寒念仏塔などは親庚申のように親子関係を基準にして建立されているようである。このことから地域ごとの寒念仏塔を観察して回るときには、先ず、親の寒念仏塔を探すことが肝要と思われる。親の寒念仏塔は下の図にあるように、上部に種字キリークが刻印してあること、次に寒念仏の文字が「く」字形に刻印してあり、石材は石灰岩の自然石(陰陽石)を使ってあることの三点である。
以上、三点が理解できると子の寒念仏塔の不可解な文字や石材などの問題が納得できるようになる。
親寒念仏と思われる事例
上図のような構成になっている。
子の寒念仏塔の不可解な事例、その1
寒念仏供養と刻印した文字を抹消線で何故か消している。
子の寒念仏塔の不可解な事例、その2
普通の自然石(陰陽石)に寒念仏供養と刻印してある。(左側の石塔)
子の寒念仏塔の不可解な事例、その3
寒念仏の文字が正字体で刻印されていない。また、逆「く」字で寒念仏が刻印されている。
子の寒念仏塔の不可解な事例、その4
顔石と呼ばれる力石を使った寒念仏塔
子の寒念仏塔の不可解な事例、その5
神社の灯篭の裏側に寒念仏と刻印したもの。