「かあご石」とは何か

 

東京都あきる野市瀬戸岡(せどおか)には神明の森と呼ばれる神社がある。そこの神社の裏にあった赤色の巨石を地元の人々は「かあご石」と呼んでいたが、何故「かあご石」と呼ばれていたか伝えられていない。その「かあご石」は昔から祟りがあると恐れられていて、地元の人でも触れるのを嫌がっていたらしい。その「かあご石」を地元の一部の人々は通行に邪魔だといって大正15年に青年部の男たちが長老たちの了解を取って移動しようと周囲を掘り出した。その結果、「かあご石」の下から石積みの石室が姿を現したという。専門家の調査の結果、大正15年に「かすみ野古墳」の名称で当時の東京府に史跡登録され、昭和43年に旧跡瀬戸岡古墳群に名称が変更されている。現在、石室発見の元となった「かあご石」は神明社の周囲を調べてみたが痕跡は見られなかった。

 

                「かあご石」が神社裏にあった神明社

 

塚場にある不思議な巨石

 

下の地図でも分かるように神明社から少し離れた市役所界隈の黄色で囲ったあたりが古地名「塚場」である。所謂、考古学的には墓場ということになる。その一角に不思議なことに巨石がひとつある。農家の方に聞いても昔からここにあるので理由は分からないという。地質上の問題であれば周囲に同じような巨石が散在していてもおかしくないが、広い塚場の中にある巨石はこの一つしかない。考えられるのは人為的にこの場所に誰かが運んできたものだろう。この塚場には謎の巨石から500m程西に大きな古墳があって、昔は「王塚」と呼ばれていたが現在は「大塚」である。不思議な巨石があるのは「かあご石」のあった神明社から南東に1Kmほど行った塚場辺りにあるので、「かあご石」と同じようなものではないかと考えている。

右側の黄色の線で囲んだ部分が「塚場」、神明社から1Kmほど離れている

小さい黄色の枠は瀬戸岡古墳史跡である。

 

            塚場にある謎の巨石。これも「かあご石」か

                          塚場にある大塚古墳

田畑が続く秋留台地、白い建物は市役所。奥に大岳山を臨む