河原宿(八王子市下恩方)は芸人たちの町だった?

 

河原(かわはら、かわら)という地名の語源は「河原に芸人たちが住みついた」という説明があって、各地に同じような地名がある。芸人たちは旅芸人などとも呼ばれており巡業が主であったので住居は一定していなかったようである。八王子の河原宿も同じような伝えが残されており、地名もここから出ているようである。その河原宿に庚申塔が二基建立されており、これらは芸人たちが建立したのではないかと考えることができる。二基のうち一基は青面金剛が刻像されたもの、もう一基は庚申供養の文字塔である。青面金剛が刻像されたものの三猿は立猿(神道)、文字塔は座猿(仏教)なので、この場所の庚申塔は二基で神仏習合を表現しているものと思われる。

 

                               河原宿にある庚申塔

                  庚申供養塔(安永7年:1779)は座猿の姿

              青面金剛の庚申塔(寛政2年:1790)は立猿の姿