密教の役割とは
石造物を調べていると結構、密教の影が不思議なほど見え隠れしてくる。日本の密教は調べるにはとても複雑で密教の門の入り口に立っただけで研究をあきらめる人が多いと思われる。私が知っているだけで専門書は「密教入門」(大栗道榮 鈴木出版)くらいしかない。下の写真は種字「カ」で表現された地蔵菩薩で、これも密教の産物である。この場所はあきる野市横沢の石仏群1の中にあるが、反対側の石仏群2には同じく密教に出てくる「支分生曼荼羅(しぶんじょうまんだら)」、すなわち地蔵菩薩が建立してある。二つの場所は、石仏群1は仏教エリアで石仏群2が神道エリアとなっているので、密教と言うのは神道と仏教を混乱混同させないために中和剤のような役割があったのではないかと考えることができる。
石仏群1の中にある地蔵菩薩。種字で「カ」一文字を刻印
支分生曼荼羅(向かって左)も密教の産物
石仏群1と石仏群2の位置関係