黄金埋蔵伝説は仏教の極楽伝説上不可欠だったから
これまでに各地にある黄金埋蔵伝説を調べてきたが、共通点が伝説の文言「朝日さし、夕日輝くその奥に行って帰って杖の下」、これは東京都檜原村に伝わる黄金伝説であるが、日本各地に伝わる黄金埋蔵伝説も内容は多少異なるがほぼ似たような内容である。この謎解きにヒントを与えてくれたのが九州は長崎県佐世保市にある九十九島の伝説である。
東京都檜原村に伝わる黄金埋蔵伝説
山々に囲まれた東京都檜原村
時坂峠に建立されている「人頭杖(にんとうじょう)」:これが杖の下と読まれる
月信仰から謎が解けてくる!
長崎県佐世保市には有名な九十九島が広大に広がっている。その九十九島の中に「金重島(かなえじま)」がある。これまで調べてきた月信仰から紐解いていくと弓張岳(二十三夜)」、九十九島(百番巡礼)、金重島が組合せとなっているらしいというのが分かってきた。これはかつて死者を「うつぼ舟」と呼ばれる小さな舟に乗せて大海に出航させる「水葬」伝説から読み解いていくと極楽浄土は黄金で輝いているという仏教で伝えられている説話とピッタリ一致する。すなわち、死者が「うつぼ舟」に乗せられていく行き先に「金重島」があるということが分かってくる。
水葬、かつて死者を「うつぼ舟」に乗せて大海に出航させていた
弓張岳(二十三夜)、九十九島(百番巡礼)、金重島(極楽)が一体となっている
地名と石塔の組合せ(二十三夜塔/百番供養塔)から同じことだと分かる
一般的に阿弥陀三尊と呼ばれる組合せから謎が解けてくる
阿弥陀如来が降臨している極楽浄土は黄金に輝いていると伝えられている
仏間と呼ばれるお寺の内陣も黄金に輝いている
とに角、古い石造物を調べていくと昔の人々の死後の世界の考え方(死生観)が手に取るように見えてくるから、ミステリーの好きな人にはお勧めの分野でもある。