初代江戸城の石垣は伊奈石だった

 

東京都あきる野市には昔から「伊奈石」と呼ばれた名石の伝えが残っている。この伊奈石は主にあきる野市の伊奈地区を中心に切り出された砂岩性の石で頑丈で加工しやすく、石仏や石臼などにも加工されていたようである。その伊奈石は何を隠そう初代の江戸城の石垣に使用されていたのである。この話をすると多くの人が異論を出してくるが、それは「伊豆石」の存在である。多くの文献が徳川家康が築いた江戸城の石垣は伊豆石で築かれていると紹介しているから無理もない。しかし、初代の江戸城というのは室町時代に太田道灌が中心となって築いた城である。この太田道灌が築いた江戸城を後に徳川家康が改築して新しい江戸城に変えたのである。従って、太田道灌が築城(長禄年間のころ)するころは江戸に向かう五日市街道は伊奈石の輸送が主力となっていたために伊奈街道とも呼ばれていたようである。

現在、この石垣の面影は大悲願寺の仁王門のところで見ることができる。

 

             大悲願寺の仁王門に伊奈石の石垣が残されている

             砂岩性の伊奈石、頑丈なため石垣としても使われた