弁護士・冒険家など多才な活動家

 

トーマス・ブレークモア(1915年-1994年)というと余り世間に知られていないが、アメリカ・オクラホマ出身の弁護士である。彼は戦前、東京帝国大学で日本法の研究で来日していたが、太平洋戦争でいったん帰国し、戦後再びGHQの視察に同行するために再来日している。その後、日本での弁護士の資格を取得し1950年にブレークモア法律事務所を開設している。彼の活動は多彩で、そのひとつが現東京都あきる野市養沢地区に日本で初めてフライフィッシングの釣り場を1955年に開設している。その他に彼は冒険好きで、日本の登山家・冒険家であった植村直己とも交流があり、彼のグリーンランド横断行などに支援などを行っていた。

                トーマス・ブレークモア記念碑(あきる野市養沢)

       養沢地区に日本で初めてフライフィッシング釣り場が開設された

 

庚申信仰に関心があった?

 

そんな彼が同じ域内に実験農場というのを1976年に開設し、その一角に別荘を建てた。週末には妻フランセスと一緒に別荘を訪れていた。そして、彼は別荘の近くに庚申塔を建てている。一説では、彼は日本をこよなく愛していたようであり、恐らく、日本国内で古くから信仰されてきた庚申信仰にも関心があったのではないかと考えられる。1988年妻フランセスの病状が悪化し妻と共にアメリカに帰国。現在、彼の実験農場は生活クラブ協同村ひだまりファームとして生まれ変わっている。

 

                        T・ブレークモアが建立した庚申塔

                  かつての実験農場への入り口(向かって左)

                  ブレークモア夫婦が週末に訪れていた別荘