石造物調査研究の基本とは

 

私も石造物の調査研究を始めてから既に20数年ほど経過しているが、最近になって石造物調査の基本というものに気づき始めたように思う。調査研究を始めた頃は、とに角、がむしゃらで路傍の石造物を見ては写真に収めたり、図書館に出かけて郷土史などを調べて見たりで、振り返ってみると「心」というものが確立していなかったように思われる。最近になって気がついたのは、先ず、自分の調査する範囲というものを自覚することだと決めた。石造物調査研究の基本は「心、技、体」に分ける事ができる。「心」は主に民俗学や郷土史、民間伝承などのことで、石造物を建立した背景を読み取ることができる。次に「技」であるが、これは昔から伝承されている各地で活躍していた石工、その技法などを調べること、最後に「体」であるが、これは主に各地に残されている石造物のデータベース化である。この三つが揃って石造物文化というものを伝承していけるのではないかと考えている。従って、今の私が注力しているのは、基本の中の「心」の部分である。

 

何事も基本がしっかりしていないといけませんね

 

「心」とは

 

主に、民俗学やら民間信仰、郷土史などで伝えられているもので、ここから石造物を建立した背景を読み取ることができる。

 

民俗学、民間信仰などに石造物を建立した背景が読み取れる

 

「技」とは

 

これは主に石工たちの研究である。石工たちは、もともとは石垣工事にあたった職人たちから文字、造形職人たちなど様々な石工のことで、石工たちは特定の親方から派生して、そこから全国に進出していった過程があり、学術的にも大事な調査項目である。

 

石工たちのルーツや技法を調べることも大事な研究項目

 

「体」とは

 

この「体」は大切な調査項目だと思われる。各地に残る古い石造物をデータベース化していくことである。恐らく、全国各地の自治体ではデータベース化しているところは少ないと思われる。少なくとも後世に伝承していく為にはデータベース化が最低限必要である。

 

石造物文化を後世に伝承していくために「データベース化」が必要