隠れキリシタンは各地にいた
日本のキリシタンと言えば天草や五島列島などが有名であるが、石造物を調べていると明らかにマリア観音と思われるものが各地に残されていることが最近になって分かってきた。郷土史などを調べて見ても殆どといってよいほど記録が残されていない。しかしながら、古い石造物たちは嘘はつかない。間違いなく全国各地に隠れキリシタンがいたことを証明している。
マリア観音とは
江戸時代、弾圧にあったキリスト教徒により、サンタマリア像の代わりとして用いられた(主に長崎県の浦上、五島地方)白衣の菩薩像をこう呼ぶ。中国から運び込まれた白磁の像が多い。(仏像イラスト事典:株式会社GB)
このような説明がしてある。
(インターネットより借用)
変態のマリア観音たち
私が住んでいる東京都の多摩や埼玉県入間などでは変態のマリア観音像がところどころに見られる。
①埼玉県入間市のマリア観音
現在、マリア像は市内の中心に安置されているが、以前は入間川の近くにあって、その場所が河原宿と呼ばれていた。河原宿とは各地にあって旅芸人たちが寝泊まりした場所だと伝えられている。しかも、この近くの地名が「黒須」なのである。地名からすると、キリスト教の十字架「CROSS」に繋がってくる。
このマリア観音は小さな祠の中に安置されているが、提灯に表示されているのは「地蔵尊」で、姿かたちは女性である。
地蔵尊なのに姿かたちは女性でマリア観音である
②あきる野市(東京都)中平庚申堂のマリア観音
その昔、近くに住む住人に夢のお告げがあり、近くの池に庚申様が沈んでいるので持ってきて信仰すれば功徳が得られる、という事で近くの池に行って探したところ、庚申塔が出てきたので地元で庚申堂を建てて供養するようになったと伝えが残されているが、これも間違いなく変態のマリア観音である。
庚申塔なのに変態「卍」、すなわち変態十字架になっている
③あきる野市(東京都)網代(あじろ)と山田の庚申塔
この二つの庚申塔は同じ時期に建立されているが、両方ともに顔面が削られている。網代の庚申塔には旅館で働いていた女性が複数名事故で亡くなったので供養のために建立したという伝えが残されている。
青面金剛像の顔面が削られている(貴志嶋神社入り口)
近くの能満寺の入り口にも顔面が削られた青面金剛像が建立
このように古い石造物を調査するときは、変態像になっていないか確認することも必要である。