、代わりに「骨蔵器」にすると何件かヒットした。これまで意味不明だった大砲の玉の形をしたものは、中に人骨が収めてあるようである。「骨蔵器」というのは奈良時代の頃から人を火葬した後、その人骨を入れる容器として古い歴史があるのも分かった。ただ、近年になってこのような大砲の玉を骨壺のように使った例は余り聞かないので、恐らく戦没者の遺骨を納めた容器なのだろうと思う。とてもミステリーである。

 

神明社(あきる野市乙津)参道にある大砲の玉型のモニュメント

 

高遠町城址公園にある「忠骨蔵」と刻印された不思議なモニュメント