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早くも2023年も12月を迎え、残りわずかとなりました。

 

石造物の研究で見落とされてきたものとは

 

石造物と言うと一般の人々は昔の人々が残したストーンモニュメント程度の知識しか持たれていないと思われる。

その大きな原因は下の図にもあるように、よく言われるところの「心技体」の中の「心」の部分が見落とされてきたからではないかと思う。ストーンモニュメントと単に考えても建立するのに今の「お墓建立」と変わらないほど、昔は金銭的に言えば一基建立するのに100万円以上はかかっていたのである。そのことを考慮すると当時として石造物を建立するのに100万円以上かける必要性があったからだと思われる。これまでの石造物研究で一番抜けてきたと思われるのは「心」の部分で、それは主に民俗学やスピリチュアルな世界の研究である。

 

 

「三密」と阿弥陀三尊

 

石造物の世界には「三密」という言葉が昔から使われてきた。最近、この言葉はコロナウィルスがまん延してよく「密閉・密集・密接」として使われているので、古代の「三密」と重ね合わせて誤解されるかも知れない。ここで紹介するのは西多摩地方でみられる所謂「三密」である。仏教の世界では「阿弥陀三尊」という教えがあり、阿弥陀如来を主尊として脇侍に聖観音と勢至菩薩が配置されたものである。

 

※画像はフリー画像からお借りしました

 

西多摩地方にみられる「三密」

 

西多摩地方ではこの「三密」があきる野市の寒念仏塔、八王子市の二十三夜塔、檜原村の百番塔に刻まれた種字(梵字ひと文字で神仏を表す時に使用される)で阿弥陀三尊が構成されているらしいのが分かってきた。地図で表すと下図の通りである。

 

 

①あきる野市の寒念仏塔

寒念仏塔の上段に種字で「キリーク(阿弥陀如来」が刻印されている

 

②八王子市の二十三夜塔

二十三夜塔の上段にサク(勢至菩薩)が刻印されている

 

③檜原村の百番供養塔

百番供養塔の上段にサ(聖観音)が刻印されている。

 

以上のように石造物を観察(見る)場合には、民俗学やスピリチュアルな知識が必要と思われる例である。