初詣の縁起から読み解く石造物の配置
先に述べたように、昭和生まれの人間にはよく分かると思うが、正月の初詣で神仏に祈願するのは「交通安全・家内安全・商売繁盛」だったのである。ところが、神道においては「家内安全」は大黒天で、「商売繁盛」は弁財天と相場が決まっているので、仏教の神さまを表に出すわけにはいかない。そこで考え出されたのが本地仏というものだと思われる。本地仏というのは、ここのブログでも以前取り上げたが、神社(神道)でご祭神とされている神々は元を辿れば仏教の仏さまという考えなので、初詣の時にお参りするときに弁財天や大黒天を表面に出さないことも頷けるのである。
日本の三大縁起には「甲子は甲子待ちとして大黒天を祀り、庚申は庚申待ちとして帝釈天を祀り、己巳は己巳待ちとして弁財天を祀る」と出てくる。
今でも初詣の時の大願成就に三体の神々が暗に表現されている
貴志嶋神社(あきる野市)の例
あきる野市にある貴志嶋神社も鳥居の前に庚申塔、本殿は市杵嶋姫命(イチキシマヒメノミコト)即ち弁財天、奥の院には大黒天が祀られていて、穴沢天神社と形式が同じだという事が分かる。こういう研究の仕方を民俗学者の桜井徳太郎は「比較民俗学」という表現を使って、古文書などの証拠書類が無くても比較するものがあれば十分な証拠となると解説している。
貴志嶋神社に見られる庚申・己巳・甲子

